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官能小説を語っているうちに

靖子は、和也に官能小説についてをずっと語っていた。靖子のCDプレーヤーが語る。靖子は盲目だ。和也はヘルパー1級だった。同行援護も取った。
男と女の絡み合いよ。
こんなもん毎日聞いてるんですか?
えーそうよ。毎日聞いてるわ。リクエストすれば送ってくるの。
好きなんですね。
官能小説が夫婦の営みを豊かにするのよ。
営みですか?
例えば私独身でしょう。あなたも独身。カップル成立ってわけじゃない?
そうです。カップル成立です。ハハハ。官能小説の魅力ってなんですか?
濡れてくるところ。私だって女よ。
僕だって男です。男の生理知ってますか?いやらしい話聞くと、カイパーが出るんですよ。もうぐちょぐちょです。
触らせてくれない?
服務規定違反ですので、誰にも喋らないでくださいよ。
いいですか?これがジャージでこれが僕のパンツです。
結構大きいわ。もう濡れてるのね。それに硬い。
立たせたのは、利用者さんですよ。もういいですか?
ありがとう。これで満足しないといけないのよね。
はい、ここから先は夫婦のコミュニケーションになります。私はしてはいけない。
音声化された官能小説は人気なんですか?
他の人は知らない。けど、私は好き。
失礼なこと言うかもしれませんが、利用者さんも人間なんですね。
そうよ、私人間よ。障害者なんて見られているけど、立派な人間。性欲だってあるの本当よ。
和也は、トイレを借りて、身支度をすると、仕事を終えた。
同行援護をするにもどこまで近づいていいのか、利用者さんにどういう態度で接していいのか?考えさせられた。近年利用者さんとヘルパーが恋人同士になる事例があると聞いている。不良ヘルパーになると最高にくっついてしまう。手抜きヘルパーになるとぞんざいに扱う。どっちがいいのか和也には分からなかった。

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