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新紙幣発行よりも注目すべきニュースは?報じられない反原発デモ

7月2日、日本銀行が「お待たせしました」と新紙幣の発行を伝える。誰か待っていたのか? 村西とおるじゃないんだから。

お待たせいたしました、いえ、お待たせし過ぎたかもしれません

新紙幣を手にしてテレビや新聞に映る来店客は揃いも揃ってアホ面ばかり。マシな人探しても、まじでこんな連中しかその場にいなかったんだろうな。社の命令で取材に向かわされた記者が気の毒。

(写真は自粛)

新紙幣発行を伝える一面記事のウラで、昨年の高浜原発に続き原発再稼働に対する大規模デモのようすを報じたメディアや記事数は少ない。

デモといえば過激なイメージがつきまとうが、ほとんどの参加者は皆まともな大人たち。これだけ多くの正常な大人が穏やかに反対を訴えているのだ。報じるべきニュースはどちらか。

10万人を超えるデモ(首相官邸前にて)

デモの規模や頻度は相当なもの。その事実が不都合な既得権益者は揉め屋を雇い、騒ぎを起こしてデモに危険なイメージをまとわせる。原発動けば揉め屋が儲かる。失礼。

後ろめたさがあるのだろうか。ないなら東電や関電も日銀に倣って「お待たせしました!」と再稼働を喧伝すべきだな。

あの震災から復興もままならぬ間に、よくも。ストレスに晒され日々に忙殺される間に、私たちは鈍感になりすぎてしまったのではないか。渋沢栄一がいまの時代を生きていれば「慣れることに慣れるな」と叱咤したかもしれない。あと「キャッシュレスの時代に何ムダなものを刷ってるんだバカタレ」とも。顔写真までデカデカと使われて、可哀想に。死人に口なし。

HUNTER×HUNTER(ハンターハンター)という漫画がある。その中に、リスキーダイスという小道具が出てくる。20面体のサイコロで、19面が大吉で、1面が大凶。大吉が出るととてもいいことが起こるが、大凶が出るとそれを上回る不幸が起こるという設定で、物語に緊張感を与える。


正20面体ダイス

登場人物たちはのどの渇きや空腹に耐えかねて、あるいは癒しを求めて、水が欲しい、うまい食べ物が欲しいとリスキーダイスを振り続ける。そして、振り続ければいずれ出ることになる目を前に悲惨な最期を迎える。

この物語を滑稽に読む人も、再稼働問題を前にすると、経済活動を停滞させるわけにはいかないからなあ、等と真顔で言う。笑止。



反対派ではない。
技術そのものを葬り去り、節エネを主張し実践すらする人もいるが、贅沢を知ってしまった人類は、もはや後戻りできないと思う。

かといって、リアリストを気取った賛成派とも違う。
今は動かすべきでない、と思う。制御できないものを制御できない段階で使うべきではない、と思う。エネルギー効率や原子力爆発の制御に関する技術開発は日夜進められている。

大凶の目が出ても訪れる不幸を確実に避ける技術や、そもそも振らずに需要を満たすすべを得る未来はきっとある。それまでに、焦って、誘惑に負けてダイスを振り続けることはリスクでしかない、と思う。

時の為政者も権力者も、目先の不安を案じ、一時の利益に目を眩ませる。そのことは歴史が証明している。ところがいまや情報社会に成熟社会。一般人のほうが情報も知恵も豊かな時代だ。多くの人が気づき冷静に行動している。世界は変わると信じたい。

子どもたちが生きる未来を守りたい。母なる願い、届いてほしい。

七夕短冊(東京新聞記事より転載)


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