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IB教育インタビュー vol.3 シンガポールのやすこさん

今回は、前回vol.2のインタビュイー、リク君のお母様、やすこさんの登場です!
リク君はシンガポールでIBDPを取得してICL (Imperial College London)の合格を勝ち取りました。


ノビー:やすこさん、本日はよろしくお願いします。

やすこさん:はい、宜しくお願いします。うちは、夫も私も日本人です。家庭でも日本語で子ども達と話しています。
リクは3人きょうだいで、下に妹と弟がいます。2番目の長女、そして3番目の次男。それぞれ2歳ずつ離れています。リクと長女はシンガポールで生まれ、次男を出産する際は里帰り出産をして1年半だけ日本で過ごしてからシンガポールに帰って来ましたので、次男だけ日本生まれです。

夫の駐在をきっかけにシンガポールへ来たんですが、会社が合併等を繰り返して、かれこれシンガポールに住んで約30年になります。
これからも夫の仕事の拠点がシンガポールであることは変わらないと思います。

シンガポールのローカル幼稚園での「七夕の日」。園児に日本人も多く、
多民族国家シンガポールなだけに、日本のイベントもやってくれていた。 

ノビー:お!!私も3人きょうだいの真ん中なんです。兄と弟がいます。

やすこさん:あらっ、うちと同じですね!
うちの子たちは小学校は全員、日本人学校に通っていました。長男のリクもそうです。
シンガポールで生まれ育ったのに英語がまったく話せないのは後々本人にとって良くないから、どこかでインターに入れたいねと、夫婦では話していたけれど、リクの意見を聞かずに当然のようにインターに入れるという事は、したくなかったんです。「子どもに選ばせたい」と思っていました。

日本人小学校での「運動会」。一年生の時。

リクと一緒にいろんな中学校を見学して、リクはDulwish College (SINGAPORE)を気に入って、受験しました。それは学校の雰囲気が良かったとか、直感的な理由だったと思います。
母親の私も、IBのカリキュラムのこととか良く分かっていない頃だったんですよね。それで、たまたまDulwish College (SINGAPORE)に受かって入学しました。

ノビー:リク君は、インターに入るまでは英語を生活の中でほとんど使っていなくてどちらかというと苦手だったと言っていたのに、よくぞ、Dulwish College (SINGAPORE)に受かりましたね。

やすこさん:ほんとね。Dulwish College (SINGAPORE)は、試験があるから
落ちてもおかしくなかったのに。もしかしたら数学の点数が良かったのが理由だったのかもしれないと今では思います。
「英語は、今できなくても、学校で学んでいくうちにキャッチアップできる。でも数学ができる子は『ポテンシャル』がある」と学校側は認めてくれたのかな、と。学校に聞いて確認したわけでもないので、実際のところはわからないんですけどね。

日本の数学の教育のレベル、おそらく世界の中では高い方だと思います。Dulwish College (SINGAPORE)のIBDPにおいて、数学AAのHL (Higher level)のクラスには、インド人、日本人、韓国人、中国人、シンガポール人といったアジア人が多いです。白人の生徒はほぼいません。
数学が得意な子が集まってくるクラスは、蓋を開けてみたらほとんどがアジア人でした。たまたまなのかもしれませんが。(笑)

ノビー:日本の数学の教育レベルが高いだなんて、初耳でした。

やすこさん:あまり知られていないかもしれませんね。こういう話も、今だから出来るという感じなんです。私たちは、リクを初めてインター(Dulwish College (SINGAPORE))に入学させた時は、インターで採用されているカリキュラムについての知識がまだまだなかったんですよ。
まきさんは、息子さんのノア君を小さいうちからインターに通わせていたし、インターで取り入れているカリキュラムのことを当時から本当に良く調べていて、お詳しかったですね。

Dulwish College (SINGAPORE)の友達と。

ノビー:リク君のインタビューでは
「英語がまだできないのに中学からインターに入って、つらかったけど数学とか、語学に頼らなくても伸びる教科に挑戦する中で勉強する楽しさを見つけた」
「自分で高い目標を決めて、どうすれば達成できるか自分で調べて、頑張ってきた」というお話しを聞き、素晴らしいな、お母様のどんな関わりがあって、こんな風に頑張れるようになったのかな、と、とても興味がわきました。

やすこさん:リクは、自分の考えをしっかり持っている子なので、あまり口を出しませんでした。
Dulwish College (SINGAPORE)は進路選択のために必要な情報を学校側からしっかり提供してくれることもあって、いい意味で学校と本人に任せていました。リクが決めて頑張っていることは親として応援する、というスタンスでしたね。

でも、妹や弟は、全然ちがうタイプの子たちなんです。やっぱり、リクとは、また違った関り方をしていますよ(笑)。
とにかく、親がこうした方が良いと思っても、子どもたちはその通りにはならないものなんですよね。

ノビー:そうですよね(深く頷く)
親御さんが世界でいちばん自分たちのことを想ってくれているって、子ども達も、誰よりも分かっているんですけどね~。

幼稚園から続けていたサッカー。毎週末の練習でこの頃は日に焼けて真っ黒でした。 

やすこさん:リクは活発で、幼稚園からサッカーをやっていて小学校の3年生くらいからソフトボールを始めました。5年生からはそこに野球も加わり、野球に関しては高校までずっと続けていました。
日本人小学校でも、遊ぶ時はお友達の中心にいるような社交的な性格だったので、なおさら、インターでお友達どうしの普通の会話になかなか入っていけない時期は、辛かったんじゃないかと思います。
それまでの自分の生活とのギャップが、すごく大きかったでしょうね。

特に8年続けたソフトボールチームは、日本人学校に通っている小学校のお友達ばかり。
10人くらいメンバーがいる中で、インターに行ってるのはリクだけだったの。週末の練習でみんなで会うと、自分はインターで楽しめていないのに、みんなは学校生活を楽しく謳歌しているように見えて、それもまた辛く感じたりしたかもしれない。
でも、それでも日本語で話ができる昔からの友達はリクにとってかけがえのない友達でもあったので、週末にチームメイトに会うのを励みに普段のインターでの生活を頑張れていたのだとも思っています。

ずっと一緒に野球をやっていたメンバーと。

そんな中でも、リクには、負けず嫌いというか反骨精神があって。
Dulwish College (SINGAPORE)には、英語ができるけど勉強に対して真剣になれない同級生たちも、当然いて
「英語がもともと出来て、自分より恵まれてるのに、頑張らない子もいる」
「だから自分は絶対に負けない」と。
周りにいろんな境遇のお友達がいて、接する中で、いい意味でリクらしさや負けず嫌いなところをバネにして、頑張っていったように私には見えましたね。

ノビー:それでも、日本人学校の小学校卒で、インターに入って立派に勉強していくというのは相当大変なんじゃないでしょうか。

やすこさん:大変だと思います。
シンガポールには早稲田渋谷シンガポール校という、日本語で学べる高校があるんです。頑張り屋だったリクからも、2回ほど、やっぱり早稲田渋谷シンガポール校を受験したいと、話が出たことがありました。

ただ、最終的に、リクがICL (Imperial College London)の合格を勝ち取れるまでになれたのは、第一言語である日本語で論理的に思考することを学んだ点にあるのではないかと思っているんです。

実際、IGCSEのEALの先生から「このままくとリク君はIBDPの英語は厳しいと思います」と言われて、塾に通った時期がありました。
エデュバルではなくて、WAYという、インターに通う日本人学生をターゲットにした塾だったんですが、そこではまず「英語の基礎」を徹底的にやります。その塾は日本語の授業もあるのですが、英語の基礎が終わってない子は日本語は受講できないシステムです。
日本語では論理トレーニングをやります。
この塾の塾長先生との出会いがあってこそ今のリクがあると言っても過言ではありません。リクは今でも先生と出会えたことに感謝していると言っています。

やはり人は、第一言語で思考しますから。
リクの場合、日本語で論理的な思考ができるかできないか、という点は様々な教科を高度に学ぶにあたり、重要なポイントになったのかなと思っています。

家庭でも日本語を使っていて、第一言語が日本語なら、小学校は日本人学校で、日本語でしっかり勉強をした上で、中学からインターへ行くというのも、決しておかしな進路選択ではないように思います。
もちろんインターに入ったあとの英語は、大変ですよ。大変なんですけど、ね。
リクと長女は中学校からインターに行き、次男だけは1年はやく、小学校6年生からインターへ行きました。でも、次男にも小学校6年生まで、しっかり日本語を学ばせてあげた方が良かったのかもしれないと思っているほどです。

ノビー:リク君は、早稲田渋谷シンガポール校の受験を真剣に考えていて、大学も日本の大学がいいと最初は思っていた、とご本人からも伺いました。
そんなリク君が、IBDPをとって世界の大学を目指そうと思えるようになったのは、なぜだったんでしょうか。

やすこさん:早稲田渋谷シンガポール校の学園祭を見に行った時、団結してなにかを成し遂げる雰囲気にリクはすごく刺激を受けていました。
でも、実際に入試を受けようとしていた矢先、妹の数学の家庭教師をしていた人が、「どうしてインター辞めて日本人学校へ戻るの?」と、リクにこんこんと話をしてくれたんです。
当初はその日は、数学をみるために家に来てくれたんですが(笑)、1時間以上、みっちり進路の話だけをしていましたね。

その人は良い意味でも悪い意味でもDulwish College (SINGAPORE)のカリキュラムを熟知している先生でした。
「今、早稲田渋谷シンガポール校に編入しても、大学受験の時に選択肢が減ってしまう」「インターでこのままIBDPを取った方が、大学卒業後の選択肢も広がるよ」と、長い目でみて、今の決断が人生にどういう影響を与えるのか、具体的に話をしてくれました。

リクはこの時が転機となって「このままインターで頑張ってIBDPを取ろう」と決心できたようでした。おそらく彼にとってのターニングポイントになりましたね。
もしこの時、早稲田渋谷シンガポール校に進んでいたら、全く違う進路、そして人生になっていただろうと思います。

ノビー:肝心な時に、大事なアドバイスをしてくれる人が現れる。すごいことです。

やすこさん:はい。インターでは、リクのように途中から入学してくる生徒には、バディと呼ばれる同級生の生徒が約1週間ほど毎日ついてくれるんですが、そのバディがサッカーなど運動が大好きな明るい性格の子でした。それがとても良かったとリクが言っていたことがあります。誘われてみんなで運動を楽しむ中で「言葉だけがコミュニケーションのツールじゃない」ということを感じられたようでした。
偶然の出会いが、本当にありがたく、今も印象深く思っている人たちが何人もいますね。

学校のECAではバスケットボールもやっていました。

ノビー:シンガポールでは、インターに通う日本人の子ども達もいるけど、日本人学校で、小中高、学んで、大学も日本の大学を選ぶ子たちも一定数いらっしゃるのかなと思いました。

やすこさん:シンガポールの駐在員のご家庭では、たくさんいると思いますよ。でも、最近は日本人小学校からIGCSEへの進学を考える保護者さまも、増えているような気がしますね。
うちの長女、リクの妹も、日本の大学へ行きたいと言っています。長女は、シンガポールに住んでいるからこそ、日本への思いが強いみたいですね。

ノビー:最近は日本の大学でも、デュアルコースと言って、日本の大学と海外の大学の2つの学位がとれるところもあります。日本の大学から、海外の大学へ出る道もありますね。

やすこさん:そうですね。長女は良くも悪くもコツコツと頑張るタイプです。いろんな選択肢の中から、彼女らしい道に進めるよう、応援してあげたいですね。

リクは、大学の世界ランキング(知名度)を重視したので、早稲田大学を受けて受かったけど、早稲田大学には行かないという決断をしました。
慶応のPEARL(経済)も9月入学だし、受けてみたいと言っていたのですが学校が推薦状を、物理・数学についてしか書いてくれなかった上に、先生から「君のIBDPの科目の取得の仕方なら、慶応のPEARLは志望校にはなり得ない」と言われて。じゃあ慶応を受けるのは断念しよう、となりました。

ノビー:世界では、早稲田大学・慶応大学の知名度はそんなには高くないですからね。

やすこさん:リクは「いま早稲田大学に入学したら、早稲田渋谷シンガポール校を受験しようとしていた時と、結果が変わらないということになる」と思ったようです。イギリスの大学はそんなに多数、併願できないので、シンガポールの大学も受けていました。それも、世界ランキングを意識してのことでしたね。それに親もシンガポールに住んでいるわけですし。

今は私自身も、ある程度インターのカリキュラムを分かっているので、特に次男には、なんとな~くですけど、誘導していますね。

IGCSEを受ける時点で、IBDPでどういう科目を選びたいのかある程度、決めておいた方がいいと思うようになったんです。あとから興味が出てきたからIBDPでこの科目を取りたいと思っても、もちろん取れないわけではありませんが、かなりハードになると思います。IGCSEでかなりの基礎を学ぶので、IBDPへの移行がスムーズなんだと思います。

ノビー:たしかに、IBのカリキュラムは、複雑というか、最終的に希望の進路の大学進学へ結実させるためには、かなりカリキュラムに対しての知識が必要になると思います。学校とご本人にお任せ、が理想だとは思いつつ、それぞれのお子さまに合った関り方について、悩む保護者さまも多いのではないかと思います。

やすこさん:次男は「人は人、自分は自分」というマイペースなタイプなんです。自主的に勉強するタイプではないので、本人に任せていたら全く勉強しない日々を無駄に過ごす事になりかねない。ですので、次男は行きたがっていないけど、今は塾に行かせています。
うちは夫婦とも日本人なので、英語で会話するとか、勉強をサポートするという事はできない。できるのは、彼に合った塾選びだと思っています。
あと心掛けてきたのは「宿題はやった?」「一緒に本を読もう」という、家庭で良い学習習慣をつくるための呼びかけでしょうか。

リクは「ああいうタイプだからこそ、IBDPが向いてる」と言うんですけどね。
IBは、自主的にやらなきゃいけない事もあるけど、Dulwish College (SINGAPORE)では先生がタイムラインに従ってスケジュールを組んで、かなり前もってフォローしてくれます。大きなマイルストーンは、学校側が提示してくれるので、そこに向かって本人が頑張れるようにしていく事ですね。

そして、やはり次男のようなタイプの子には、科目選択のアドバイスは重要です。IBDPではどういう科目の取り方をするかによって、スコアの伸び方も変わるし勉強量も違うし、受けられる大学が変わってきます。
私も、次男の希望や強みを生かせる科目選択ができるよう、見届けなければ、と思っていますね。

リクの場合は、理数系が得意だったのでサイエンスを2科目、HLで取ったんです。でも、それは、絶対やらない方がいい、という人もいるくらいで、勉強量と比較して、スコアが伸びにくい科目の取り方をしていたようです。

ノビー:リク君も、海外だけではなく日本の大学の受験を経験されましたが「この受験制度が壁となって、受験ができなかった」という大学はあったでしょうか。

やすこさん:やはりほとんどの大学が4月入学を採用している点です。
イギリスの大学や他の海外の大学のアプリケーションと同時進行で日本の大学を選ぶことができないのがネックでした。同じタイミングで受験しようとすると英語学位プログラムしかないというのが現実としてあります。
本当であれば東大や東北大などの理系学部も挑戦してみたかったのですが、受けるためにはイギリスの大学の合否がわかった上で1年ギャップイヤーを取って挑戦しなくてはいけなくなってしまう。大学によってはギャップイヤーは認めていないところもあります。
そのリスクを背負ってまで日本の大学を受けるメリットが、正直ないと考えました。

しかも日本の大学は一律に高いIBDPのスコアを求めるので、そんな高いスコアが取れる優秀な学生は、当然、海外の大学も受験している事がほとんどです。そうなると、イギリスの大学の結果も出てます、シンガポールの大学も結果が出てますとなって「日本の大学じゃなくても、良いか」となってしまうんだと思います。

今の日本の受験制度では、英語も日本語もできる優秀な学生が日本から海外へ出てしまい、その後の人生でも日本に戻ってくる理由がないのではないかという危機感を覚えます。

コロナ禍で一斉に休学になったので、このタイミングで日本も世界に合わせて4月入学から9月入学に変えたほうがいいんじゃないか、という議論があったので、とても期待して見ていたのですが、結局変わらなかった。
個人的には前々からその方が良いと思っていたので、残念に思っています。

ノビー:日本の多くの大学で、IBDPを使った入試をやるようになったとしても、それだけでは国内外の優秀な学生を呼ぶことは難しいですね。しかもトンチンカンなくらい高いスコアを要求している大学も多いようですね。

やすこさん:本当は、どんな科目選択をした上でのスコアなのか見ないと、その子の学力は計れないと思うんですね。
ただ、私のように受験を控えた子どもが複数いて、毎年のように学校説明会に出ていると、日本の大学も少しずつ変わってきているなという印象を受けます。

大学によっては、IBDPのカリキュラムを良く分かって入試設計しているなぁと思うような、詳細なリクワイアメントを出しているところもあります。
例えば東北大学、筑波大学などがそうです。
岡山大学、立命館アジア太平洋大学などはIBDPのカリキュラムをよく理解しているという印象です。
点数を重視する以上に、高校でIBDPのカリキュラムを受けているかどうか、そういった人材が欲しいと常に訴えています。
そういう大学には、必ず「今後、日本の大学からは、こういう学生を卒業させていくんだ」「こういう人材が求められているんだ」というビジョンがあると感じました。

ノビー:かなり高いスコアを求めてくる上に、さらに実試験を課してくる大学もあります。

やすこさん:大学での講義など、日本語を使用して学習するので、日本語での知識が最低限必要というのはわかりますが、過酷なカリキュラムをやり終えて結果を出した後、さらに受験勉強が待っているとなると、そのまま海外の大学を選んでしまう学生も多いのではないか、と思います。

知り合いの子が、ある中学に通っていて、IBDPを取ろうか迷った時に先生から「海外の大学に行きたいの?日本の大学に行きたいの?」と聞かれた、という話も聞きました。
要するに「日本の大学に行きたいならIBDPじゃないほうが良いよ。受験対策上不利になるから」という事なんです。本末転倒だと感じました。
日本で横行している、大学受験だけが目的の勉強、しかも「日本の中で」有名な大学なら、どこの学部でもいい、という受験の仕方は、あまりにも画一的に思えます。

こういう話は日本だけじゃなくて、海外でもあるんですけどね。例えばイギリスの大学を受験するならIBDPよりもA-Levelの方が優位とか。
だったら、IBDPは、勉強が大変なだけで大学も受かりにくいみたいだしやらない方がいいよねってなりがちですよね。

「海外の高校に1年くらい通えば、英語、話せるようになりますよね」と言われることもあるんですが、私は経験上、3年はかかると思っています。IBDPを英語でやるのに必要な英語力、というか「英語を習得する」ためには、一定の学習量が必要です。それはどんな科目でも同じだと思うんです。そういう意味で、リクの姿を通して、IBDPのカリキュラムの素晴らしさを感じていますね。受験対策だけに偏りすぎない勉強量の蓄積、学力が身に着くように考えられたプログラムだと思います。

PYPとMYPについては、まきさんがインタビューでもお話しされていましたが、自主的に学べる子にとっては、とても良いプログラムかと思います。
でも、それこそ、うちの次男のようなタイプの子にとっては、自由すぎて、それが良い方向へ機能しません。「やる子とやらない子の差がはっきり出ちゃうよ」って事なんです。
やらない子、適当にすませる子が、そのまま放置されがちです。そういうタイプの子であっても引き上げて関わってくれる先生がいれば別ですが、先生がたも、そういう関り方を支えてくれる職場の体制がないと継続できません。結果、学校次第、先生次第に、どうしてもなりますよね。

PYP、MYP、DPと、IBを一貫してやっている学校より、IGCSEからDPへ進ませる学校のほうが、平均スコアが高いのは周知の事実です。学校説明会でも「だからわが校ではIGCSEを取り入れています」とアピールしていますよ。

ノビー:こういう海外の事例も踏まえて、日本でわざわざ同じ轍を踏むのではなく、一足飛びに日本ならではのカリキュラム設計を研究してくれる機関があると良いのかもしれませんね。
IB教育を手放しに賛美するのではなく、日本の子ども達のために、どうしたら生かせるかが次の課題になるのかもしれません。

今回は、たくさんの貴重なお話を、ありがとうございました!!

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