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【エッセイ】エンコーしようとした話 ~全速力で~

この物語は第5回(全5回)最終回。

前回の記事を読まなくても分かるように、
「あらすじ」を付ける。

■前回までのあらすじ

主人公は晴れた土曜日に繁華街を訪れ、出会いカフェに入る。無料で利用できる女性用ルームに案内され、男性に選ばれ、店内で短時間の会話を交わす。

男性に外出デートを誘われ、喫茶店で食事をするが、その後の行き先にホテルを指定され動揺する。

お金を要求するも、売春と見なされて警察に行くと言われ、恐怖と困惑で言葉を失う。最終的に男性の手を取ってラブホテル街へ向かうことになる。

ChatGPT

■前回の記事

※途中から有料記事

■無料で結論のみ知りたい方へ

私は「エンコー」をしなかった。


ビルの広場を抜けると、
ラブホテル街が広がる。
そこは多種多様なラブホテルが連なる。

入り口前に噴水があるものや、
真新しく白いお城のような外観や、
質素で小さいものまで、
様々な風貌のラブホテルの前を通り過ぎる。

その男は私の手を取り、
足取りは軽く、私よりも一歩前を歩く。

その男の足が止まったのは、
5分ほど歩いた時のことだった。

私たちの目の前には、
ラブホテルが一軒あった。
「休憩2,000円」という文字が見える。

ラブホテルは古く寂れており、
淡いピンク色の塗装が剥げかけている。

その男の顔をチラリとみると、
眉と目が先ほどよりも垂れている。

口角が上がり笑みのような、苦虫を嚙みつぶしたような、なんとも表現がつかないような表情を見せていた。

私たちは少し汗ばんだ手を握りながら、
その古く寂れたラブホテルへと足を伸ばす。

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