6月23日 シングルについて

 結論からいうと、片親シングルというものは珍しくなくなった。

 というのも、精子バンクと家族手当や特別養子縁組ようしえんぐみの普及によるものが大きいだろう。

 旧時代であれば、諸事情によっていたかたなくひとり親になることが多かったらしいが、ここ十年程は望んで片親シングルになる人が増えている。他にも、同性カップルでせきに入れていない人達が増加していることも影響しているかもしれない。

 旧時代からあった精子バンクを利用する人もいるが、知人に頼んで提供してもらうこともあり、その割合は1:1といわれている。

 そして何より家族手当制度は欠かせないだろう。出産までの費用はほとんど掛からず、妊娠したとしても離職を強要されたり、復職できないということだけでなく、休職中の給与は満額ではないが八割方はちわりがた受け取ることができるらしい。

 出産後もサポートは続き、会社や事業所の規模によってではあるが、会社の保育施設に赤ちゃんを預けることができたり、大学や短期大学・専門学校の幼児教育学科をようしているところの付属幼稚園に預けたりすることができる。これが一番大きいといわれているが、生後24ヶ月以降の子供に限って、条件や資格も必要となるがアルバイトとして、ベビーシッターを雇うことができるようになった。

この制度によって日頃の買い物や友達との食事、習い事なども気兼きがねなくできるらしい。

 特に嬉しいのが、病院の受診とのこと。体調が悪く動けない時に、子供も一緒に体調を崩してしまうことがあり、そのときに子供だけでも病院に連れて行って貰えるのは助かるとのこと。
勿論、忙しい時であっても依頼は可能だ。受診時の様子は動画やLIVEライブで伝えることが多く、事前にどのようなことを訊くかを決めておいたり、食べたものや排泄はいせつの様子を記録しておいたりしている。

 初期はAIによる問診も実施されたが、データが少ないためなのか、体調を大人程明確に伝えることができないためなのか、その数が伸びることはなかった。

 就学後も、「子どもは国の資産」(この表現は、一部からはかなり批判的な意見があった)という考えから、学習に必要なもので家からの持ち出しは必要なくなった。

 教育体制が変化した影響ともいわれているが、高等教育に進む人は減り、専門教育を受け社会に踏み出す人が大半となった。

 また特別養子縁組に関しては、厳しいといえば厳しいらしいが、以前と比べれば簡素になった。裁判所の判断がなくなり、替わりにケアマネジャーが未就学児の場合は週に一度、就学後であっても月に一度のペースで様子を伺っているらしい。そして、収入や労働形態にも依るが、既婚者である必要が無くなった。

 当初はマスコミにかなり叩かれたが、ケアマネジャーなど高齢者のサポート体制を流用させることで、実績を積み上げている。

 旧時代と比べ、片親シングルであったとしても、貧しい思いをする子どもは激減し、今では10万人に1人程度だと言われている。

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