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面白さの構造・講評サンプル

課題への回答は人それぞれで、そして明確な答えがないものです。だから「解答」ではなく「回答」でしかないのですが、「回答」に対してもフィードバックがほしいという声が多数寄せられました。

そこで、↓の記事の課題は、専用フォームに回答を送ってくれれば講評することにしました。

しかしどんな風に講評されるかわからないため、送るのを躊躇している人もいるかと思います。また、いわゆる「ダメ出し」をされると誤解している人もいるかもしれません。

というわけで、講評のサンプルを用意してみました。マシュマロ式とは別シリーズである「エデンの住人たち」でインタビュワー(聞き手&記事作成)をやってくれている「マシュマロ見習い」さんに課題をやってもらったので、それをマシュマロちゃんが講評してみます。見習いさんは創作経験もほとんどないのですが、頑張ってやってくれました。

基本課題

基本課題は以下です。

以下の例文に文章を追加し、文脈を変化させてください。ただし、ある程度の納得感を持たせること。また、追加するのは一文を想定していますが、二文以上書いても可とします。

例文
窓の外を見たら、地面が濡れていた。

これに対する見習いさんの回答が以下です。

窓の外を見たら、地面が濡れていた。どうりで空気がひんやりとしてきたわけだ。吹き込まないように窓を閉めるが、その向こうは雲一つなく、意外なほど明るい。
「きつねの嫁入りって言うんだよ。こういうの。」
もうずっと前に別れたはずなのにこんな、あまりに些細なことで、あの時の情景ごと鮮明に思い出される。
外の明るさに反してわたしの心は重く沈んだ。

まず文脈変化という点で見ていきます。最初に天候の話をしており、そこから失恋の文脈に変化させています。天候の話の時点では失恋の文脈はまったくありませんから、大きく文脈を変化させられていると考えていいでしょう。素晴らしいです。

さらに文脈変化の効果を高めるとしたら、変化の速度を上げることじゃないかと思います。新しい文脈をなるべく短い文章でスパッと伝えるとスパッと文脈が切り替わるので、より面白くなるでしょう。

次に納得感という点で見ていきます。「どうりで〜」から続く描写が、リアリティを強化しています。それにより、天候の文脈をしっかり確定できています。なにげに初心者らしからぬ技ですね。記事を一生懸命読んでくれたか、素質があるのでしょう。

そこから文脈変化させた後にも納得感があるかもチェックします。急に「狐の嫁入り」に関して言及しているということは、急に文脈が変わるということです。その飛躍にどういう納得感を用意するかが肝ですが、昔の失恋についてふと思い出してしまう感じとして表現することで、しっかりと整合性が作られています。素晴らしい納得感ですね。

実は最初に提出した際には文意が伝わりづらかったので、修正をお願いしました。文意が伝わらないと、読み手の中に整合性が形成されないからです。修正してもらったらちゃんとわかりやすくなっていたので、素晴らしい対応力です。

さらに良くするとしたら、もう一段階、文意がすっと頭に入るようにすることでしょう。そして全体の中で最も改善の余地があるのもその点だと思います。たとえば挿入された台詞の直後に「ふと彼の言葉を思い出す」といった旨の、台詞が何であるかを明確にするような言及があると読者はさらに楽に読めそうです。

以上のような感じで、講評は主に今回の課題の狙いである文脈変化と納得感という2点を軸にしていきます。その2点の範囲内でのみ、よくできているかどうか、更に良くするにはどうすればいいかを伝えていきたいと思います。課題をやってみたのでフィードバックもほしいという方は、ぜひとも締め切られる前に急いで課題の回答を送ってください。

チャレンジ課題1

次はチャレンジ課題の講評に進みます。ただ、どんなチャレンジ課題が出たかを知ることができるのは購読者だけですので、ここからは購読者限定コンテンツとなります。

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5,460字

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