ダウンロードが便利なのはわかっているけど
僕はコンピューターゲームをけっこう遊ぶ。Nintendo Switchなんかでゲームを買うときに、ちょっと前までは便利なダウンロード版を選んでいた。
ところが最近は、ゲームをまたパッケージ(箱に入ったソフト)で買うようになった。箱もソフトもいずれはプラスチックごみになるから、エコな行為ではない。それに、ゲームはプレイすれば体験としては同じなのである。
そんなことは頭では分かっている。だが、品物が手元にある感覚が、たまらなく嬉しい。これはどういうことなのだろう?ゲームの箱と僕の関係を考えてみたところ、どうやら小学5年生のころの思い出が影響しているらしい。
1991年のクリスマスに、親に「ゼルダの伝説」を買ってもらったのだ。ようやく手に入れたスーパーファミコンで遊ぶ、初めてのソフトだった。それまでスーファミはお友達の家でしか遊べなかったから、それはそれは嬉しかった。
緑色の大きな箱が、きらきらして見えた。「どんなに面白いゲームなんだろう?」とわくわくしながら、何度も箱の裏にプリントされたゲーム画面を見た。本棚の見えるところに置いてみたり、違うときには誰かが勝手に触らないように隠したりしていたと思う。
この箱は、僕が高校生になって引っ越しをするタイミングに手放すことになった。そのときは心をいためたことを覚えている。
宅配をそわそわしながら待ったり、箱をニヤニヤと眺めたり。いかにも子供っぽいが、僕のささやかな喜びだ。
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