
プロット派とパンツ派の分類とそれぞれの強み
執筆スタイルには、大きく分けて2つの方向があります。プロット派とパンツ派です。
2つの分類
プロット派とは、ストーリーに関する情報である「プロット」を先に作り、その詳細を詰めることで作品にしていくというスタイルです。プロットは基本的に「3幕構成」「起承転結」「序破急」などの一定の枠組みが用いられます。たとえば3幕構成ならば全体を発端・中盤・結末に分け、幕の切り替わりとなるプロットポイントとなる要素を決め、そこから細部を詰めていきます。プロット派はいきなり本文を書くことなどありません。
パンツ派とは、プロットをしっかり作らないまま本文を書き出すスタイルです。一定の枠組みを用いずに、ざっくりとした流れだけ考えるタイプもパンツ派と言っていいでしょう。また、プロットは事前に考えるものの、本文を書きながら詰める割合が多いならパンツ派と言っていいかもしれません。
ちなみに「パンツ派」という言葉はなんともキャッチーな響きですね。「無計画にパンツ一丁で走り出す感じ」を揶揄した、日本のネットスラングかなんかかなと思う人もいるかもしれません。でも実は英語の「Pantser」を直訳した、割と真面目な用語です。
とはいえ直訳の「パンツ派」は変なニュアンスが生じますし、意訳して「ズボン派」にしてもまた変な感じになりますから、訳さず「パンツァー」「パンツィング」と表現されることが多いです。「プロット派」という言葉はよく使われるのに、「パンツ派」は避けられがちなのです。でもキャッチーで覚えやすいので、ここでは「パンツ派」をがっつり採用します。
さらにちなみに、「Pantser」の由来は英語の「感覚頼りの」という意味の「seat of the pants」という慣用句で、プロット派を意味する「Plotter」の対比として使われます。「seat of the pants」自体は、飛行機のパイロットが計器を見ずに、ズボンのお尻から伝わる振動等の感覚だけで操縦することを表現したものが由来です。
4つの分類
プロット派とパンツ派で大きく2つに分けましたが、それぞれの中でもさらに細かい流派に分かれていると思います。
プロット派は使っている枠組みごとに無数の分類ができるでしょう。しかし多くの枠組みに共通しているのは、「ストーリーを分割し、変化が起こる部分を考える」ということです。枠組みごとの違いは、ほとんど「どう分割するか、変化をどう捉えるか」でしかないように思います。ですからプロット派は無数の流派に分かれつつも、実質的には1つとみなしていいように思います。
一方でパンツ派はそこまで多くの流派に分かれていませんが、違いの明確な3つに分類できると思います。ちなみにこの3つの分類は一般的な用語を知らなかったので、この記事を書くにあたって適当に命名しました。いい用語を知ったら差し替えます。
というわけでそれらを踏まえて考えると、執筆スタイルは以下の4つの分類で考えるのがいいかと思います。
・プロット派
・即興パンツ派
・思考実験パンツ派
・継ぎ足しパンツ派
以下、それぞれについてざっと説明します。
プロット派
・強み
プロット派の強みは、主に以下です。
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