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書かなければ私は爆発する 生み出し伝えることの喜び

みなさんを創作沼に引きずり込むべく、すでに創作を楽しんでいる、いわば楽園の住人たちにインタビューをするこの企画「エデンの住人たち」。
インタビューは創作初心者のマシュマロ見習いが行っています。

「エデンの住人たち」第4回は9番さん(@9_Metis_)にインタビューを行いました!

最初から読みたい方は以下の記事からどうぞ!

ご自身でも創作論をnoteで展開している9番さんの、創作をする上での芯をここまで練り上げてこられた理由、熱意の源はどこにあるのでしょうか?

今回は9番さんの世界観を最大限楽しんでいただくためにマシュマロ見習いの出番は最小限にしてみました。みなさんも9番さんの世界に没入してみてください!

基本情報

Twitter:@9_Metis_
note:名もなきゴリラ
使用ツール:Terapad、iPhoneメモ帳(主に記述用)
SAI、photoshop、MicrosoftWord(グラフ作成、絵コンテ作成、同人誌印刷原稿用)

創作のきっかけ

幼い頃から物語は書いていました。両親が音楽活動で知り合って結婚した二人だったので、生まれた時から「何かをつくる」ことは呼吸をするのと同じくらい当たり前のことでした。

明確なきっかけはなく、物心ついた時には自作の物語を両親に語ったり、絵を描いたり、歌をうたったりしていました。
勿論その歳の子どもが書く話ですから拙いはずなのですが、創作することを否定されたことは一度もありませんでした。そうやって過ごした日々が「物語を書くこと」に対する抵抗をなくしたのだろうと思います。

創作のスタンスは小二で確立

今の創作スタンスに近いものを確立したのは、おそらく小学二年生の時です。教科書に載っている『スーホの白い馬』を順番に音読する授業がありました。

この物語は自宅に絵本があって、何度も読んだおはなしでした。私が読むようにと当てられたのは物語終盤の主人公の馬が瀕死になりながらも主人公の元へ戻ろうとするシーンです。

私はこのシーンを読んだ時にいつも感じていた気持ちを、声に乗せて精一杯に朗読しました。馬がどれほどの思いで愛する主人のもとへ戻ったのか、血まみれの馬を見た主人公がどんな気持ちだったのか。

読んでいる途中で、教室のどこかからすすり泣く声が聞こえてきました。当てられたシーンを読み終わる頃には、教室中にうつむいて鼻をすすっている生徒がいました。

その時初めて、「自分の表現したいことが他人に伝わる」という経験をしたように思います。今も、あの時と同じように物語を書いています。

ワープロが秘密の小部屋に

小さい頃から物語を作って書き留めることはしていましたが、私がいわゆる創作小説に熱心に取り組むようになったのは、自分のワープロを手に入れたことが理由です。

ノートはどこに隠しても両親に見られてしまうかも、と思うと少し恥ずかしかったのですが、ワープロであればフロッピーを入れデータを読み込む手間があります。だから親もそうそうチェックなどしないだろう、となんだか安心して、それまで書けなかった様々な物語を書くようになりました。

その頃に初めて二次創作の小説を書きました。といっても当時の私は幼くて、まだ二次創作という言葉も知らず、同人誌という文化も知りませんでした。テレビを自由に使えなかったので、なんとかその作品を手元に置きたいという一心でアニメのノベライズを自分でしたのです。

そのノベライズを書いてから、このアニメのこのキャラはどうなるのだろう、この先物語はどういう風に展開していくのだろう、と気になってそういう物語も書くようになりました。数年後にはオリジナル小説も書き始めました。

初めて書いたオリジナルは「四人組の留学生が海外で共同生活をする」という青春ものでした。幼児期に海外の青春コメディドラマが好きだったので、その影響ではないかと思います。海外に行ったことはありませんでしたが、主人公たちがどんな風に生活するのかを書くために旅行ガイド本やドキュメンタリー本などを読みまくりました。行ったこともない国にめちゃくちゃ詳しくなってしまいましたが、小説書きってそういうものなんだなと思います。

ちなみにそのオリジナル小説は別にどこかに公開した訳ではなく、書いて保存してそのまま忘れ去ってしまいました。マジでただ書きたかっただけで、他人に見られるのは恥ずかしかったんだと思います。

同人活動のスタート

いわゆる「同人活動」を始めたのはそれから更に数年後、高校生になって自分のパソコンと携帯電話を持つようになってからです。

自室でいつでもインターネットに接続出来るようになったことで、同人活動をしていた友人から「私のサイトを見てほしい」と頼まれました。そこで友人のサイトを見て、なるほどこういう活動があるんだな、楽しそうだな、と思ったのです。

友人の誘いもあって、当時全盛期だった個人サイトを持つことにしました。当時はwebサイトを作るのに便利なツールなどは少なく、HTML手打ちでサイトを構築するところから友人と試行錯誤して活動していました。

個人サイトでコメントや感想を頂くこともありました。しかしその時もやっぱり「つくりたい」という欲求がめちゃくちゃ強いだけで、別に他人の反応を気にしてはいなかったような気がします。

私自身は書きたいものがとにかく沢山あって、書いたら次! 書いたら次! という感じでとにかくつくることが楽しかったのです。個人サイトの時代はそもそもサイトを作ること自体がかなりハードルが高い上に、感想やコメントを言うハードルも今より高かったので、感想が来たらものすごくラッキーなこと、くらいの認識で活動している方が多かったようにも思います。

なぜ周囲からの評価を気にせずにいられるのか

小さい頃から「本物の実力者」や「天才」を数多く見てきたことも理由のひとつかもしれません。

私の母は、音楽の分野における天才でした。私は幼い頃から母に習ってピアノを弾いていましたが、何故母のように弾けるようにならないのだろう、といつも不思議でした。ある日母に「技術的に難しい」と感じていた譜面についてアドバイスをもらおうと質問しました。

その時母は「そんなの考えたこともなかった、いつも自然にやってるから説明出来ない……」と心底困った様子で答えたのです。
その時、私は「一生努力しても追い付けない脳の領域を持った人がいる」ということを知りました。

母の他にも、親戚の前衛芸術家のアトリエに遊びに行って作品について意見を交わしたり、父の友人である俳優の方から演じることについてお話を聞いたりといった経験がありました。

そこで多くの方から「つくること」について話を聞いて、作品を見せてもらって、どれほどの天才であっても作品にどんな価値があっても、彼らは「ただつくりたい」という気持ちだけでつくることが出来るのだ、と理解したように思います。

たった一人しか観客がいなくとも、その一人が喜んでくれるのなら意味がある。もし誰一人観客がいなくても、それはきっと彼らも同じ。彼らがそうであるように、つくりたくて我慢が出来ないから、つくる。それでいいのだと、そう思える勇気を幼い頃にもらいました。

かなり昔のことですが、一件も感想など来ないいわゆる「マイナージャンル」でのべ六年ほど二次創作を続けたことがあります。

マイナージャンルで6年書き続けて

私はその作品が好きでしたし、推しキャラのことが好きでした。同じ気持ちの人と楽しく語り合いたい、という気持ちはとても強くありましたし、語る相手のいない現実に泣いたこともありました。けれど小説を書くことは止められませんでした。

だって、書くことは楽しい。

書きたいのです。書きたくて書きたくて、好きな作品の世界を書きたくて、推しキャラの素敵なところを書きたくて、大好きなキャラクターたちの楽しそうな姿を書きたくて。書かないと死んでしまう、とさえ思いました。

世界観をうまく自分の書きたいものと融合させ、二次創作として落とし込めた時にはスカッとします。推しキャラの魅力を力いっぱい表現すると心が沸き立ちます。好きなキャラクターたちの会話を書けば胸が弾みます。

楽しいのです。私の頭の中、脳みそなんていうちっぽけなものの中にしかないはずのもの。私が死んだら消えてしまうもの。私しか知らないはずのもの。それが「言葉」という他人に伝えるためのものになってここにある。

伝わるとは限らなくても、それでも一瞬で消えてしまう電気信号ではなく、ただ内側にしまいこんだ幻ではなく、どこかに向けて叫びたいと願った形が確かにある。それが嬉しくて、楽しくて、どうしようもなく幸せで。感想が一件も来なくても、誰も読んでくれないとしても、書きたくて仕方なくてただ書き続けました。

がむしゃらに書き続けていたことが幸いしたのか、そのジャンルで長い時間を経てようやく同じキャラクターを好きな方と知り合うことが出来ました。その方とは今も同人仲間として親交が続いています。その方も私と同様に、仲間がいないことに苦しみながらもずっと作品を作り続けていた方でした。互いに作り続けていなければ、出会うこともなかった。とても幸せな出会いだったと思います。

書きたくないと思う時もあります。特にいわゆる「ウケない」話を書いていると自覚している時などはめちゃくちゃつらくなってきます。そういう時は書き終えると毎回「もう二度と書かねえよ!!」と言っています。言っているのにまた書くのですが……。

正直に言うと、書き続けないことが出来ないだけなのです。息をするのをやめようと思うこと、あんまりないですよね。呼吸、やめようとしても中々難しいです。それだけです。表現することをやめるというのは、息をするなというような感覚です。

小説の書き方

0、やりたいことを決める

どんなテンションでも、たとえ体調を崩しても、たとえ原作の急展開で突然推しが死んでしまっても、これを絶対に伝えなくては! 伝えないと自分が死ぬんだ! という意志を持って、最も伝えたいことを最初に決めます。ここで読者の心を揺さぶります。

最初にここを決めておかないと、長い話のときには特に軸がブレブレになって何をしたかったのか分からなくなって終わってしまったり、最後まで書き上げられなかったりするので、ここはとても重要です。

1、ストーリーをつくる

こうなったら面白いかな、これが使えないかな、と色々計画している段階です。夢が広がって頭がお花畑になります。旅行は準備が1番楽しいっていうし。

2、プロットをつくる

1でつくったストーリーの流れに合わせて展開を作り込んでいきます。私はプロットに合わせて「エモーショナルグラフ」というものを作るのですが、それについては後ほど説明しますね。

3、箱書きをする

プロットでつくったエピソードやシーンを更に細かく書いてみます。ざっくりしたメモのようなものなので、これをそのまま使うことも、フル没になることもあります。

4、本文を書く

大体テンションで書くので書き上がったら推敲・校正を入れます。書籍の場合には他人に校正を頼みます。
推敲中に丸ごと書き直すこともあります。何度も通して読みながら話のつながりの齟齬や違和感、設定改変が無いかなどを、誤字脱字や読みやすさも含めてチェックします。

今回は基本的な書き方を紹介したので、さらに詳細が気になる方は以下のnoteを参照していただければと思います。

小説テトリス 構成パーツ「アイディア」

私はnoteでも書いている通り、自分の「書きたいもの」に必要な「パーツ」としてシーンを構成することが多いです。必要なシーンを捻出する時には脳内でもメモ帳の上でもいくつものアイデアをボツにしながら、これじゃない、これでもない、を繰り返します。

なので「アイディアが降りてくる」というのはあながち間違いでもないのですが、小説テトリスの場合はブロックを作り出すのも自分なので、ものすごく複雑で精巧な形のブロックが必要ならそれだけ手間がかかりますし、全然はまるものが出てこない時には受け止める側のブロックの組み方を見直して全部解体したりもします。

すんなりと必要な要素を揃えたシーンを思いつくこともありますが、散々考えたにせよ、さっと思いついたにせよ、上手くいった時は「テトリスがはまった」と言っています。ブロックを組み上げて待っていたところに、全てのブロックを消し去るような形で次のブロックがぴったりはまる。そういう感覚です。

短編や掌編、リクエストして頂いたお題を使って書くような場合はまた違います。こういう作品は読む方も軽い味わいを求めていらっしゃることが多いですから。

短編などの場合は原作を見ていて想像したキャラクターの動きや、友人と会話していて話題になったこと、あるいは長編を書く時に必要ないので削ったパーツなどからネタを練り直しているものが多いです。言葉にすると「ネタのストック」でしょうか。

ストックしておくと「あれも書きたいしこれも書きたいな!」というやる気を持った時の気持ちを失わずにいられるので、自分のモチベーションにもなっていると思います。あと長編に無駄なシーンを入れすぎて意味不明になるのを防げます。溜めたままデッドストックになることもまあ結構あるのですが、それはそれ。本当に書きたかったら死ぬので書いているのでしょうし、そのネタとはご縁がなかった、ということにしています。

構成が弱み

詩的な表現がヘッタクソです。どちらかというと理系の考え方をする部分が多いので、あんまり情感的な文章にならず、リリカルポエムを書きたいのに論文になって頭を抱えることがあります。ここはセンスも大いに関係する部分だと思うので、リリカルな文章を沢山読んで少しでもセンスを吸えたらいいなと思っています。

あとは構成がヘッタクソです。びっくりするほど下手です。構成で見せていくようなシチュエーションコメディやミステリが書けません。物凄く憧れるジャンルなので、いつかはモドキでいいから書いてみたいと思っています。

そういう訳で物語の構成についてはいつも勉強しなきゃ、と思っています。実際にちゃんと身になっているのかどうかは怪しいですが、石の上にも三年という言葉もあるのでがんばります。

他にもたぶん色々あるのですが、自覚している中で一番の問題点だと思うのはこの二つです。うう。精進。

強みは「思考回路モデル」

強みは自分で答えると「ないです」で終わってしまいます。冗談ではなく、私は自分の作品があまり好きではありません。友人たちには結構叱られるのですが、やはり自分の技術は自分で見るとまだまだ稚拙で、改善点ばかりが目に付いてしまいます。しかしこれでは答えにならないので、頂いたことのあるお言葉の中から認識した良いところを言うことにしますね。

まずひとつに、キャラクターのバックボーンや心理がメカニカルにはっきりと書かれていることです。心理描写が丁寧、良い、とよく言って頂きますが、これは私がキャラクターの生きてきた道筋を考え、そこから思考回路の道筋を導き出すからかな、と思います。一人の人間としてのキャラクターの思考回路を作り上げて、自分はそれをなぞったり観測するような感覚です。オリジナルでも二次創作でもこの工程は同じなので、どちらでも同じようにキャラクターの厚みがあるのかもしれないと思います。

もうひとつは、意外性の演出です。私自身が意外性のあるキャラクターを好きになることが多く、振れ幅の大きいキャラクターの描写が好きです。オリジナルでも二次創作でも、やはりキャラクターが意外な一面を見せるシーンというのは印象に残りやすいと思います。読んだ方にも同じように思って頂けるようで、原作で二面性のあるキャラならその二面性が何故生まれたのかという部分やそこに至るまでの展開の落差、オリジナルなら隠された一面の魅力について感想を頂くことが多いです。

作風が確立されたとき

私の書く二次創作は主にいわゆる「BL」なのですが、BLの中では少し変わったもののようで、この作風を一言で分類するなら、「少年誌風アクションBL」でしょうか……。作風と呼べるほど文体や構成が確立されたのは七年前です。

当時のジャンルで書いた二次創作作品をとても気に入ってくださった方がいて、作品について様々な言葉を頂きました。その方自身も素晴らしい作品をつくられる創作者さんで、私の作品の良さや強みを創作者の視点から、論理的に説明してくださいました。それほどの言葉を頂けるような作品とは今も思えていませんが、頂いた言葉に励まされたこと、自分の「作風」を意識するきっかけになったのは間違いありません。

全ての出来事が唯一で特別なものだと伝えたい

二次創作であれば、原作にどんな魅力があったか、どれほど素敵な作品だったかを伝えたいです。オリジナルであれば、世界の美しさや醜さです。

どちらにせよ、生きることには多くの出来事があるということを伝えられれば良いなと思います。嬉しいことも、悲しいことも、楽しいことも、つらいこともある。生きていれば沢山のことがあります。そのひとつひとつが二度とはない経験で、その時限りのものです。同じように見えてもまったく同じ経験はありません。どんなに苦しい経験でも、忘れたい過去でも。楽しい日々も、忘れてしまった嬉しいことも。あらゆる経験が人をかたちづくります。そして同じ経験が世界にひとつもないなら、そこからかたちづくられた人間もまた、同じものはひとつもないのでしょう。そう伝えられたら良いなと思っています。

なぜあえて「小説」なのか

言葉という道具が強さを持っているからでしょうか。

人が人に何かを伝えるために、言葉は生まれてきました。それはかつては命に関わる重要なことを伝えるために使われ、やがて社会という人間の生きるシステムを維持するために使われる道具になりました。いつしか人はその道具に心と空想を乗せ、多くの人に心を伝える手段としてきました。

現代には様々な形式の物語があります。漫画、演劇、映画、アニメ、ドラマ、ゲーム。他にも多くの物語があります。けれど、その中にまったく言葉が使われていないものはごく少数です。漫画にも演劇にも映画にも台詞があるものは多いですし、大多数のドラマやアニメやゲームには脚本家やシナリオライターがいます。

小説は「言葉」だけで構成される物語です。全ての源流であり、ゼロを一に変える魔法です。

小説は何でも出来ます。多くの表現方法が確立された現在、小説に向いている物語とそうでない物語はありますが、それでも「小説で書けない物語」は無いです。私はそう信じています。そして読者の方にもそう信じて頂けたなら、それは幸せなことだと思います。

その方が読むのが、私の作品ではなくてもちっとも構いません。素晴らしい小説を読んで小説の可能性を信じてくだされば、それが一番の幸せだと心から思います。

現代では、好んで小説という媒体を読まれる方は減りました。原作が小説で、コミカライズがあってアニメ化やドラマ化があったなら、一番多くの人が見るのはきっと原作の小説ではないのでしょう。そんな時、たとえばもし、好きなアニメの二次創作で楽しい小説に出会ったら。もしかするとその人は、小説って面白いな、原作の小説も読んでみようかな、と思うかもしれません。素晴らしい小説に出会うための手助けとして、もし私の作品が小説の楽しさを知るきっかけになれば幸せです。

創作の信条は自分の気持ちに嘘をつかないこと

私は、何を書きたいのか、どんなものを受け取って頂きたいのか、それが曖昧なままで誤魔化してしまったり、嘘になってしまうのは創作という行為にも読んでくださる方にも失礼だと思っています。私の場合は食うための創作ではなく、あくまで趣味です。自分のやりたいことを目一杯にやってもいい活動なので、そこを誤魔化すのはやりたくても出来ない人に対しても失礼になります。

だから私は、一人の同人活動をしている人間として元気よく「やりたいことやれるんだよ!」と伝えていきたいのです。自分の追求したい表現を、心の赴くまま好きなだけ追求していける。これが同人活動の楽しさであり、きっと創作するということの喜びもここに繋がっていると思います。

世の中には「ヒトカラ」という言葉があります。一人でカラオケに入って一人で歌うことです。これは決してプロを志すような方や、歌の練習をしたいがための行動ばかりではありません。

ヒトカラでは他人に褒められることなどありません。その歌を聞くのは自分一人なので当たり前です。けれど気持ちがいい、楽しい。同人活動も同じなのです。
自分の気持ちを、人に伝えたいと思ったことを、我慢しなくていい。力いっぱい表現していい。それはどんな人にとってもある種の快感だと思います。その楽しさをも、全身全霊で表現していけたら良いなと思っています。

既に創作をしている方へ

既に長く続けていらっしゃる方に対しては、私などが何を言っても釈迦に説法状態のような気もするのですが、仲間として「ここにいるよ」とお伝えしたいなと思います。

同じように悩み、苦しみ、時にはもう書くことを辞めてしまいたいと思いながら、どうにも言葉が止まらず結局書き続けているのは、貴方一人ではないです。

小説を書くということはとても大変な作業です。小説に限らず、ほぼ一人の人間が創作作品を作り上げるというのは、多くの苦労と悩みが伴うものです。けれどそうやって作り上げている人間は、一人ではない。

技術の巧拙ではなく、表現形態も関係なく、本質的な創作の苦しみとはどんな人にも共通のものだと思います。しかしその苦しみは普段具体的に発信されることはありません。それは一人一人の心の中だけの体験であり、他人には理解出来ない要素も沢山含まれているからなのでしょう。

けれど、こうしてインタビューを頂く機会を得た私が、自分の苦しみ方をここに答えています。マシュマロマガジンさんのインタビューに答えた他の方も同じです。みんな、苦労も大変な思いもしている。そして、それでも創作することが楽しくて仕方ない

そうやって作り出している人が、世界には沢山いるのです。創作をしていて苦しい時、つらい時、もう嫌だと思うほど悩んでしまう時。離れていても一緒に歩く人々の存在が、どうか届けば良いなと思います。

「ここにいるよ」
それは私ではなくて、貴方の長年の創作友達かもしれません。あるいはSNSで親しくなった、顔も知らない人かもしれません。同じジャンルや同じ界隈で活動している、あまり話したこともない人かもしれません。

でも、ここにいます。貴方と同じように作り出すことを続けている人が。貴方の作り出す苦しみを、理解せずとも否定もしない人が。貴方の叫びたいことが、どんな形に出来上がるのかと楽しみにしている人が。隣にはいなくても。貴方の肩を抱いてあげられなくても。ここに、います。

ーー 何かを長く続けていると、「天才」の存在を理解することがあると思います。マシュマロ見習いも創作こそしていませんが、今まで様々な分野で天才に打ちのめされてきました。
それでも「天才」がなぜ「天才」なのかを理解し、パワーにかえている9番さんに深く尊敬の念を抱きました。9番さんに限らず、絶えず苦しみと喜びの狭間に身をおきながらも創作を続ける皆さんへの尊敬が一層深くなるお話でした。

ーー ここからは9番さんの精神性を支える技術についてお話しいただきました。
9番さんは「読んでもらうこと」そしてその先に「特別な経験をもたらすこと」を特に大切にしている印象を受けました。今回はそのための考え方、実践的な特訓方法までお伝えします。

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伝えるために必要な技術

ゴリラnoteの「読者の心理を動かす小説の書き方とは?」の記事で書かせて頂きましたが、語彙の豊富さと文法の基礎については、読みやすくするための最低限の土台だと思っています。

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