黒のクレール
*本作は大貫妙子さんの「黒のクレール」をイメージしたオリジナルショートストーリーです。歌詞とは一切関係ありません。
♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎
しずかに、とてもしずかにその時はやってきた。
まるで、別れを怯える私にそれを気づかせないように、そっと…
ゆるやかなカーブを描く海岸線。夏中過ごしたあの白い家が見える。
出逢いのときから誰しもが別れに向かって進んでいる。美しく輝いた想い出になる別れを夢見て、恋人たちは互いの時を重ねるのか…
この恋は… まだ終わっていない。私の中で。あなたの声が潮騒の音にかき消されるまで、きっと私はあなたを待ち続ける。幾度の夏を繰り返し、あなたの残像が夕映えとともに私を包むとき、私はそこに永遠を見るでしょう…
輝きに形取られた蒼黒の境界線を指で辿りて
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?