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創作で理想の世界をつくる 心を動かす描写のために

みなさんを創作沼に引きずり込むべく、すでに創作を楽しんでいる、いわば楽園の住人たちにインタビューをするこの企画「エデンの住人たち」。
インタビューは創作初心者のマシュマロ見習いが行っています。

「エデンの住人たち」第5回は黎月舞斗さん(@maito_cr)にお話をうかがいました! 黎月舞斗さんのとても繊細な心理描写の理由にせまっています。

今回は、前回のおすまし見習いではなく、いつもの元気いっぱい見習いスタイルでお届けです!

最初から読みたい方は以下の記事からどうぞ!

基本情報

Twitter:黎月舞斗(@maito_cr
pixiv:黎月舞斗
執筆ツール:一太郎(PC)、小説を書こう(スマホ)、Som Note(スマホ)、TxT Live
お気に入り印刷所:ホープツーワン

執筆ツールについては、最近、TxTLiveというWebツールも利用しています。インターネット環境があればスマホからでもPCからでも使えて、アーカイブや配信も出来る優れものです。どこを書き足したり削ったりしたのか見れるので、自分の作品でもアーカイブを見てみると面白いです。

創作のきっかけ

本の中にある世界に入り込むあの感覚が好きで、気が付けば誰に言われるまでもなく小説を書き始めていましたね……。自分の好きな話、読みたい設定は自分で作らなければ読めないと幼心に気付いたのかも知れません。

元々小さい頃からよく本を読む家系で育ったため、読書という趣味は小学校に上がる頃には定着していたように思います。

あとは、とても好きな作家さんのホームページに自分が書いた小説を投稿できるBBSがあって、当時から発表の場があった、というのも大きいかも知れません。

見習い:BBSというのは掲示板のようなものですか?

そうですね、掲示板でした。
連載ができたり、リレー小説の掲示板もあったりして、色々な人が投稿していたように記憶しています。
小さい頃で、好奇心が先行して小説の投稿に踏み切りましたが、きっかけとしてはハードルも低く、読んでくれる人がいる楽しさはそこで教えてもらった気がします。

見習い:小さい頃から今まで書き続けられているのはどうしてですか?

自分は世間的にマイノリティに位置付けられる立場ということもあり、自分の理想の世界に夢を見ているというのもあるかもしれません。

小説は、自分を表現できるツールであって、夢を見させてくれる舞台でもあるのかなと思います。元々空想家の気があって、その空想を具現化するツールを手に入れてしまったのが全ての元凶(?)だなと思います。

でも純粋に、小説を書くのが好きなのだと思います。
自分の思いどおりの世界を描けることが楽しいですね。

見習い:創作で自分の夢の世界をつくるというお話、とても納得いたします。
思い通りの世界を描くとのことですが、小説を書く際のアイディアも日常の何か、特に不満や嫌なことをきっかけに、昇華するために小説になっていくのでしょうか?

そうですね……特に思春期の頃はその傾向が強かったように思います。
私が中学生の頃は、やけにポエムが流行っていた時代でして、私も思春期特有の荒れた感情などを詩として吐き出したりもしていました。中学生の頃は詩を書いている方が多かった気がするのですが、もしかしたらそれが今の作風に繋がっているのかもしれないとふと思いました。

今も、創作を通じて発信したいテーマというのはあると思います。ただ、昔と違って日常の具体的な出来事を昇華するというよりは、常日頃考えている、社会に対する自分の考えを小説のどこかにエッセンスのように織り込む、という方があっているかもしれません。

見習い:具体的に、どのような手順で小説を書いていますか?

プロット無し派の小説の書き方

私は基本的には書きたいネタが思いついた時点で、1番書きたいシーンとそのシーンに至るための設定なんかも一緒に思いついている場合が多いです。

なので、ネタ自体がプロットになっているのかも知れません。ただ、そこから細かく色々な部分を突き詰めたりアウトプットしたり、という過程はありません。

ふんわりとした流れだけ脳内に持っていて、それに従って文章を書き始める感じですかね……。
なので、やはりどちらかと言えばプロット無しで基本行き当たりばったりだったり、きっとこのキャラクターはこう考えてこう動くだろうとその場で文章を紡いでいくスタイルなのだと思います。

短編であればそのまま書き出して、長編の場合も、きっかけは短編と同じで、話を膨らませられるように、設定を細かく作りこんだり、他に書きたいシーンをいくつか考えて、辻褄が合うように書き進めていきます。

プロットというプロットは立てないので、ある程度脳内を具現化したら最初に戻って読み直して……という継ぎ足し派ですね。

見習い:ネタとして浮かんだ時点でもうストーリーになっている方もいるのですね!

もしかしたら、小さなパーツパーツのネタが浮かんでいてもその状態では気付けなくて、ストーリーにならないとネタだと認知出来ないタイプなのかもしれませんし。きっと、個々の特性なのではないかな、と思います。

見習い:なるほど、ネタをネタと認知するタイミングも人によって異なるのですね。
小説を書いていて1番楽しいタイミングはいつですか?

1番楽しい工程は?

正直言ってしまえば、脳内で思いついたネタをこねくり回している時が1番楽しくて、アウトプットになった時点で割かし辛いと思いながら書き進めてはいます(笑)

下書きや推敲はほとんどしないので、アウトプット段階で肉付けみたいなプロセスがないため、文章を書き進めてる時は大体大変かもしれません。

脳内では終わりが見えているのに、書いている文章は全くそこに行き着けない時も多々あるのですが、なんで終わらない?!ってよく叫んでいます。

見習い:先ほど「プロットを練らないタイプのためある程度書いたところで最初に戻って継ぎ足し」とおっしゃっていましたが、その工程と推敲はまた違うのでしょうか?

なるほど……確かに言われてみると推敲なのかも知れませんね……?

私が考える推敲だと、削るところは削って、足りないところは追加して、という印象を持っているのですが、私はよっぽどの事がない限り一度書き上げた章や段落を大きく改変することがないので、あまり推敲という言葉と自分の行動を結びつけていませんでした。

単純に、どういった流れで書いていたのか忘れてしまうため、これから書く部分が、以前書いた部分と整合性が取れているか確認するために読み返している感じですね。

見習い:作風のお話が出ましたが、ご自身では自分の作品はどのような作風だと考えていますか? 

内面をとことん掘り下げる作風

作風かは分からないのですが、登場人物の内面を掘り下げるタイプだなとは思います。
行動から逆算して、こう動いたのは何でだろうという所に説得力をもたせられると楽しいですね。

見習い:自身の気持ちを詩にしていたことで創作の際にも登場人物の内面を考え、掘り下げるようになったということでしょうか?

そうですね。今思えばずっと自分の内面や感情といったものと向き合い続けてきたんだなと思います。

元の性格もあるかもしれませんが、私の人生は全て気持ち先行で成り立っているようなので、何か行動が起きた時には絶対に元になる感情がある、という考え方が定着したのかも知れません。
創作でもその考えがベースになっていて、まずは内面を考えるところから始まっているような気がします。

見習い:黎月さんは二次創作もよく書かれていますよね。既におもしろい原作に自分なりのおもしろさを加えるというのは難しくはないのですか?

おもしろさですか……
二次創作は、「こうだったらいいのにな」という願望を叶える手段だと思うので、そういう原作では見れないifを楽しむコンテンツなのかなとは思います。
絶対に原作ではありえないifを、どう表現するのか、が二次創作の「おもしろさ」でしょうか

同じジャンルでも、人によって全然違う話が出来上がりますし、同じテーマを扱っても、全く同じ話は出来上がらない、というのが面白いなと思います。
多様性、だったり、個性、だったりといろいろ言い方はあるかと思いますが、結局その人独自のアイディアや今までの経験など、その人しか思いつかないifが見れるのが「おもしろい」のでは無いかと思います。
「おもしろい(原作)」×「おもしろい(if)」の掛け合わせが、「おもしろい(二次創作)」にならないはずないと思うんですよね。

見習い:たしかに、おもしろいの2乗がおもしろくないわけがないですね……!
ここからはさらに黎月舞斗さんの作品のおもしろさの秘密にせまっていきたいと思います!

——この先の購読者限定コンテンツの中身をチラ見せ!——
・登場人物の行動心理を探る方法
・感覚を一般化するという壁
・自分の中にあるものを表す術を知らない方へ

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見習い:先ほどもお話がでた、登場人物の行動心理を探るために行なっているプロセスなどはありますか?

繊細な心理描写は役者の経験から生まれている

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