【エッセイ】エンコーしようとした話 ~全速力で~
この物語は第5回(全5回)最終回。
前回の記事を読まなくても分かるように、
「あらすじ」を付ける。
■前回までのあらすじ
■前回の記事
※途中から有料記事
■無料で結論のみ知りたい方へ
ビルの広場を抜けると、
ラブホテル街が広がる。
そこは多種多様なラブホテルが連なる。
入り口前に噴水があるものや、
真新しく白いお城のような外観や、
質素で小さいものまで、
様々な風貌のラブホテルの前を通り過ぎる。
その男は私の手を取り、
足取りは軽く、私よりも一歩前を歩く。
その男の足が止まったのは、
5分ほど歩いた時のことだった。
私たちの目の前には、
ラブホテルが一軒あった。
「休憩2,000円」という文字が見える。
ラブホテルは古く寂れており、
淡いピンク色の塗装が剥げかけている。
その男の顔をチラリとみると、
眉と目が先ほどよりも垂れている。
口角が上がり笑みのような、苦虫を嚙みつぶしたような、なんとも表現がつかないような表情を見せていた。
私たちは少し汗ばんだ手を握りながら、
その古く寂れたラブホテルへと足を伸ばす。
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