ご都合主義にならないプロット術とその習得法
描写のコラムがまだ続いていますが、先にこっちを公開します。
購読者の一人でもあり、褒めちぎり企画の「期待超えマシンガン」の方からこんな相談が届きました。
こちらへの回答を、コラムとして少し手直しして公開します。
この方は期待超えの流れが上手です。たとえば「Aが来るかな?」という文脈でAよりさらに良いA'を出して文脈変化を作り出すやり方です。『アナと雪の女王』で言えば、アナがハンス王子と出会い「恋仲になるかな?」という文脈が形成されたところでいきなり「結婚しよう」「ええもちろん」に持っていっちゃうような流れです。
一方で下げて上げる流れのというのは、「Aが来るかな?」という文脈で-A、つまりAの正反対を出してからAにつなげるやり方です。『アナと雪の女王』で言えば、アナがハンス王子から「真実の愛をもらえるかな?」という文脈が形成されてから、一転してハンス王子に裏切られて「真実の愛をもらえない」になり、そこからエルサから「真実の愛をもらえる」につながる流れです。
この下げて上げる流れは、字数が多いほど重要になってくるかと思います。なぜなら、長いほど期待超えをし続けるのは難しいからです。褒めちぎり企画で送ってもらった短い文章では期待超えを連発しており、それは明らかな強みです。しかしそれが強みであるということははすなわち、普通の人は短い文章でも期待超えをし続けるのが困難だということです。ですから長い文章だと、もはや不可能になってきます。そういうわけで、たとえ期待超えの流れが持ち味だとしても、数万字を超えるならやはり下げて上げる流れも使えるほうがいいでしょう。