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戦コン内定者思考解説 [フェルミ推定編] 

戦略コンサルを目指す全ての人に読んでいただきたいです。

初めまして。私は今年の4月から戦略コンサルで働くものです。
入社先を決めてからは、選抜コミュニティでのメンタリングや、大学の直接の後輩のケース対策指導を行い、彼彼女らの多くがMBB、Tier2等のオファーを獲得しました。

私自身、言葉の運用に課題感を抱いたため、Xやnoteを言語化→磨き込みの習慣構築のために活用しています。

入社後も定期的に日々の学びを投稿していく予定ですので、是非フォローお願いします。

この記事は、戦略コンサル就活生が効率的にフェルミ推定を面接通過レベルまで到達させるために書きました。
私自身、元々怠惰気味の性分であることに加え、戦略コンサル就活を経験したことで最適化に対するこだわりは人一倍強く持っています。
是非こちらを読んでいただき、皆様には無駄な道を通ることなく、フェルミ推定を攻略していただきたいと思っています。

元々本記事は有料で公開していました。
しかし、私は4月から社会人で、就活関係から完全に離れることもあり、自身を人として成長させてくれた就活に対する恩送りも兼ねて、同じく戦略コンサルタントを志す後輩達に無料公開します。

皆様の就活に貢献できていましたら、いいねと拡散お願いいたします。
さらなる記事作成のモチベーションになります。


これより先は常体で記載していきます。


本noteの位置付け

────戦略コンサル内定レベルのアウトプットはどのような水準なのか?
書籍(東大ケース本等)にて、「前提確認、現状分析、立式、数値の設定、計算」という一般的な進め方は学んだ上で、

戦略コンサル内定者も実際にこのような順序で思考を行っているのか?

各ステップで何を意識すれば良いのか?

どのような時間配分で進めれば良いのか?

上記の疑問を持つ人が多いと思う。

本noteが悩みを解決する


本noteは「30分」で、
フェルミ推定にて目指すべき水準
フェルミ推定における戦略コンサル内定者の実践的な思考法
・ギャップを埋めるためのトレーニング法

を学べるように作成した。

特に26卒は早期から就活を始める層が増えていると見受けられるが、対策量において優位性があっても、

正しい方向性*効果的なトレーニングでなければ、犬の道を歩むことになる。

誤った方向性の対策は内定レベルへの到達を遠ざけることすらある。

このような状況に対し、本noteは正しい方向性の理解ギャップの認識効果的なトレーニングの提供を軸とし、"効率的に"フェルミ推定の実力を内定レベルに到達できるよう作成している。



────具体的には、下記を意識し構成した。

・戦略コンサル本番面接での実際のアウトプットを修正せず記載し、戦略コンサル内定に向けて目指すべき水準を可視化

・戦略コンサル本番面接の緊張感、実際の思考の流れを再現

・抽象的、一般的な解説だけでなく、コンセプトを用いる具体の文脈をセットで記載

・具体的な時間配分、進め方の細かいテクニック等、フェルミ推定全般に適用可能なTipsの提供

自身が、就活時代の経験+メンタリング経験(50回以上)から得た学びを多分に含めている。
市販の書籍と比較し、戦略コンサル面接本番という環境及び、フェルミ推定の初級者、中級者が躓きがちなポイントへの解像度の高さという観点では格段に上回った内容となっている。


[購入検討者に対して、伝えたいこと]→無料にしました。(2024 03/08)

────また、推奨する読み方は次のようである
「国内のピアノの年間販売台数を算出せよ。」を3分で解く。
下記の問いを意識しながら、読み進める。

  • 戦略コンサル内定レベルのアウトプットはどの程度であるか?思考プロセスはどのようなものか?→目指すべき水準の把握

  • 上記の水準と読者のアウトプットのどこが異なるか?そのアウトプットの差分を生じさせている、思考の差分はどこにあるか?→理想と現状の差分の特定

  • 上記の差分を埋めるために、具体的にどのようなトレーニングを行っていくべきか?→問題を埋めるための実行策の決定

メッセージは「戦略思考を『フェルミ推定を戦略コンサル内定レベルへ到達させる』という目標に向けても回すべき。」だ。


────内容は、以下の通り進めていく。
・フェルミ推定の思考の流れ
・「国内のピアノの年間販売台数を算出せよ。」を解いた際の思考の流れ(思考時間は3分の設定)
・汎用性の高いTips

自由にアップデート可能なことが、紙の書籍と比較してのデジタルコンテンツの強みだと思う。
今後もアップデート予定なので、加筆してほしい内容があれば是非コメントいただきたい。

2023 11/21
Xでも戦コン就活対策関連のツイートをおこなっていますので、是非Xの方もご確認いただきたいです。


また、先日以下のフェルミ推定の効率的な習得法に関するツイートをしたので、こちらも併せて読んでいただけたら良いと思う。

このポストに補足で、特に初期は目指すべき水準を正確に理解することが重要だと思う。ゴール、ゲームのルールを理解して、初めて対象に対して最適な経路を歩むことができる。
東大ケース本のアウトプットがゴールであり、東大ケース本でふまれているような思考プロセスを見せることがゲームのルールだと勘違いして始めると、真に目指すべき水準に対しては大きな迂回となる。

初期の段階で、目指すべき水準を的確に言語化されている方からの指導を受けることが何より重要だと思う。

こちらのゴールとゲームのルールを正しく理解できれば、そのゴール、ゲームに対して最適な経路を描き理解し、努力により自分の姿を近づけていくプロセスに移る。
その際の最適な経路のプランニングや現状の評価においてもメンターがいた方が良い。一方で、自分から動かないと指摘をもらえないこともあるため、自身で仮説を持って能動的に質問していくことが重要だと思う。

フェルミ推定の思考の流れ

大まかに以下のステップで思考を進めていた。

  • 前提確認

  • 現状分析(アプローチ仮説、切り口仮説の幅出し)

  • 因数分解

  • 数値の仮置き及び計算

  • 詳細な分解

  • 数値の修正


この先を読み進める前に、
「国内のピアノの年間売上の推定せよ」というお題に取り組んでみてほしい。

以降本お題を例とし、思考の流れを解説していくので、現状の自身の思考とのギャップを特定することを意識して、読み進めると良い。

前提確認


まず、前提を固める所から始まる。

────このフェーズを形式的なものとして捉え、軽視している人を多く見かける

そもそもロジカルシンキングとは、
目的、全体観(どこまでが検討範囲、どこからがアウト)を前提として、
その目的に到達するための手段を因果関係、ファクトをもとに選定していく思考である。

全体観の決定及び、その中での優先順位の決定にもなる前提確認を怠ってしまうと、────つまり、偽の全体観を前提条件として、合意の取れていない優先順位のまま進めると────どうしても詰めが甘くなる。

前提確認の重要性を再度噛みしめていただきたい。


では、この「前提確認」は、具体的に何を行えばゴールなのか。

・言葉の定義の明確化
・計算範囲の選択

上記2点をゴールとして、前提確認が十分か否かを判断すると良い。


────まず、言葉の定義の明確化は、
お題文に含まれる要素は何で、含まれない要素は何かという境目を明確にするプロセスを指す。

「ピアノ」を例にすると、
ピアノというと、グランドピアノ、アップライトピアノ、電子ピアノ等、様々考えられるが、どれを含み、どれを含めないかという議論だ。

また、年間販売台数という単語は、新品、中古販売どれを指す言葉なのか、のような議論も想定される。特にピアノは竹本ピアノのCMが流れている様子を見ると、中古マーケットが賑わっている可能性も大いにありえる。

出題者との間で、その言葉が何を含んで何を含まないかの境目が揃ってないのは、その後の推論以前の問題であり、依頼に答えられていない無駄な思考と化す。


実際にメンタリングを行う中で、特に前提確認ミスが見られるのは、1企業の売上向上がお題で、複数のマネタイズポイントがあるケースだ。

例えばJリーグの1チームの年間売上推定を出題した際に、「チケット代、食事代で~億円です。」というのが具体的な例である。
具体的に想像していただいたらわかると思うが、広告収益や、放映権収益等も含まれるはずだ。


常に具体的には何が含まれて、逆に何が含まれないのか、と思考を回し、
言葉の定義の厳密さにこだわるべき



境目はどこにあるのか?


────続いて、計算範囲の選択と集中は、
定義された要素を与えられた時間と自身の能力という制約条件下で、どこに注力して計算し、どこは計算しないのかという境目を明確にするプロセスを指す。


言葉の定義の明確化との関係性は以下の通りだ。

・言葉の定義の明確化→全体像の確定
・計算範囲の選択と集中→全体像の中から、時間内で計算する箇所の確定

「ピアノ」を例にすると、
言葉の定義の明確化にて、グランドピアノのみをピアノと定義した後に、音楽教室、公民館、学校、個人世帯等様々な購入主体が存在するが、

・思考時間
・自身の計算スピード
という制約条件下で、

どこに注力して計算するのが、解答の正確さに対するインパクトが大きいのか?」
という議論だ。

戦略コンサルは総合コンサルと比較し、蓄積情報、割ける人材が少なく、情報戦では戦えない。
そのため、早めにアウトプットのイメージを設けて、論点を絞り込み、効率的に調べ詰めていく必要がある。

この思想との親和性が見られる一つのポイントが、適切な選択と集中ができているかだと思う。

全部やる、ではない。最初にやるべき箇所を見極めるという発想

制約内で目的達成する上で、何が重要で時間をかけるべきポイントかの
見極めを常に行う


────これらの2つのゴール到達に向けて、私が意識して行っていたことは、

  • 自身の無意識の前提を言語化すること

  • 自身の思考を批判するスタンスを持ち続けること

「ピアノ」を例にすると、
「ピアノって音楽室に置いてある感じのものか」が無意識の前提となる。

しかし、これを批判的に見ると「音楽室にあるグランドピアノだけがピアノなのか?」のような問いが出てくる。そうなると、思考から抜け落ちていた、家に置かれるアップライトピアノや、電子ピアノの存在に気が付くはずだ。

また、「音楽室以外にもあるのではないか?」のような問いも出てくる。すると、ピアノを習っている人の家、音楽教室、稀に駅にもあるよね、のようなことが頭に浮かび上がってくる。

思考を細かく言語化し、その今持っている思考を常に批判的に見る

これが自然とできるようになるまで、まずは強く意識して取り組むべきだ。
特に自身でチェックリストを作成し、解いた後の振り返りを行うのが有効な打ち手だと思う。


このように①言葉の定義の明確化、②計算範囲の選択と集中のステップが完了したら、前提確認は終了だ。


────補足となるが、実際の面接ではこの前提確認に際して、二つのパターンが存在する。

①問いを解く前に、出題者に質問できるパターン
言葉の定義の明確化、計算範囲の選択と集中に関して、仮説をぶつけ、出題者からの合意を取りにいくべき。

②問いを解く前に、出題者に質問ができないパターン
言葉の定義の明確化、計算範囲の選択と集中に関して、出題者の意図に思考を巡らせ、出題者が納得するかという視点を持ち、設定することが重要だ。

解きやすさといった、解く側の論理ではなく、
必ず出題者側の論理に沿って、設定するべき


上記の思想は仕事で行う全てのアウトプットに共通する。

自分自身の論理に沿った意思決定は趣味の領域の話でしかない。


仕事で行うアウトプットの目的は、総じてそのアウトプットを通して、他者を動かすことにある。
となると、そのアウトプットを評価するのは、自身の論理ではなく、他者の論理であることは必然である。

私がメンタリングを行う中でも、自身の論理に拠り、相手の視点が欠けている方が多く見られる。
例えば、「簡易に計算が可能であるため、Aのみを算出します」といった発言が該当する。
フェルミ推定は時間内で最大限精度の高い推定を行うことが相手が提示している目的であり、その相手の論理に沿って設定する必要がある。

しつこいようだが、"客観視の思想を強く持つべき"である。


そして、私は「ピアノ」にて、以下のように前提を置いた。
・ピアノとはグランドピアノ、アップライトピアノを想定する。電子ピアノは含めない
・販売台数は新品とする。中古販売は含めない
・ピアノが置かれている場所の大半は家庭であると考え、家庭に絞って計算する

前提を揃えてからが、フェルミ推定の始まり


現状分析(アプローチ仮説、切り口仮説の幅出し)

────現状分析という言葉は、抽象的すぎて上滑りしている。現状分析をしなければと思うものの、なぜする必要があるのか、実際に何をすれば良いかわからない人も多いだろう。

まず、現状分析の意義から説明する。
現状分析が必要なのは、

「重要な因数の漏れ、因数を精緻化する際の切り口の漏れを防ぐためだ」

現状分析ーーーーその商材・サービスの特徴や、消費者行動に対する分析ーーーーなしに、頭にある既存の分解式を当てはめることから入ってしまうと、その枠組みから外れたものに対する認識が難しくなる。

すなわち、そのお題ならではの重要な因数や、その因数のメカニズムが際立つ切り口が抜け落ちやすくなる。

そういう人はフレームワーク病などと揶揄される対象である

人は自身が思っている以上に、今見ている枠組みに囚われやすいものだ。
例えば、男女や年齢という切り口で考え始めたら、フェルミ推定をしたことない人が第一に想起するようなそのサービスの使用率が大きく分かれる居住地域、季節といった観点が抜けたりする。

実際、選コミュ対策としてフェルミ対策を1ヶ月ほど積んでいたサークルの後輩に、アイス屋さんの年間売上推定というお題を出題した際、男女、年齢という切り口を当て込み、女性の方が甘いものを好む、若年層の方が冷たいものを好むといったロジックを主張していた。
その後のディスカッションでも、枠組みにとらわれていたせいか、結果として、アイスの消費量において気温が重要であるという、普通に考えれば気付くような重要な切り口を見逃していた。


最初に抽象化された枠組みから思考を始めるのは、因数及び因数を分解する際の切り口の漏れを生む恐れが非常に高い。後戻りすれば良いのではと思うかもしれないが、ある程度思考内容が構築された段階にて、ゼロベースで考え直すのは非常に難易度が高いことだ。

ゆえに、抽象的な思考にてバイアスが生じていない、初めの段階に現状分析という名の具体的な思考を行うことが重要だ。

誰しもバイアスにかかるという前提に立ち、対応策を講じよう


────重要な因数、切り口の漏れを防ぐために、商材・サービス、消費者の双方の観点から思考を巡らすと良い。

より具体度を上げると、下記の問いを中心に考えると良い。
私は無意識的にこれらの視点を半ば並行的?に考え、示唆を出しているが、初期の段階は意識的に取り組み、視点の抜け漏れを減らしていくべきだと思う。

・①本商材・サービスに対する、マクロな購買行動における特徴は見られるか?
・②本商材・サービスの主要な提供価値は何で、それが刺さるのはどういう属性の人か?
・③消費者が本商材・サービスを購入する際の、購買・保有のフローはどのようなものか?その際に制約となるものはあるか?
・④本商材・サービスの供給フローはどのようなものか?その際に制約となるものはあるか?

────各問いに思考を巡らすことで、以下のような因数、切り口に対する仮説が導出される。

・①本商材・サービスに対する、マクロの購買行動における特徴は見られるか?

具体例

VRゴーグル
直近数年で多く購入されるようになり、市場規模が大きく伸びている商品
フローで算出、もしくはストックを単年に割り戻すにしても今年の購入割合を高めに置く必要がありそう。

冷蔵庫
既に多くの世帯が保有しており、買い替えがメインになっている市場が成熟状態の商品
新規で保有する人と捨てる人の数を相殺しても良さそうだから、ストック/買い替え年数で割り戻して、算出できそう。


AirBnb
近年、宿泊ニーズを持つ人が、刺激や現地の暮らしを体感することに魅力を感じ、利用者が大きく増えているサービス
フローで算出、宿泊ニーズを持つ層がどの程度いて、それに対して本サービスの提供価値が刺さる層がどの程度いるかを掛け合わせることで算出できそう。

②本商材・サービスの主要な提供価値は何で、それが刺さるのはどのような属性の人か?

具体例

アイス
味・食感の良さ、クールダウン機能等が主要な提供価値
クールダウン機能が刺さる分、夏に多く外出をしている人の消費量が多い。

少年漫画
安価な娯楽、モチベーション向上・学び等が主要な提供価値
金銭的に余裕はないが、可処分時間が多いため、特に若年層には安価な娯楽という提供価値が刺さりやすい。
近年は、モチベーション向上、学びという側面から、ビジネスマンの購入量も増えていると思う。

ゴルフ場
スポーツとしての楽しさ、社交の場としての機能が主要な提供価値
接待の機会が豊富である、社会人、特に営業の方の利用回数が多いと思う。
また激しい運動を伴わないため、高齢者の方も利用している印象がある。



③消費者が本商材・サービスを購入する際の、購買・保有のフローはどのようなものか?その際に制約となるものはあるか?

具体例

ペット(犬)
個人で所有するものではなく、家族で所有するものであるため、世帯ベースで考えると良さそう。
ペットは飼育環境を整える必要があるため、購買に際しての障壁が非常に大きいため、そのことを反映するには、世帯数*購買可能割合*実際に購入する割合*平均購入価格*1/平均飼育年数が良さそう。
また、ペット購入以外にも餌購入やメンテナンス等の継続して購入する商材・サービスもあるため、それは分けて考えると良さそう。
飼育環境の整備という観点から、一人暮らしでは難しいため、世帯形態別の切り口が良さそう。また、購入コスト、飼育コストの負担が大きいため、年収という切り口も良さそう。

Netflix
買い切りではなく、継続課金のサービスなので、人口*利用率*月当たり単価*平均利用月数が良さそう。
購入者一人に対して、利用者が複数生じるサービスであるため、合計の利用者を算出した上で、一アカウントあたりの平均利用数で割る必要がありそう。


大病院
初診では地元のかかりつけ医に見てもらい、そこで紹介状をもらって大病院にかかることが多い。ゆえに、クリニックの受診患者数*大病院への紹介状をもらう割合*年間負担額/個人負担割合が良さそう。
外傷に関しては、外傷を負う可能性の高い行動を行う回数、体の耐久性が因数で、若者はスポーツ等により前者の可能性が高く、高齢者は後者の可能性が高いため、割合において大きな差異は生じなさそう。一方で内傷は高齢者の割合が格段に高いと思われるため、年齢別の切り口が良さそう。


④本商材・サービスの供給フローはどのようなものか?その際に制約となるものはあるか?

さわやか1店舗の売上(静岡のハンバーグチェーン)
常に満席であり稼働率が固定的であるため、席数*営業時間における回転数*平均利用額で考えると良さそう。

コンサルティングファーム
供給フローの中で人材数が制約条件となっており、社員数*対応可能案件数*稼働率*平均請求額で考えると良さそう。

渋谷のスクランブル交差点にあるスターバックス
常に混んでいる状態で、テイクアウト利用者も多いため、席数というよりレジのキャパシティが制約条件となっている。レジ数*レジ対応可能数/h*営業時間*平均利用額で考えると良さそう。


────これらの問いを全て同じ重みで考える必要はない。
各問いに同様の重み付けで時間を割いていては、本番の時間制限(3分)では間に合わなくなる。
そのため、例えば、供給から考えるのが明らかに筋が悪そうなお題であれば、その点に関する思考は深める前に切り捨ててよい。


このプロセスは調理前にまな板の上に多種類の生の具材を用意するイメージ



────私は「ピアノ」にて、以下のような思考過程を辿った。

・①本商材・サービスに対する、マクロな購買行動における特徴は見られるか?
時系列で購買量の大きな変化は見られない。
ゆえに、ストックをフローに割り戻す方法での算出が良いのではないか。

(参考)無思考でストックをフローに割り戻す算出法を活用している人がいるので注意

ストックを買い替え年数で割ることで、フロー(年間売上)が算出されることが成り立つのは、
今年度のストック=昨年度のストック+(流入量-流出量)という数式の中で、流入量と流出量がほぼ等しく相殺される場合に限る。

流入量-流出量=0とすると、ストックの中の一部が買い換えられる購買行動のみを数えること、つまりストック/買い替え年数の算出方法で、フロー(年間売上)を求めることが可能になる。

そのため流入量>流出量、流入量<流出量が明確である段階の商材に関しては、このような算出方法は成り立たない。

流入量>流出量の例で言うと、
スマートスピーカー、VRゴーグル、コロナ禍のゲーム機等の流入量が指数関数的に伸びている一方で、最近購買され始めたがゆえに未だ流出のタイミングに至っている顧客が少ないような商材が当てはまる。全ストックの中で、過去年度と比較して、今年度に購入されている割合が高いことを考慮した計算を行う必要がある。

流入量<流出量の例で言うと、
携帯オーディオ、電子辞書等の流入量が減少し、一方で流出は変わらず進んでいるような商材が当てはまる。全ストックの中で、過去年度と比較して、今年度に購入されている割合が低いことを考慮した計算を行う必要がある。

ストック/買い替え年数ではなく、ストック*今年度購入された割合のような形で算出すると良い。
今年度購入された割合は、平均保有期間、その期間における売上分布を設定し、算出すると良い。


・②本商材・サービスの主要な提供価値は何で、それが刺さるのはどのような属性の人か?

便益は練習頻度が増えることで、「上達スピードが早まること」が主だと考える。
となると、主たる顧客は、教育目的で子供がピアノ教室に通っている世帯、プロ及びプロを目指している個人及び世帯が想定される。

人数は圧倒的に前者の方が多いと想定されるので、ピアノ所有率に関して、簡易に「子供の有無」という切り口で分けるのが良いのではという仮説が立つ。

・③消費者が本商材・サービスを購入する際の、購買・保有のフローはどのようなものか?その際に制約となるものはあるか?

消費者の購入・保有フローは、ピアノを始める→上達を求めて、購入したいと相談する→楽器店に行く→電子ピアノと比較し購入する→定期的なメンテナンスを依頼する→処分・中古買取

まず、電子ピアノと比較し購入することに着目した。電子ピアノと比較して、グランドピアノ、アップライトピアノを選択するということは、

・30-50万円するピアノ購入が可能な金銭的な余裕がある
・防音環境が整備されている或いは、整備する金銭的な余裕がある
・大きなピアノを置けるだけのスペースがある家に住んでいる

ことが想定される。

加えて、定期的な調律が必要であることも、金銭的な余裕が制約条件となることを補強する。

ゆえに、所有率において、所得の高低の切り口が良いのではという仮説が立つ。

また、ピアノは学習者である子供が成長し、辞める際に処分されたり、中古買取に売りに出される商材であるため、買い替えではなく、学習する期間によって保有期間が定まっているのが特徴だ。
ゆえに、ストックをフローに割り戻す際に、耐用年数ではなく、保有期間で割る方が適切だと考える。


④本商材・サービスの供給フローはどのようなものか?その際に制約となるものはあるか?

供給フローは、木材等の原料調達→工場での製作→楽器店での販売→定期的な調律。
制約として、製作技術が想定されるが、そもそも需要量がさほど多くないので、供給サイドがネックになっている可能性は低いと考えられる。


────以上のように、多角的な視点より因数、切り口候補を多く出すことが、この現状分析フェーズの肝である。

あくまで候補出しであるため、整理されていなくて良い
視点の抜け漏れをなくす事が重要


因数分解

────フェルミ推定における因数分解の目的は、算出数値の精度を高めることだ。

フェルミ推定は持ちうる知識とロジックを用いて、知らない数値を精度高く算出する事が求められている。

従って、フェルミ推定の中の一プロセスである、因数分解でも同様に

算出数値の精度を高めることに対してインパクトの大きい分解を行うべきである

しかし、メンタリングを行う中で、ケース面接における分解と混同している人を多く見る。
ケース面接は、クライアントの目的達成に向けて、制約条件等を考慮した上での、最善策を出す事が求められており、

分解の目的は、

イシューを特定することにある。
・目的に対してのインパクトが大きい
・解決可能である

ゆえに、フェルミ推定とケース面接とでは、最適な分解が異なることを覚えておいてほしい。

上位目的が何で、そのための手段として何が求められているかを常々考えるとよい


────因数分解では以下のように頭を回すと良い。

・①現状分析にて、導出した仮説を頭に浮かべる
・②①をもとに、他のオプションと比較し、算出アプローチの方向性と、具体的な因数を確定する

必ず他の算出アプローチと比較する事が重要だ。
比較なしに、なぜそれが良いのかは語れない。

現状分析の段階で導出されている、算出アプローチ、具体的な因数の仮説が、なぜ他のオプションと比較して良いのかを言語化し、確定させるのがこのプロセスである。


────最もらしくあっても仮説。ゆえに最低限の検証は行うべき。

仮説思考は意思決定を素早く進める上で、非常に有用なコンセプトである。一方で、仮説思考が有用なのは、一定筋の良い仮説であると検証できた場合に限る。
ゆえに、自身の出した仮説を無根拠に信じすぎてしまうのは、思考の幅を狭めてしまい、むしろマイナスとなる。

必ず他のオプションと比較して、本当にこの仮説が良いのか?
を確かめる思考習慣を持ってほしい。


────具体的には、数値の納得性を担保しやすいか?という軸で算出アプローチを比較すると良い。

ドライヤーの年間売上推定を例にすると、
①世帯数*ドライヤー保有率*平均保有台数*平均価格/買い替え年数
②ドライヤー販売メーカーの数*平均販売台数*平均価格
③ドライヤーを販売している店舗の数*在庫数*年間回転数*平均価格

等の算出アプローチが想定される。
ここで数値の納得性を担保しやすいか?という軸で見てみると、
①は世帯数、ドライヤー保有率、平均保有台数、買い替え年数を容易に違和感のない数値を置くことが可能である。加えて、平均価格も髪を乾かす時間の短縮ニーズが高い&美容意識の高さといった観点から、特に若年層女性が単価約3万円の高級ドライヤーを使う傾向にあるのでは、という仮説のもとに整理を行えば、納得性の高い数値を出すことが可能だと想定される。

一方、②はドライヤー販売メーカーの数、平均販売台数が不明である。特にドライヤー販売メーカーに関しては、日本のメーカーだけでなく、海外メーカーも含むため納得性のある数値を算出することは難しい。

③は在庫数、年間回転数も算出が難しいが、ドライヤーを販売している店舗の数が特に難しい。ドライヤーは家電量販店だけでなく、ドラッグストア、ECサイト等あらゆるチャネルを通して販売が行われている。ゆえに、チャネルの種類を洗い出し、それらの店舗数を掛け合わせるのは困難である。

それゆえに、①が有効ではと思考を進める。

フェルミ推定はケース面接と異なり、
評価軸が単一なため評価が容易であることに加え、各評価対象の方向性で進んだ際の先の想定をケース面接ほど深く考える必要がないので難易度が高くない。
例えば、フェルミ推定は算出アプローチ方法を評価する際、各因数に対して納得性のある数値を置けるか?を想定するのみで、十分に評価可能である。
一方、ケース面接では、課題を評価する際に、見込める効果は?施策による効果の減少度合いは?、施策の実現可能性及びリスクによる効果の減少度合いは?等の先を想定して、総合的にROIを見極める必要がある。
フェルミ推定において、この評価のフェーズを瞬時(3秒程度)にできるようにならなければ、ケース面接は厳しい。


────また、算出アプローチを定め、具体的な因数を置く際は、言葉の定義までこだわる必要がある。

メンタリングを行う中で、~をする割合という因数を置いているが、何を持って~をしている状態とするのか、が定義されていないケースをよく見かける。

例えば、プロテインの売上推定というお題にて、トレーニングしている人の割合という因数を置いたとする。
一見プロテインはトレーニングをした後に飲まれることが多いため、良い因数だと思われるかもしれないが、これだけだと、何を持ってトレーニングをしている人とみなすのかが不明瞭である。
年に1回でもトレーニングしていれば該当するのか、それとも週1か、週3なのか、どの定義なのかによって、この割合に置かれる数値やこれに連なる因数に置かれる数値感が変化してしまう。

前提確認の章で説明した内容と同様で、前提が揃わないと、どうしても詰めが甘くなる。

このポイントはFBでも頻出であるため、是非チェックリストに加え、意識的に修正作業に当たってほしい。


────私は「ピアノ」にて、以下のような思考過程を辿った。

算出アプローチの方向性
まず、現状分析より、需要ベースで出す際の具体的な因数の仮説が多く出ており、需要ベースの方が求めやすそうだと思われる。
その上で、あえて批判的なスタンスは持ち続ける。

本当にこの仮説で良いのかを確かめるべく、逆サイドの供給ベースの式を考えると、供給フローを構成する要素の全てが納得性の高い論拠のもとに数値を置くのが困難であることが想像できたため、需要ベースの算出アプローチを取るべきだと確定した。

(参考)
供給ベース
・国内での総木材利用量×内ピアノ製造における木材使用割合×1/1台製造するのに必要な木材量×今年度に購入されるピアノの割合
・国内のピアノ製造工場数(国内で流通しているのは国内製造が主だという考えのもと)×各工場の平均製造数(1年)×実際に購入されるピアノの割合
・ピアノ販売店数×各店舗の平均ピアノ販売台数

具体的な因数
現状分析より、下記の因数仮説が導出されている。
・世帯ベースで保有されることが多いため、世帯数を因数にすると良いのでは
・ピアノ保有世帯は、成人の保有はプロを目指すようなケースに留まり、基本的に子供のピアノ学習が多いため、子供がいる世帯数を因数にすると良いのでは
・耐用年数等は想像つかないが、新規学習者数と離脱者数に大きな差がなく、世帯内で流通するピアノ数に大きな変化はないと想定できるため、平均保有年数を因数にすると良いのでは

上記を踏まえると、下記の因数に分解するのが良いと考える。
・①子供がいる世帯数×ピアノ保有率×平均保有台数×1/平均保有年数


算出アプローチは何パターンも存在する
必ず比較して、目的に対するROIで判断


数値の仮置き及び計算

────式をさらに精緻化していく前に、一度式を分解した時点で、数値を仮置きをして、計算を行うことを推奨する。

この方法は2点のメリットが存在する。

①時間内に答えを出せないリスクがなくなる
②数値の桁感に違和感があれば、大きなミスをしている可能性を早期に疑える

まず、①は
本番面接にて大きな効果を発揮する。
本番面接では緊張に伴う焦りにより、時間に間に合わないケースが発生しやすい。そこで、先に数値を算出しておき、残りの時間で重要な箇所から順番に数値を修正していく取り組み方はリスクヘッジとして強い効果を発揮する。

そして、②は
桁をずらすミスの発生確率を下げられる。
先に計算し、想定よりも桁が一つ多かった場合、残り時間に余裕がある状態で、因数の抜け漏れを疑うことができる。
これは思考時間終了間際にはできない事である。

────最後に改めて計算する必要があるため、二度手間だと思う人もいるかもしれないが、一度このやり方でやってみてほしい。

実際さほど手間はかからない。
最初に算出した数値に、修正した数値の増加率、減少率を掛け合わせるだけである。

「ピアノ」を例にすると、

子供がいる世帯数×ピアノ保有率×平均保有台数×1/平均保有年数

まず、ざっくり数値を仮置きして、=1000万*20%*10%*1台/10=1万 と計算する。

残り時間で、数値の正確性が相対的に低い、ピアノ保有率を精緻に分解し、最終的に5%と算出されたと仮定する。

となると、1万*5/10=5000のように、
瞬時に修正可能である。

フェルミ推定は一つのミスで差がつく
石橋を叩くかのようなプロセスの工夫が重要


詳細な分解

────詳細な分解は、因数を具体化して納得性を高めることが目的だ。具体化する因数は、他の因数と比較して精度の低い箇所がどこか?と自問する。


決して全ての因数を分解する必要はない。
時間×計算・思考スピードに制約がある以上、優先順位をつけて行うべきだ。

全部に時間をかけれている→思考スピードが速い→頭が良いとはならない。

再掲となるが、以下の思想を叩き込んでほしい。

制約内で目的達成する上で、何が重要で時間をかけるべきなのかの
見極めを常に行う



────詳細な分解では以下のように頭を回すと良い。

・①各式の因数において、他の因数と比較し、算出精度の低い箇所を見極め、精緻化すべき因数を特定する
・②特定した因数に対して、現状分析の際に導出した仮説をもとに、切り口、切り目を決定する


・①各式の因数において、他の因数と比較し、算出精度の低い箇所を見極め、精緻化すべき因数を特定する

分解した因数の中で、客観的に精度が低い≒論拠が弱いと判断される箇所を見極め、残りの時間で精緻化すべき因数を特定する。

一つの指標として、

面接官
「この因数に対して、なぜこの数値を置いたの?」

と質問され、具体的に答えられない箇所はさらに分解、具体化すべきだ。


(参考)何個の因数を掘り下げれば良いか?
フェルミ推定の思考時間は3分程度と非常に短いため、本番では、出ている因数の中から、基本1つ、多くて2つ論拠が弱い箇所を選択し、掘り下げることが多い。


・②特定した因数に対して、現状分析の際に導出した仮説をもとに、切り口、切り目を決定する

論拠が弱い因数を、さらに分解し、具体化することで、納得性の高い数値を置く

ここで重要なのは、
切り口
・切り目
である。


・切り口は、分解する際の軸
・切り目は、その切り口で分解した際の、分解基準

を指す。

具体的には、
年齢、性別等が切り口に該当し、年齢という切り口のもと20歳以下、20-60歳、60-80歳と要素分解するか、10代、20代、30代….と要素分解するかといった、要素分解する際の基準が切り目に該当する。


メンタリングを行う中でも、切り目に関しての、説明不足はよく見受けられる。
例えば、ある飲食店の売上推定で、営業時間の切り口で稼働率の推定を行う際に、10-12時、12時-14時、14時-16時、16時-18時、18時-20時のように無思考で切り目を設定する人がいる。

切り目に関しても、上位目的である納得性の高い数値を置くという目的に対してのインパクトを最大化するような選択を取らなければならない。
先ほどのある飲食店売上推定の例で言うと、納得性の高い数値を出す上で、稼働率が大きく異なるポイントを見極めることが重要であり、「社会人の出社前の時間帯&ランチの時間帯&夕食の時間帯と、それ以外の出社後→ランチ&ランチ後→夕食の時間帯で稼働率が大きく異なる」のように意味のある切り目を設けるべきと言うことだ。


────この切り口、切り目ともに、納得性の高い数値を置くという目的に沿って、設定することが非常に重要だ。


上位目的に対して、細部まで他のオプションと比較し、
インパクトのある方法を選択し続ける

外部者ながら重要な意思決定に立ち合わせていただく立場だからこそ、
細部の意思決定まで論理を伴い、説明責任を担保する姿勢が重要


────また、切り口、切り目を設定する際の一つのチェック項目として機能するのは、他の商材でも同様に当てはまるものではないか?だ。

他の商材・サービスでも同様に当てはまるような切り口、切り目は、その商材最適になっていないことが多い。

例えば、デリバリーの市場規模推定を例にすると、
もし初めに男女、年齢軸で分解しようと考えているのであれば、このサービスの特異な箇所を掴めていない、最適でない切り口になっているのではと疑うべきである。

男女、年齢軸はどのようなサービスにおいても、感度が悪くはなりにくい切り口である。一方で、他の切り口比較で、感度が高いかというとそうではなく、そのサービスに対する最適解ではないケースが多い。

デリバリーサービスの特徴、ニーズに思考を回すと、
店舗飲食と比較してのコスト上昇を許容できるほど、強く時間や手間を惜しむニーズを持つ層が利用していることが想定されるため、年収、世帯人数、飲食街までの時間(直線距離の時間だけでなく、タワマン等の下に降りる時間も含める)等の切り口の方が感度が良いと思われる。


このように無難な切り口、切り目で説明できればよいという思考態度ではなく、その商材、サービスならではの特性を踏まえた最適な切り口を探すことが肝である。
これを実現するためのチェック項目として、"無難な切り口(他の商材・サービスでも当てはまるような切り口)である際に最適でない可能性を疑う習慣"を持つと良い。


「ピアノ」を例にすると、

・①各式の因数において、他の因数と比較し、算出精度の低い箇所を見極め、精緻化すべき因数を特定する

子供がいる世帯数×ピアノ保有率×平均保有台数×1/平均保有年数

上記の因数を評価すると、ピアノ保有率が一番算出精度の低い≒論拠が弱い因数だと考える。

子供がいる世帯数:(子供の人数)/子供いる世帯の平均子供数に分解することで、一般知識に基づいて算出可能
平均保有台数:高価かつ、複数保有をするメリットがない商材であるため、1台
平均保有年数:過去の人生経験より、周りの人がピアノをどの程度の年数習っているかを設定可能かつ、大きな誤差は生じにくい

ピアノ保有率:平均保有年数と比較し、数値の想定がしにくい上、非常に小さな割合になるため、大きな誤差が生じやすい

(参考)一桁パーセントの数値を置くことになるような、分解はするべきでない。

例えば、2%と数値を置いた場合、それが4%ずれただけで、算出数値に3倍の誤差が生じる。60%と数値を置いたが、実は20%だったことと同様のインパクトである。
一桁パーセントの数値を置くことになりそうな時は、必ずもう一段階分解を行い、直接一桁パーセントの数値を置くことは避ける規範意識を持つと良い。


・②特定した因数に対して、現状分析の際に導出した仮説をもとに、切り口、切り目を決定する

精緻化するべき因数はピアノ保有率だ。

現状分析で導出された下記の仮説を活用する。
・教育目的で子供がピアノ教室に通っている世帯の保有が主なのでは
・購入時の価格、保有する際のメンテナンス費用が高いため、金銭的な制約が保有率に大きな影響を与えるのでは

切り口は、ピアノ教室利用、世帯収入となる。

────この時注意したいのは、完全に独立した軸ではないことだ。ピアノ教室を利用している層は、そもそも世帯収入が高い世帯の割合が高いことが想定されるため、その前提のもと、数値を置く必要がある。

メンタリングを行う中でも、因数間のダブりを認識できていない方を多く見受けられる。特にこちらは選抜コミュニティに所属しているような方でも時折ミスしていることがある。

このミスを防止する上で重要なのは、因数の掛け合わせをイメージで捉えることだ。
各因数を言葉のみで認識していては、因数間の関係性に対する想像力が削がれてしまう。ピアノの例で言うと、まずピアノ教室に通っている層が存在し、その上でその中からさらに世帯収入が高い層を絞り込むことを想像する。
このように具体的なイメージを持つことで、自然と因数間の関係性に気づけるはずだ。

続いて、切り目をどのように設定するか。
ピアノ教室利用に関しては、有無という01の切り目に加えて、有りの人の頻度や、クラスで分ける切り目も想定される。
今回はピアノの保有率と、クラス(初級、上級等)に相関があると考える一方で、時間的な都合により、ファーストアウトプットは、ピアノを習っているか、習っていないかの切り目を採用する。
後のディスカッションにて、指摘をしたい箇所ではあるため、メモに残す。

そして、世帯収入に関しては、ピアノを保有できる最低限の収入値を1000万円程度だと想定し、1000万円以上、以下という切り目や、1000万円以上の中でも、収入値別(2000万円以上、5000万円以上等)で分けるという切り目も想定される。

今回は、時間の都合に加え、1000万円以上での収入値の上昇と、保有率の相関がそこまで大きくないと考え、1000万円以上、以下の切り目を採用する。


そして、置く数値をどのように設定するか。

算出イメージ


まず、ピアノを習っている割合は、
学生時代、クラスに何人ピアノを弾いている子がいたか?を考えることで推測できる。
音楽祭のピアノ担当を争っている状況をイメージすることで、大きくずれない数値を出せる。
今回は各クラスで3名程度は存在したことを踏まえて、3/30=10%と置く。


続いて、年収が1000万円以上の割合は、
日本全体では過去にニュースで見た年収1000万円以上は上位5%前後だったと記憶している。
今回は個人年収ではなく、世帯年収での割合を算出する必要があるため、10%と想定する。

一方で、今回は前の因数にピアノを習っている割合が既に掛け合わされているため、ピアノを習っている層の中で、年収1000万円以上の人の割合を算出する必要がある。

そこで、全体は年収1000万円以上(10%)、年収1000万円以下(90%)と想定しているのに対し、ピアノ習っている層の中では50%ずつと設定する。

こちらは子供がおり、ピアノを習っている層であるため、金銭的な余裕度が高い層の可能性が高く、それに伴い年収1000万円以上(10%)と重めに割り振った。


最後に、ピアノを習っているかつ、年収1000万円の層の中で、実際に購入する割合は、30%と置く。

子供のピアノに対する意欲と相関すると想定される。子供のどのような習い事においても、意欲が高いのは、他者と比較して目に見えて上達が早く、自己効力感を得られる上位30%程度だと考える。

これらを計算すると、
①ピアノ対象年齢の子供がいる世帯数:(6-18歳)×100万/1.2人=1000万
②ピアノ保有率:ピアノを習っている世帯30%×所得に余裕がある割合50%×30%=4.5%
③平均保有台数:1
④1/平均保有年数:10

=4.5万台

────数値に関しては、根拠を肌感という言葉に逃げることなく、徹底的に言語化するべきだ。

メンタリングを行う中でも、

「周囲を見る感じ」「直感的に」

という言葉が度々聞こえてくる。

直感は言語化しなければ、相手は納得できないし、再現性のあるものにならない。

そもそも「直感とは、論理的思考の蓄積により生まれているが、理由付けが追いついていない状態」だ。

「論理的思考の蓄積が、思考スピードを速め、直感を導いてくれる。」

by羽生善治「直感力」

すなわち、直感という言葉に逃げている人は、言語化するプロセスをサボっているに過ぎない。直感、感覚的にという言葉が口癖となっている人は、その肌感覚は身の回りの何を根拠に生じているものなのか、を言語化するトレーニングを積むべきである。

(参考) 推定数値の実態とのずれはどの程度許容されるか?

根拠の筋道が通っていれば、数値のずれはさほど重要ではないが、2桁以上数値がずれている場合は、周囲への関心がなく、知的好奇心、感度が低い人だと捉えかねないので要注意だ。

余裕があったら、業界の市場規模マップとかを見て、自身の肌感がずれていないか確認すると良い。

私は下記の市場規模マップをよく参照していた。
https://stat.visualizing.info/msm


────また、メンタリングをしている中で、数値の根拠ミスとしてよく見受けるのは、Apple to Appleではない謎アナロジーである。

例えば、以前、日本の料理教室の市場規模推定を出題した際に、料理教室の単価の根拠として、「同じく駅近に大きな固定設備を持ち、習い事であるジムが月1万円程度なので、同様くらいだと推定しました」と主張されている方がいた。

料理教室は人件費が高いビジネス&利用課金制なのに対し、ジムは家賃、固定設備の費用が高いビジネス&月額制なので、まるっきりビジネスモデルが異なる。これらを比較しての算出は根拠として正当なのだろうか?

他にも同様の謎アナロジーを選抜コミュニティのメンタリングで何件か目撃している。

これは「全ての意思決定に根拠を設けよ」という指摘の結果として、無理やりロジックをつけようとしたことで生じてしまっていると思う。

もちろん意思決定に細部まで根拠を持つことは重要であるが、謎な比較対象を引っ張り出してきての理由付けは、逆に論理的思考の低さを疑われかねないので要注意だ。

アナロジーにより数値の根拠を設ける際は、比較対象として適切か?重々検討してほしい。

数値の修正

詳細な分解を経て、ブラッシュアップされた数値をもとに、答えの数値を修正する。
仮置きした数値から何%上昇もしくは減少したかを算出し、仮で出した答えに掛け合わせることで、素早く計算可能だ。

ディスカッション

アウトプットを出した後は、面接官とのディスカッションに移る。
戦略コンサルの面接では、初期のアウトプットよりもディスカッションの方が評価における重要度が高いと言われている。
実際にある戦略コンサルの説明会では、上記のことが明言されていた。また、戦略コンサルの面接では総合コンサルの面接と比較し、ディスカッションの時間が長く取られているため、重要視されていることは間違い無いだろう。


このフェーズで重要なのは、下記の3点だと考える。

①問いに対してストレートな回答であること
②1分以上は話さないこと
③面接官の意見をフラットに受け止めること

────まず、「問いに対してストレートな回答であること」は、一見当たり前のことのようだが、体感30%くらいの人が完璧にはできていない。

具体的なミスとしてよく見るのは下記2点だ。
①-1 そもそも問いからずれた回答内容になっている
①-2 問いに対しての回答が1文目に出てきていない

前者に関しては、
まず、問いに対する理解が不十分な段階で、回答を考え始めないことが重要である。問いの解釈が一義に定まらない場合は、面接官にその点をクリアにするような質問をするべきだ。

そして、問いに対する理解が十分ならば、話し始める前に着地点を整理することが重要である。話の着地点が見えない状態で、考えながら話すがゆえに、問いから脱線してしまう。
具体的なアクションとしては、1、2秒の間をとり、どのような結論で、その結論をどのように伝えるか?の大まかな方向性を定めるイメージだ。

もし1、2秒の自然な間で厳しいようであれば、「そうですね」「ご質問ありがとうございます。」「その点は説明不足でした。ご指摘ありがとうございます。」のような言葉で時間を稼ぐとよい。
また、1、2秒の自然な間は、相手に落ち着いた印象を与えられるという副次的な効果も生じるためおすすめだ。

後者に関しては、いわゆる結論ファーストで、相手が一番気になっていることに対する端的な回答を初めに持ってくる習慣を持ってほしい。
結論ファーストができていない理由は、"思考とデリバリーを切り離して考えることができていない"からだと思う。自身が思考した内容・順番のまま伝えようとしており、相手が求めている内容・順番で回答することまで頭が回っていない。

解決策としては、
何が答えか?を考えるだけでなく、
どのように回答すべきか?、何を最初のメッセージで伝えるべきか?

という思考もセットで回す習慣を持つことだ。初めのうちは上記の問いを意識しながら進める必要があるが、慣れてきたら無意識にセットで思考が回るようになると思う。


────続いて、「②1分以上は話さないこと」は、ディスカッションは決して一方向のものではなく、双方向のものであるということを認識してほしい。

メンタリングをする中で、時折、細部まで説明するor説明がコンパクトになっていないが故に、話し始めたら面接官のターンが中々回ってこない方を見かける。

こちらが好ましくない理由は下記である。

  • サマライズ能力の低さが疑われる。

  • 面接官が期待している回答の粒度からずれる可能性が高まり、コミュニケーション能力が疑われる。

  • 面接官との質疑応答の往復が減り、アウトプットを進化させる機会を失う。

  • 面接官は戦略コンサルタントで、ディスカッションを好むタイプの人であるため、長い学生の話を聞くのは知的に退屈であり、心象が悪くなる可能性がある。

ゆえに、max1分を目安に説明するのが良い。
これ以上長く説明することが多い方は、面接官の質問に答えるにあたっての必要十分な情報量の見極め力 or コンパクトに伝える力のどちらかが欠けていると思われる。

仮にどうしても前提・背景の詳細な共有が必要であり、回答内容が長くなる場合は、
説明を始める前に「Aの理由を説明する上で、まずBを説明してから、Cを説明しようと思うのですがいかがでしょうか?」のような形で論立てに対する面接官の同意と、各説明が終わる度に「ここまでいかがですか?」のような形での各説明内容に対する同意を取るべきである。
このような形で合意形成を踏めば、面接官が期待している回答の粒度とずれている際はその場で指摘されるため、方向修正が容易である。


────最後に、「③面接官の意見をフラットに受け止めること」は、自身のアウトプットを肯定したくなる気持ちを抑えることが重要だ。

自身のアウトプットに反対の意見を伝えられたら、条件反射的に自身のアウトプットを守るような思考が働きやすい。しかし、面接において何より優先すべきなのは、面接官とのチームにて、アウトプットの質を最大化することである。

これは入社後のプロジェクトをイメージするとわかりやすい。
プロジェクトにおいて、最優先なのはチームでのアウトプットの質(クライアントインタレストへの貢献度)を最大化することだ。そのアウトプットに対する自身の貢献度はその後に来るものである。

ゆえに、取るべき行動は、面接官の意見を反対、同意関係なく、まずは新たなインプットとしてフラットに受け止めることだ。そして、より高い質のアウトプットを目的として、そのインプットを処理し、アウトプットに反映させることである。

この③に関しては、マインドセットを入れ替え、すぐさま修正していただきたい。

(参考)面接官の意見に対してYESマンになるべきか?
時折、面接官の意見は誘導であるため、そちらに賛同する方が良いとする意見を見る。
私は無思考での賛同ではなく、そのインプットを偏見なしに捉え、自身で処理した結果としての行動を取るべきだと思う。その上で悩むような決断であれば、若干面接官の意見に寄せた判断をするくらいで良いと思う。

そもそも、面接官の意見は必ずしも誘導ではなく、候補者の視野を広げさせた上で、最終的にどのように考えるかを確認することを意図したものも存在する。

また、戦略コンサルタントの素質として求められているのは、決してYESマンではなく、先輩に対してでもロジックを武器に批判+改善案をぶつけられるタイプである。そのため、自身のアウトプットに固執するのは良くないが、ロジカルに考えた上で、自身のアウトプットを主張する判断は決してマイナス評価になるものではないと思う。




続いて、ディスカッションにて、よくされる質問パターンとそれに対する「ピアノ」を例にした回答を紹介する。

────算出した数値は大きいと思いますか、それとも小さいと思いますか?

この質問が来たら、次の2つのアプローチを検討するべきだ。

  • 別のアプローチで算出し直す

  • 似たような業界の市場規模との比較する

別のアプローチで算出し直すとは、
需要側の式で算出しているのであれば、供給側から算出することや、需要側の中でも異なる視点に着目した別の式で算出してみる等の方法だ。

後者の、似たような業界の市場規模との比較は、
例えば、コンビニの年間売上が3億円ほどだと知っていて、それに対して同程度の店舗面積を有し、その他の主要なコスト構造においても大きな違いが見受けられないお弁当屋さんの売上が50億と算出されたら違和感があるというような比較だ。

「ピアノ」を例にすると、
私は過去にヤマハの企業分析をして4000億円ほどの売上と知っていたので、

ヤマハの売上×楽器事業売上割合×ピアノ売上割合×国内売上割合/想定シェアで簡易に計算し直した。

下にヤマハのIRのリンク張ったので、この機会に是非読んでおくと良いと思う。ケースを解いた後に、その業界のトップ企業がどう動いているかをインプットする習慣をつけることで、自ずとビジネス知識が身に付いていく。
ビジネス知識の有無は仮説の量、筋の良さにプラスの影響を与えるので、解き直しと同時にインプットも習慣づけると良い。

ヤマハIR

https://www.yamaha.com/ja/ir/presentations/pdf/pres-220512_02.pdf


また、この検証を行い、大きい、もしくは小さいと伝えた際に、「どの数値がずれている可能性があるか?」もセットで聞かれやすいので、それに対する意見も構築しておくと良い。


────なぜそのような切り口、切り目を設定したのですか?

こちらも頻出な質問である。
「他の切り口として~も候補だったが、〜の点でこちらが良いと考えた」
のように答えると良い。

「ピアノ」を例にすると、

なぜピアノ保有率を「ピアノ教室へ通っているか」、「購買できる程の金銭的な余裕があるか」で分解したのか?

他の切り口候補として、購買時の前提条件となる、家が十分に広いか、防音設備のあるような高級マンション及び戸建てであるかを検討した。
まず、ピアノ教室へ通っているかは、ピアノを購入する人のほとんど全ての方に当てはまるため、精緻化する上で有効な切り口である。
そして、購買時の前提条件の視点による切り口は、購買できるほどの金銭的な余裕という軸と被りが多いため、より購買に近い、「購買できるほどの金銭的な余裕があるか」を採用した。

のように答えると良いと思う。


候補の幅出し→目的につながる適切な評価軸の選定→選択
のプロセスが重要


────なぜAの因数はB数値を設定したのですか?

例えば平均保有年数はなぜ8年にしたのですか?のような質問だ。

ここで肌感ですと答えるのはNGである。

「小学校6年間と中高6年間続ける人が多く、合計で12年になるのですが、途中で辞めてしまう人も多いので、そこを考慮し8年にしました。」

のように肌感という言葉に逃げず、その肌感が生じた要因を言語化し、伝えるとよい。

思考時間内で、全ての根拠を準備するのは難しいので、質問されてからその場で直感→言語化プロセスに入り、理由付けすることが多い。
こちらができないと、ノータイムディスカッションの際のパフォーマンスが大きく落ちる。


時間の目安

3分想定

  • 前提確認→10秒

  • 現状分析(アプローチ仮説、切り口仮説の幅出し)→30秒

  • 因数分解→30秒

  • 数値の仮置き及び計算→20秒

  • 詳細な分解→1分

  • 数値の修正→10秒

  • バッファー→20秒

質問可能な場合は、前提確認は必ずその場で行い、質問時間の間に現状分析に関しても裏で思考を回しておくと時間短縮可能である。

────数値計算の時間を短縮するにあたって2つのテクニックがある。

①計算しやすい数値に丸める
②桁計算を暗記する

まず、計算しやすい数値に丸めるとは、70%*70%で49%になった際などに50%のように計算しやすい数値に変更することだ。

フェルミ推定において細かい計算は求められていない。
そもそも、未知の数字を知っている情報と推論をもとに推定する行為であるため、49%→50%に置き換えるような微々たる誤差が大きく影響するような性質のものでない。

端数を丸め、積極的に数値を計算しやすくしていくことが重要である。

続いて、桁計算の暗記とは、
1万*1万は1億のようなものである。こちらの計算が瞬時にできるようになることで、桁計算のスピードが格段に上がるのと、桁をずらすミスが減少する。

下記は必ず暗記すべきである。

千×千=百万
万×万=億
億×万=兆

デリバリー

────面接官は候補者の頭の中を見ることはできず、発する言葉をもとに評価するため、思考だけでは不十分であり、デリバリーも同様に重要だ。


私は以下の順でデリバリーを行っていた。
結論(相手が一番に気になること)から入り、徐々に細かい説明に移っていく。

  • 結論

    • ex 市場規模は〜だと推定しました。

  • 前提

    • ex 推定に際して置いた前提は〜です。

  • アプローチ

    • ex 市場規模を5つの因数に分解しました。人口×購入率×購入数…です。

  • 各因数の数値

    • ex 人口は~、購入率は~、購入数は~…と置きました。こちらを計算すると、市場規模は〜です。

  • 各因数の根拠

    • ex 人口は統計データより1.2億人、購入率はこのまま数値を置いてしまうと正確性を担保できないため、〜と〜で分解して算出しました。各数値は〜で、購入率は〜と推定しました。


順番は上記の通りに進めれば問題ない。
一方で、各内容をどの程度丁寧に喋るかは、面接官から与えられる発表時間や、面接官の様子を見て変える必要がある。

例えば1分程度で発表してください、と言われた場合、
結論、アプローチ、各因数の数値のみを説明し、各因数の根拠は「ディスカッションの中で回答させていただきます」と伝えるのが良い。

また、面接官が退屈な様子を見せたら、
同様に、因数の根拠をディスカッションに回したり、議論が生まれるような因数の根拠のみを説明する等の対応を取ると良い。


────メンタリングを行う中で特に目立つミスは下記3点である。
①話すスピードが速い
②%と分数を混ぜて説明する
③言葉遣いが不適切

まず、「①話すスピードが速い」に関しては、面接官は発表のメモを取るため、メモが間に合うスピードで話す必要がある。
特に、因数分解と、各数値設定を説明するフェーズは、通常よりも遅めに話さなければ相手のメモが間に合わない。壁打ちで自身が面接官役をやることで、どのくらいのスピードだと助かるかを掴んでほしい。

また、発表時の話すスピードは問題ないが、ディスカッションになると急に話すスピードが速くなるタイプの人もよく見かける。
おそらく、思考された、用意された内容を話す発表時に対して、思考と同時に話していくディスカッションでは、話すスピードまでメタ的な意識が向いていないのだと思われる。
壁打ちの際に録音を行い、自身の話すスピードについて客観的に認識しておくと良い。

また、Tipsとして、自身の声を自身で聞くイメージを持つと、話すスピードに意識を向けやすい。

続いて、「②%と分数を混ぜて説明する」に関しては、面接官目線ではかなり気になる。例えば、Aは50%で、Bは30%、Cは2人に1人くらいなので1/2で…のような説明の仕方をする人である。

これはどちらかに統一するルールを設ければ解決するため、すぐさま実行してほしい。
自身の思考の中では%と分数を混ぜて考えるのは止めないが、どのように説明したら面接官にストレスなく伝わるかまで考え抜く視点を抜かしてはならない。

最後、「③言葉遣いが不適切」に関しても、同様に面接官目線からだとかなり気になる。その言葉が表す意味を厳密に使う必要があり、ズレていると聞いていてストレスがかかる。

特に下記の誤用はよく見かける。
・壊れて買い替えるような商材でないのに、「耐用年数」という言葉を用いる人
・複数購入を合わせた購入額なのに、「平均単価」という言葉を用いる人

優先順位は若干落ちるが、言葉遣いまでこだわれると好ましい。


課題別推奨トレーニング方法

────その方が置かれている状況に応じて、推奨されるトレーニングは異なる。
重要なのは、「時間があれば、自力で内定者レベルのアウトプットを作成できるのか?」である。

もし、時間があっても、自力で内定者レベルのアウトプットを作成できない状態であれば、まずは時間制限を気にせず、自力でアウトプットを作るトレーニングを積むと良い。
その際、本noteや内定者、同じ就活生と一緒に解くのも良い。
多少は壁打ち形式のトレーニングも交えた方が差分が見え、モチベーションが上がる面で良いが、基本はみっちり自身で解く力を上げることに時間を割くことを推奨する。

一方で、時間があれば、同水準程度のアウトプットを作成できるならば、時間制限を設けていかにスピード良く解くかを重視したトレーニングを積むと良い。
その際は、自身一人で解くのも良いが、より本番に似たプレッシャーを感じるためにも、壁打ち形式で行うことが重要である。
ここで注意が必要なのは、スピードを上げるために、思考量を削る方針に進みがちなことだ。スピードを上げる際は、思考量を減らすのではなく、思考量を変えずに、思考スピードを上げることが求められることを肝に銘じてほしい。

思考スピードは決して、生まれ持った頭の回転の速さだけに規定されるものではなく、累積思考による思考のショートカットにて早められる。
具体的には、空を見て雨が降りそうな際に、洗濯物を取り込む場面を想定してほしい。
空を見て雨が降りそうだから、洗濯物を取り込むというのが一般的な思考の流れだ。
誰も、空を見て→雲が集まっている→あの雲は雨雲っぽい→雨が降りそう→洗濯物が濡れるかも→洗濯物をやり直さなければいけないかも→中に取り込もうとはならないはずだ。

当たり前のラインを上げることで、思考時間を圧縮するのが、累積思考による思考のショートカットだ。


────個別の課題に関しては以下のように潰すと良い。

  • 思考

    • 内容

      • 前提確認

        • →noteに記した思考法を丸々実行し、染み込ませる。

      • 現状分析

        • →noteに記した思考法を丸々実行し、染み込ませる。

        • →複数人でディスカッションをし、他者の視点を盗むことで、思考の幅を広げる。

      • 因数分解

        • →noteに記した思考法を丸々実行し、染み込ませる。

      • 詳細な分解

        • →noteに記した思考法を丸々実行し、染み込ませる。

    • スピード

      • →数値の仮置きや計算テクニック等を利用する。

      • →累積思考により、思考の基準を上げる。具体的には、一定量(最低30問くらい解く)解いて、その思考を抽象化し、再利用可能な状態で蓄積する。

  • デリバリー

    • スムーズに話せない

      • →フォーマットを丸暗記する。

    • 話すスピードが速い

      • →壁打ちで面接官役を行い必要性を認識した上で、自身の発表の録音を聴き意識的に修正する。

    • 言葉遣い

      • →面接官役に事前に課題感を共有し、重点的に確認してもらい、ひたすら潰す。


フェルミ推定Q&A

────フェルミ推定の式は、次のケース面接の際に議論をしやすい式を利用した方が良いのか?

結論、ケース面接を意識した式を採用する必要はない。

フェルミ推定と、ケース面接では分解の目的が異なる。
フェルミ推定における分解の目的は納得性の高い数値を算出することにある一方で、ケース面接における分解の目的はイシューの特定にある。

そして、この2つの異なる目的に即した分解アプローチは必ずしも一致するものではなく、フェルミ推定、ケース面接双方で式を揃える行為は各問いに対する最適解ではない。

ゆえに、フェルミ推定を行う際は、フェルミ推定の目的に即したアプローチを選択し、ケース面接を行う際は、ケース面接の目的に即したアプローチを選択するという形で、各目的に合わせて選択するのが良いと考える。


────なぜこのアプローチを選択されたのですか?という問いに対してどのように答えれば良いのか?


結論、「本フェルミ推定の目的は納得性の高い数値を算出することだと想定しており、その観点から、幅出ししたB,Cのアプローチは〜の因数が〜の理由より〜納得性が高い数値をおけないのに対して、採用したAのアプローチはそのようなボトルネックとなる箇所がないため、採用した」のように答えると良い。

意思決定において汎用的に利用可能な下記フレームを意識した回答である。

・選択肢は何があるか?
・何を判断軸として設定すべきか?各判断軸の重みをどう設定すべきか?
・各選択肢を判断軸で評価すると、どれがベストか?

今回の問いの場合は、
選択肢として、フェルミ推定の算出式が複数存在しており、(需要ベース、供給ベース等)
判断軸として、フェルミ推定の目的である、納得性の高い数値を算出できることが単一で設定され、
これらの結果として、Aという算出式が有効である、という流れを示すイメージである。

こちらはケースの横の論理を示す上でも、有効なフレームであるため、是非頭の隅に入れておくと良いと思う。

────最上段の因数分解に、どのアプローチを用いるべきかの基準、パターンのようなものはあるか?

結論、マクロ系のお題は需要ベース、ミクロ系のお題は供給ベースの算出が筋良しな可能性が高い。

マクロ系のお題を、供給ベースで求める際は、そもそも供給の母体となるものの数(店舗数、工場数、企業数等)を算出することが難しいことに加え、各供給母体のキャパシティ、稼働率は少数の要因により全体を示せるケースが少なく、納得性の高い数値を算出し難いケースが多い。

一方で、需要ベースで求める際は、需要の母体となるものの数(人口、世帯等)は算出が容易であることに加え、それらの利用率、頻度、単価等も少数の要因で大部分を示せることが多く、納得性の高い数値を算出しやすいケースが多い。

逆に、ミクロ系のお題を、供給ベースで求める際は、供給の母体となるものの数は固定であることに加え、キャパシティ、稼働率も前提で置くことができる。もしくは、前提をもとにした推論により容易に算出することができる。

一方で、需要ベースで求める際は、需要の母体となる数の定義自体が難しいことに加え、数値の根拠も勘に近いものとなってしまうことが多く、納得性の高い数値を算出し難いケースが多い。

よって、基本的にマクロ系は需要ベース、ミクロ系は供給ベースを最初に考えるべき。


────思考時間が1分の場合、どのようなアウトプットを出せばよいか?

結論、詳細な分解はせず、簡単な因数分解で答えが出ている状態を目指すと良い。
フェルミ推定は数値を出すことが依頼であるため、思考時間が1分であってもその依頼には必ず答えるべきだと思う。
と言っても、思考時間1分という短い時間の中で、詳細な分解まで行うのは困難であるため、そこはディスカッションで議論させてくださいと伝え、ネクストアクションに回せたら十分である。
また、このような思考時間が短いフェルミ推定は、ディスカッションフェーズが評価における重要な局面となるため、その点を見越して、思考時間に切り口、切り目の仮説まで思考を回せていたらベストである。


────フェルミ推定は最も大きな割合を占めるものを推定すると聞くが、その割合からまた数字をかけて精緻化する必要はあるか?


例)コロナにおける日本の経済的損失を求めよ
→最も損失額が大きい飲食産業の損失を求めます。飲食産業の割合は全体の4割ほどだと推察し、2.5倍した数値を結論とします。

結論、取り組む前に面接官と合意が取れる形式であれば、最も大きな割合を占めるものでも良い。一方で、取り組む前に面接官との合意を取れない形式であれば、依頼にストレートに、例でいう日本の経済損失額を回答したほうが良い。
依頼を自身の論理(解きやすさ)にて勝手に改変してしまうのは、面接官から良い印象を持たれない。

読んで終わりではない
実践こそが重要なピース

最後に

────こちらのnoteを読んだだけでは、何も変わらない。最初から結果を追い求める必要はない、プロセスにこだわり修正アクションを進めてほしい。

下記の問いに対して答えを出し、今から取り組むべき方向性を見定めることから始めてほしい。
そして、そのプランニングをすぐに、忠実に、実践していただきたい。

  • 戦略コンサル内定に向けて、フェルミ推定をどのレベルまで伸ばす必要があるのか?

    • どこまで分解するべきなのか?、どのようなレベルの分解が求められるか?数値の根拠はどの程度の納得度が求められるか?etc

  • 内定レベルのアウトプットと比較した際に、現状自身のアウトプットの中でどこが足りていないのか?

    • 解き慣れていなく、時間が足りていないのか?、十分な時間があっても、能力的に質の高い分解ができていないのか?、数値を置いた根拠を言語化する力が弱いのか?etc

  • 差分を埋めるためには、どのような訓練を積んでいく必要があるのか?

    • 量を重ねて、スピードを上げていくフェーズなのか?、分解の質を上げるために、1問1問時間をかけて解くべきフェーズなのか?etc


このnoteでは、市販の参考書とは違い、自身の就活時代の経験、就活後のメンタリングの経験を存分に踏まえた、戦略コンサル本番を想定したより実践的な内容に仕上げることを目指した。

読んでくれた方の、明日からの行動変化に寄与できていれば幸いである。

読者の方々の良い報告を楽しみにしている。


このnoteはあくまで効率的に登るサポートです。
就活の成功を祈っています!
ここまで読んでいただきありがとうございました!








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