見出し画像

2023年1月の本棚

あけましておめでとうございました。
2023年1月に読んだマンガをまとめていきます。


ウィッチウォッチ 9 / 篠原健太(集英社)

心待ちにしていたモモチこと倉持桃が登場。登場の仕方があまりにも唐突で笑った。8割が思春期男子で構成されるモイちゃんハウスに年上豊満瞬間移動お姉さん魔女が来たとなったらそりゃもう、もうですよ…!!

本筋はもう気にしてないので今のノリでずっと続いてほしい。本誌の方では連載2周年記念で『SKET DANCE』とコラボが決定!これは買うしかない。


逃げ上手の若君 9 / 松井優征(集英社)

最後まで立ちはだった貞宗を振り払い、関東平野に進軍した時行軍。鎌倉を目指す途中、関東庇番衆かんとうひさしばんしゅうの強者共との狂気に満ちた戦いが繰り広げられる。

まさか小笠原貞宗がここまでカッコいいキャラクターとして描かれるとは思っていなかった。死んだわけではないし、また出てくることにも期待。庇番衆の武士たちもキモい(褒め言葉)のばかりで目が離せない濃さだった。敵が魅力的な作品は総じて面白い。


放課後ひみつクラブ 1 / 福島鉄平(集英社)

『サムライうさぎ』『ボクらは魔法少年』の福島鉄平先生の最新作。平凡な高校1年生・猫田くんは放課後、入る部活を迷っていたところ、謎の美少女・蟻ヶ崎ありがさきさんと出会う。彼女が部長を名乗る「放課後ひみつクラブ」の活動内容は、学校に隠された謎を解き明かし、真実に触れること(という建前)。

傍若無人だけど可憐で放っておけない蟻ヶ崎さんと彼女に半ば強制的に付き合わされながらも自分のペースを崩さない有能な猫田くん。二人の絶妙なバランスが織り成す放課後ひみつクラブの有意義(?)な活動を覗く愉快な作品でした。


チェンソーマン 13 / 藤本タツキ(集英社)

正義の悪魔と契約したユウコはアサを虐める奴ら皆殺しにすると言う。暴走する正義を前にしたアサは、母の形見の制服を剣へと変える。ねじれた友情と未知なる悪意がもたらす美しく悲惨な結末。

アサ(ヨル)を妹と呼ぶ謎の女生徒、怪しいデビルハンター部部長、そして偽チェンソーマン。自分の欲望に正直に生きるデンジを見ている時が一番安心する。


ダンダダン 8 / 龍幸伸(集英社)

ターボババア、アイラと共に夜の音楽室で特訓に臨むオカルン。邪視を(一応)コントロール下に留めることに成功したジジは少しずつ「with邪視生活」に慣れていく。そんな中、金玉の幽霊の噂を聞きつけ、一向はとある団地を訪れる。そこに現れたのはまさかの「巨大怪獣」で…!?

面白いのは面白いんだけど、本来の目的というかどこに向かって話が進んでいるのかイマイチ分からなくなってきているような、そんな気がしなくもない。


かげきしょうじょ!! 13 / 斉木久美子(白泉社)

100期生、二度目にして学園生活最後の夏。紅華をモデルにした朝ドラの話題でも盛り上がる中、さらさの母親がしれっと登場。今明かされるさらさの両親の秘密。

さらさ誕生秘話的な話になるのかな。今回全ページの「奈良田愛」が可愛すぎて、ようやく彼女の魅力に気づいてきた感がある。好きな四文字熟語の一つになるかもしれない。

アニメから入って『シーズンゼロ』の購入は後回しにしていたけどようやく購入。オタクがシャシャる展開だけは今読んでもやっぱり納得いかない。


弱虫ペダル SPARE BIKE 11 / 渡辺航(秋田書店)

自転車競技部を新設した東堂、田所たち筑士波大学メンバーの初陣は地元を走る「筑波山ロードレース」。高校時代の仲間たちも集結し、積もる話もある中、明早大学エースの盾崎と東堂のバトルは熱かった。本気の東堂からでしか得られない栄養素がある。

あと、大学レースの方が「サイクルロードレース」のセオリーをある程度踏まえて展開されるから要所要所に説得力が生まれて良い。集団が逃げを容認するシーンとか、そういうところももっとリアルに描いてくれたらもっと良い作品になるのにな、と常々思っている。


散歩する女の子 1 / スマ見(講談社)

散歩大好好き妄想大好きのにほとその友達のまよい、散歩する女の子二人を描いた「散歩のすゝめ」マンガ。

散歩という一見地味な時間でも、少しの視点を変えてみることによって日常と地続きの別世界を体験できて楽しい。にほとまよい、二人の関係も微笑ましくて大変心地良かった。panpanya先生とかが好きの人には特にオススメしたい一冊。


戦車椅子 -TANK CHAIR- 1 / やしろ学(講談社)

妹のしずかを庇い、植物状態になった殺し屋のなぎ「殺意を向けられると覚醒する」特異体質を手に入れた。改造車椅子・戦車椅子タンクチェアを駆り、殺し屋に向けられる殺意という名の刺激を燃料にして滅多刺しに返り討つ、殺られる前に殺り返す系殺し屋アクションマンガ

だいぶパンキッシュ(多分意味違う)で派手な作品でした。美しく歪んだ兄妹愛も見どころ。向けられる殺意の範囲設定がちょっと曖昧に感じたけど、そのへんはもう雰囲気で楽しんでいく所存。


今夜すきやきじゃないけど / 谷口菜津子(新潮社)

『今夜すきやきだよ』の続編、とかではなく同系統の別作品。息苦しい毎日を送る姉・たつきと、たつきの家へ転がり込んできたダメ義弟のとらお。仕事で焦る姉と就活に疑問を持つ弟。ギクシャクする二人はそれぞれの答えを探していく。

背伸びしなくたっていい、等身大のささやかな幸せを享受できる自分でいたい。そんなメッセージのこもった作品でした。今夜すきやきの日も、今夜すきやきじゃない日も、美味しくごはんを食べていたい。


おひとりさまホテル 1 / まろ・マキヒロチ(新潮社)

『いつかティファニーで朝食を』『吉祥寺だけが住みたい街ですか?』のマキヒロチ先生の新作はホテルで過ごす至極のおひとりさまタイムを描いた作品。

ホテルの設計会社に勤める人たちが各々、ホテルでの一人だけの時間を最大限に楽しむというオムニバスストーリー。"おひとりさま"という贅沢、良いですよね。各話に見開きセリフなしのページが入っているところに拘りを感じました。

登場するホテルは実在するもので、巻末には原案の方の解説付き。なお高級。


アラバスターの季節 1 / 高津マコト(少年画報社)

廃墟の壁に落書きをしていた高校生の町田銀は、ひょんなことから新任美術教師の咲坂のヌードを描くことに。一応美術部モノという括り。キャラ設定に若干無理があって置いてけぼり感は否めない感じではあったけど、まだまだこれから。

あと表紙で『ブルーピリオド』関連の何かと思ったら高津マコト先生の新作で驚いた。『渡鳥とカタツムリ』は休載ってことなのだろうか…


ミステリと言う勿れ 12 / 田村由美(小学館)

富山編スタート。風呂光さんの相談を受け、今回も事件に首を突っ込むことになった整。相変わらずの整節を楽しみながら解決は次巻に持ち越し。広島編の実写映画も楽しみですね。


R15+じゃダメですか? 3 / 谷口轟・裏谷なぎ(講談社)

無事、映研に入部できた天羽あもうさんだったけど、あまりにも活動実績の少ない映研は今度は廃部の危機に。部存続のための解決策はもちろん「映画制作」。映画を”観られない”インフルエンサー女子・夏凪なつなさんと協力して映画を一本作ってみせろ冬峰くん!

天羽さんの影が消え失せるほどに分かりやすく濃いキャラクターの夏凪さんが登場し、意図せず落としていく冬峰くんはただの天然たらし陰キャでした。一番頭おかしい先輩も結構良い人。

映画館でスマホは以ての外だけど飲食も普通しないよなー、映画館側には悪いけど。今年も月イチ以上映画館を継続していく所存です(どうでもいい)。


GLITCH -グリッチ- 3 / シマ・シンヤ(KADOKAWA)

町の中心にある大きな森に足を踏み入れるミナトたちはガスマスク被る謎の人物と邂逅する。別世界と繋がった桃迦町とうかちょうに起こる小さなグリッチは次第にその大きさを増していく

別世界から来たサイさんやヒライさんの言葉を通して、移民問題的なことについて暗に述べるスタンスは一貫していて描かれています。次巻は物語が大きく動きそう。

不思議だね
人類と言っても様々なのに
実は平均に当てはまる人のためだけに
この世界は作られているように見えるよ

サイ/『GLITCH-グリッチ-』3巻 p.140


君は放課後インソムニア 11 /オジロマコト(小学館)

ガンタは16歳の誕生日を迎え、イサキと一緒に2年生へ進級。天文部には後輩も入部し、賑やかな毎日を過ごしながらもガンタは将来のことを考える。ほんと、真っ直ぐで眩しいぜ。


生きてるうちに推してくれ 1 / 丹羽庭(小学館)

『トクサツガガガ』の丹羽庭先生の新連載。霊感のある売れない地下アイドルと霊感ゼロだけど除霊能力だけはあるマッチョ坊主が力を合わせて(?)除霊でお金儲けしていく話。登場人物は人も霊もなんか煩悩まみれな奴が多かった。主人公のミサキは除霊を通してアイドルとしても成長していく、のか!?

主人公がなんやかんやで成長していく物語ってスタート時点での本人の位置(性格や能力)が「ゼロ」スタートじゃなくて「マイナス」スタートなことが多いなーと思った最近。不快なくらいにポンコツキャラで始める方が「成長」を描きやすいのかな。


舞妓さんちのまかないさん 22 / 小山愛子(小学館)

めがねさん姉さんと理子の姉妹関係、年少さんから年長さんにレベルアップしたすーちゃん、屋形を去る娘を送り出すおかあさん。みんなそれぞれの人生があるけど、今日も市ではキヨのご飯がみんなのお腹も心も満たします。たんたんと、とうとうと。

うちは、キヨちゃんがくれとる毎日に
少しは応えられとるやろか。

すみれ/『舞妓さんちのまかないさん』22巻 p.61

ネトフリのドラマも全話観ました。原作との差はありながらもこれはこれで、という感じで普通に面白かったのでオススメです。音楽がかなり好み。


ハマる男に蹴りたい女 3 / 天沢アキ(講談社)

管理人の設楽さんのことが嫌いだけど気になって発情してしまういつか(!?)。いや発情すんなし。設楽さんは設楽さんでいつかへの好意を自覚して迫ることを決意する。だいぶ分かりやすいオーソドックスな展開ではありつつも楽しく読めてるのでヨシ。

①いつかがかなりめんどくさい、というかちょっと理解不能②こんなこと他人もいる下宿でやるな③設楽の逃げた妻の行動心理がキモすぎる、という野暮な感想は置いておいて。ドラマは未視聴。


おとなになっても 8 / 志村貴子(講談社)

不倫の噂が学校中に広まり、別の学校に転任することになった綾乃にとって、朱里との同棲生活は心の支えとなっていた。もうわだかまりはないはずなのに、どこかスッキリ清算できない己の感情と向き合いながら、新生活が始まる。

登場人物の誰にも感情移入はできないから全部他人事で「ハハ、何考えてるのか全っ然わかんね☆」くらいの気持ちで読めるのが良い。


花とくちづけ 6 / 七都サマコ(講談社)

咲人さんとの愛を育みながら遂に実家にお呼ばれすることになり、緊張と興奮を隠せないかすみちゃん。そんな中、咲人さんの従弟にあたる同級生の柊真に咲人さんについてのよからぬ噂を教えられてしまう。


ハクメイとミコチ 11 / 樫木祐人(KADOKAWA)

毎年の1月のお楽しみ。やっと年が明けて、お年玉を貰ったような気持ちにさせてくれる大好きな作品を今年も無事読むことができました。至極のマンガ体験がここにある。

毎度のことながらまず表紙が良い。ハクミコの良さ味が存分に出ていて、辛子色の色味も綺麗で味わい深い。ハクミコ愛読者には周知の事実ですが、表紙などのカラーは樫木先生の実妹が塗りを担当しています(おそらくこの巻も)。いつもお世話になっております。この居酒屋でしっぽり飲むような雰囲気をそのまま落とし込んだ「ぐい呑み」や「とっくり」を公式で出してほしいな~、と以前から密かに思っていたりします。

さて内容ですが、もう言うまでもなく最高。もはや語るまでもないけど、あえて書き記したい。簡単な内容と感想を(以下ネタバレあり)。

●第81話【見習いの初仕事】甲羅木組の一員となったハクメイの初現場は特殊建築の修繕作業。ただ直すだけじゃなく、そこに込められた意図を汲み取るという仕事。糸口を掴めた時のコノハさんの表情が印象的。依頼人のリゲンさんは実は5巻収録の第30話(一)で橋の管理人?として登場していた人。細かい。●第82話【曲木の助っ人】船を模した構造という数少ない手がかりを頼りに修復作業を進める甲羅木組の面々。難航する作業の中で、組の垣根を越えて石貫會の職人たちの手も借りることをハクメイは提案するのだった。今さら言うまでもないけど、樫木先生は建築にも造詣が深くてすごい。●第83話【髪とおまじない】ジャダに髪を整えてもらいに来たミコチと連れ添いのハクメイ。今明かされるミコチが髪を伸ばし続ける理由。オチはちょっと予想できて嬉しかった。色んな髪型のミコチが見られて眼福です。●第84話【準備の一週間】コンジュの単独公演が決まり、準備を手伝うことになったハクメイとミコチたち。それぞれがコンジュのためにと奮闘する姿が素敵だった。ライカの服が可愛くて好き。そんな中、衣装を担当するミコチに最大の苦難が訪れる。●第85話【こだわりの舞台衣装】最高の衣装を、と意気込むが故になかなか自分の腕に納得できないミコチ。それも予感していたと言うコンジュは自分にも重なる部分をミコチに見たのかな。限界点を超え、自暴自棄気味になりながらハクメイにも支えられ、最後までやり遂げるミコチの粘り強さに敬意を表したい。●第86話【意地とチケット】カーネリアンに招待された舞台のチケットを客に譲ってあげたジャダ。ハクメイたちに半ば強引に誘われ、プレミアと化したチケット求める旅が始まった。ジャダのカーネリアンに対するちょっと天邪鬼なところ、作中でもトップレベルでラブな要素で好き。●第87話【酒場と戯言】イワシの悪友で石貫會のお調子者、アサトと偶然呑みの席で一緒になったハクメイ。イワシの悪口を言いたいのに、ついついイワシを褒めちゃうアサト。二人の馴れ初め話も微笑ましくて良かったけど、アサトの酔い方が可愛くて友達になりたくなった。愛すべき莫迦って感じ。●第88話【ぐい呑みの鳥】ミコチが拾ってきた鳥の画入りの不恰好なぐい呑み。気味悪がるハクメイに懐くかのように意志を持つ”それ”の真相を確かめるべく、胡散臭い骨董屋を訪れる二人。少しのホラー要素と久しぶりのファンタジー要素が懐かしくて好きだった。●【古着屋の一日】雨乞い通りの古着屋「リ・ルナ」の店主、トレモの一日。ビジュアル良し、人当たり良し、それでいて飄々としていて、服にもバッチリ詳しい。そして年齢が37歳。好きすぎる。ハクミコは登場キャラクターの平均年齢が高めなのも良い。ランテツとリンの異種族夫婦の服選びも可愛いすぎました。

今回は建築、観劇(チケット争奪戦)、お酒、服飾、と、いつも以上に樫木先生の興味(趣味嗜好)が反映された一冊だったなと感じました。キャラクターやストーリーに思いを馳せながら、その向こうにいる作者の人柄が垣間見える(よう)な作品、個人的にとても好きです。こういう楽しみ方もマンガの醍醐味の一つかもしれません。


司書正 1 / 丸山薫(KADOKAWA)

古代のとある大国。国の書物を全て収める蔵書樓の奥には、書物の内容を全て記憶する「司書正」と呼ばれる人間がいた。天命によって突如として司書正と"成った"青年と、彼に仕える一人の側女の少女。思惑渦巻く宮廷を舞台に、謎めく物語が動き出す。

全ての書物の情報と引き換えに人間としての全ての機能を失う司書正という存在の残酷さと純粋な少女が抱く国を揺るがしかねない危険な願望。禍々しくてミステリアスで面白かったです。


涙子さまの言う通り 1 / 山本ルンルン(KADOKAWA)

山本ルンルン先生の新作。昭和初期の東京で次々と起こる変死事件。その影には政界や芸能界に多くの信者を抱える会員制サロン「慈愛の涙」を運営する犬養家の長女・犬養涙子がいた。捜査に動く刑事の沢渡は彼女の猟奇的振る舞いを暴くことができるのか。

ルンルンタッチの可愛らしい絵柄で描かれるダークでグロテスクなストーリー。新興宗教の破滅が描かれるのか否か。全ては涙子さまのみぞ知る、のかな。


いやはや熱海くん 1 / 田沼朝(KADOKAWA)

熱海くんは顔が良い。
故に女子からよく好かれる。
でも熱海くんは女子には興味がない。
だって彼が気になるのは男子だから。
モテる熱海くんのままならない恋の話。

男子に対してちょっと惚れやすい熱海くんの日常を描いたユルふわBLボーイズライク作品。熱海くんが自分の感情を上手く咀嚼し切れないがために、他人から向けられる好意にも上手く対処できないという構図。普段BLを読まないから新鮮だったけど、やっぱり所謂BLとも一線を画す作品だとは思いました。

小気味良いセリフ回しや作品全体に漂うゆったりとした雰囲気が実に心地良くて癒されます。関西の、おそらく枚方や樟葉あたりのベッドタウンが舞台設定という、そういう「丁度良さ」みたいなのも良い味わいを出していて好き。

作中で熱海くんが"最初に"惚れる先輩の足立さんとそのご家族のノリも大好き。是非とも手に取ってほしい一冊です。

(公式の宣伝がバズっていると嬉しくなる法則)


四十九日のお終いに 田沼朝作品集 / 田沼朝(KADOKAWA)

上記『いやはや熱海くん』と同時発売された田沼朝先生の短編集。熱海くんほど琴線には触れなかったけど、田沼先生の、独特なのに”よく馴染む”雰囲気は楽しめました。


空っぽの少女と虹のかけら 2 / 紀ノ目(マッグガーデン)

謎の少年・エバと虹のかけら探しの旅を続けるぽよこは不思議な家に辿り着く。旅を通してぽよこの中に一つの願いが芽生えるも、、虹の王復活を目論むエバや無に帰りたい「むにきす」たちの思惑も入り混じり、物語は不穏な方向へと進む。

ぽよこの心の変化はエバ寄りだけど、エバもエバでちょっと腹黒い願いを持っているからどっちサイドに転がってもあまり明るくはならなそう。全てはぽよこ次第。


サンダー3 2 / 池田祐輝(講談社)

マルチバースで迷子になった妹・ふたばを探す「スモール3」の3人組が足を踏み入れた世界は異星人による理不尽な支配が蔓延っていた。水面下で反抗組織リベリオンを結成する人類の動きもある中、物理法則完全無視の無敵のスモール3の活躍が待たれる。

体感5分くらいで読めてしまう圧倒的スピード感。このままスモール3が無双する展開になるのかな?今のところ読んでいて危機感とかは無に等しい。


双影双書 1 / 舟本絵理歌(小学館)

『殺し屋Sのゆらぎ』の舟本絵理歌先生の最新作は瓜二つの顔を持つ皇子と影武者の中華宮廷浪漫!

花街で雑用として働いていた少年・しょうは、大国の皇太子・冠星かんせいと同じ顔を持つという理由で、ある日突如、彼の「影武者」に抜擢される。我儘皇子に振り回される日々を送る宵だったが、皇子の抱く孤独と描く理想に心動かされ、影として生きることを決意する。

このnoteにしつこいほど書いている『殺し屋Sのゆらぎ』で味わった幸せな読後感を追体験するように1ページ1ページを大切に読みました。キャラクターの親しみやすさ少年誌らしいテンポ感、そして作品の下地にある優しいオーラ大いなる運命を感じさせるワクワク感がもう大好きです。早くも2巻が楽しみで仕方ない。


九龍城でもう一度 1 / 藤田三司(小学館)

来る者拒まずの高層スラム住宅街「九龍城クーロンじょう」。街の骨董屋の片隅で眠っていた茶壺の付喪神の少女は街全体を取り仕切る大家の青年・涼真に出会い、「梅枝メイチー」という名前を貰う。涼真に惹かれていく梅枝だったが、人外や幽霊といった多種多様な住人が暮らす九龍城では今日も大家は大忙し。さらに涼真には忘れらない一人の女性がいて…。

九龍城の住人の悩みを解決していきながら異種間(?)恋愛も描く「ASIAN KHAOS LOVE STORY」。梅枝が涼真に惚れるキッカケの描写がちょっと薄くて最初ちょっと戸惑ったったけど、段々惹かれていく様は良かった。

少女漫画みたいに明確に恋に落ちる瞬間とかって多分あまりないし、「自分に名前を付けてくれた」というだけで愛が生まれる理由としては十分だとも思う。


朱月事変 1 / 壱原ちぐさ(小学館)

神獣から人々を守る霊術師シャーマンの名家・朱鶴家。将来を期待される次男・望月むつきは、たった一人の妹・初月うづきが霊術の才能を一切持ち合わせないがために家でも世間でも「存在しないもの」とされていることに納得できずに、反発して生きてきた。

長年、初月と二人で家出する計画を練っていたがそれも頓挫し、改めて朱鶴家の狂った内部事情を思い知らされた望月は、自分の家を内側から変革していくことを決意する。全ては妹の笑顔のために…!という成長物語。

分家のライバルも登場し、誰が巨大家系の頂点になるかという壮大な家族喧嘩みたいな内容ですが、熱く勢いはありました。

上記の『双影双書』『九龍城でもう一度』と同時期に始まったサンデーの新連載。新連載5作中3作が中華系だったそうで。他にも今月はなんか中国が舞台の作品が多かった印象だし、今勢いあるジャンルの一つなのかもしれない。


ビターコネクト 1 / 今井大輔(日本文芸社)

『クロエの流儀』などの今井大輔先生の新作。「ライフコネクト」というマッチングアプリが恋愛だけでなく、人と人を繋ぐライフラインとして普及した世界を舞台に、切ない人間関係を描いたオムニバスストーリー。みんな誰かと繋がっていたいんだな。


純猥談 3 / 田川とまた・純猥談編集部(講談社)

「純」ではあるかもしれないけど、もはや「猥談」ではない気もする話が多かった印象。【僕の恋人は、今週いっぱいで彼女ではなくなる。】は予想通りのただの惚気だった。


【推しの子】 10 / 赤坂アカ・横槍メンゴ(集英社)

覚醒したルビーが芸能界を掌握していく。一方のアクアはアイ殺害の真犯人についての情報を集めるべく動く。

有馬かなや黒川あかねもそれぞれよからぬ方向へと物語が発展して行って…。暗い展開が続くのでなかなかツラい。


花四段といっしょ 2 / 増村十七(朝日新聞出版)

雑念だらけの花四段に振り回されたり、影響されたりする棋士たち。いろいろ考えているようで実は何も考えてなくて、でもやっぱりちょっと考えている「花つみれ」のキャラクターが愛らしくてどこか惹きつけられる。友達多いけど連絡先を誰も知らない、みたいな。

基本的に笑える話ばかりだからこそ、朝顔やヒコちゃん名人のエピソードにグッと来ます。面白い。


好きな子がめがねを忘れた 10 / 藤近小梅(スクウェア・エニックス)

「めがねを忘れないように頑張る」三重さんを応援すべく、告白のタイミングを決めあぐねる小村くん。どこまでも「三重さんファースト」の姿勢を貫くのが強い。ライバルがいると仮定して考えるシーンにもハッとさせられました。

そして!アニメ化決定おめでとうございます!『好きめが』は三重さんと小村くん二人だけの静かな世界がどこまでも続いているような雰囲気が魅力の一つだと思っているので、その空気感がどう表現されるのか楽しみです。

このタイミングの発表だと放送は秋か冬かな?公式サイトも凝っていてすごい。


音街レコード A面 / 毛塚了一郎(KADOKAWA)

コミティアなどで発表されてきた「音楽」や「レコード」にまつわる作品を一冊にまとめた短編集。レコード判を再現した正方形の装丁が新鮮で面白い。愛の詰まった一冊でした。是非紙で手に取ってほしいしレコード欲しい。

レコードはおろかCDをショップで買うこともほとんどして来なかった(レンタルしてウォークマンにぶち込むのが常、たまーに好きなアルバムとかを買う程度)のが一生悔やまれる。

近年は専らサブスクの時代ですが、ショップに足を運ぶという体験はは音楽もマンガも忘れられるべきではないものだと思います。


スキップとローファー 8 / 高松美咲(講談社)

お試しでお付き合いをすることになった美津未と志摩くん。「好き/嫌い」の言葉だけで片付けられない感情がある。二人には二人だけの付き合い方があって、それを考え、言葉にしようとする美津未と、過去を引き摺る志摩くん。緊張感はありながらもお互いにとって最良の位置に落ち着けていたらいいな。

美津未と氏家くんは境遇的にちょっと重なる部分もあるのが面白かった。ここの関係も今後、地味に面白くなったりしそう。八坂さんも鋭くて良いキャラクター。

穏やかであり、目まぐるしくもある青春の日々は、読んでいるこっちまで若返ったような気持ちにさせてくれます。4月からのTVアニメも楽しみ。


青野くんに触りたいから死にたい 10 / 椎名うみ(講談社)

文化祭で巻き起こる悲劇と明かされる青野くんの死の真相、そして彼を形作った母親との過去の記憶。大変重苦しい、節目の10巻。

フィクションだとは理解しつつも、こういう壊れた家庭って意外とそこらに転がってたりするのかなと思うと、よりしんどくなった。この「狂い」の塩梅が絶妙に読者の心を抉ってくるのがまた効く。

正直、目を背けたくなる程の内容だけど、だからこそ最後まで読みたいと思える作品です。「受肉」という言葉の持つ意味がおぞましく際立ってきているのを感じる。

(うみ先生の覚悟を感じる)


来世は他人がいい 7 / 小西明日翔(講談社)

前半のイチャイチャもとい、ほのぼのパートと後半の緊張感漂う吉乃拉致パートの温度差がすごい。

吉乃の祖父・染井蓮二を殺したいと言う謎イケメン・周防薊すおうあざみの登場で、物語は新たな局面へ動き出す。


ちいかわ なんか小さくてかわいいやつ 5 / ナガノ(講談社)

「オデ編」「黒い流れ星編」などを収録。入れ替わりの装置をしっかりと破壊する中身がでかつよ(なんかでかくて強いやつ)であるモモンガ。いつかちゃんとでかつよ(中身モモンガ)との因縁にケリをつける展開になるのかな。なってほしい。でかつよ自体は最近ほとんど見ないけど。

アニメも相変わらず好きです。いまだにちいかわらんどに入場規制とかがかかっているのを見かけると、もはや恐ろしく感じる。


きみが死ぬまで恋をしたい 6 / あおのなち(一迅社)

"死なない"ミミの秘密を知るシーナは彼女にみるみる心奪われていく。死に晒される冷たい世界で、少女たちが戦う理由は大切な人との温かい時間を守るため。魔法なんて本当はいらないのかもしれない。


スーパーの裏でヤニ吸うふたり 2 / 地主(スクウェア・エニックス)

絶対に正体を知られたくないスーパー店員の山田さんと鈍感だけど優しい社畜サラリーマンの佐々木さんの関係は微妙に進展しそうで進展しない。お互い相手への「憧れ」の気持ちが根底にあるのというのは素敵だけどその気持ちを言い訳にして気持ちを伝えないのは卑怯では?と思わなくもない。

あとがきのマンガを描く時に音楽と結びつける話はとても共感した。「ここで主題歌流れるやつ〜!」みたいな瞬間って確かにありますよね。


この復讐にギャルはいらない 1 / まの瀬(白泉社)

両親を殺され、ファミリーに拾われた孤独な殺し屋・橿原かしはらは、組織を裏切り、地味な男子高校生として生きていた。しかしある日、クラスのギャル・新宮しんぐうさんを不良から助けたことがキッカケで何故か気に入られてしまう。

こんな自分に近づいてくる彼女はまさか組織からの刺客…?と、ギャルを疑いながら過ごす一人の陰キャオタク殺し屋男子の日々が始まる

「陰オタク×陽ギャル」「殺し屋」という分かりやすいメジャーなテーマながらも、唯一無二のセンスと散りばめられた数々の小ネタにクスッと笑えて楽しい。コナン好きは特に楽しめるかもしれません。”殺し屋に優しいギャル”は、実在する真実はいつも一つッ!!!


大丈夫倶楽部 3 / 井上まい(レベルファイブ)

もねと芦川二人の”大丈夫な日々”に周りの人々も関わっていく。関係性や設定が一見複雑そうに見えるけど複雑だぜ!

ちょっと気を抜くと大丈夫じゃなくなりそうになるので落ち着いてもう一回ちゃんと読んで大丈夫になろうと思います。


ジョジョの奇妙な冒険 クレイジー・Dの悪霊的失恋 2 / 上遠野浩平・カラスマタスク・荒木飛呂彦

オウムの「過去を再現する」能力と対峙する仗助とホル・ホースは、花京院の死の真相を追う涼子とも接触し、犯人追跡を続ける。ボインゴのトト神が予言が導く未来には何が待ち受けているのか。

やっぱり荒木飛呂彦の描くジョジョが面白いんだな〜と、改めて思ってしまったりした。続きも読みますが。


ROCA 吉川ロカ ストーリーライブ / いしいひさいち

『フリースタイル』の「THE BEST MANGA 2023 このマンガを読め!」で1位になっていたいしいひさいち自費出版の一冊。通販でお取り寄せして拝読した。

歌の上手な吉川きっかわロカは得意の低音ボイスでファドの歌手になることを夢見る女の子。同級生の柴島美乃くにじまみのは何度も留年している強面の年上だけど、ロカの夢を支えてくれる。

文化的漫画読みが好きそうな内容ではあった。

これは、
ポルトガルの
国民歌謡『ファド』の
歌手をめざす
どうでもよい女の子が
どうでもよからざる能力を
見い出されて花開く、
というだけの
都合のよいお話です。

『ROCA ストーリーライブ』序文



雑記

というわけで、始まってしまった2023年。

1月から『ハクメイとミコチ』『スキップとローファー』の二大巨頭を筆頭に、新しい年の始まりに相応しい強力なラインナップでした。

中でも『双影双書』は待ちに待っていた作品の一つです。始まる前から大好きになるつもりだったけど、思っていた以上に大好きになってしまったな…

ツイートを作者の舟本先生にRTしていただけて嬉しい

サプライズ的に特に良かった作品は『いやはや熱海くん』『この復讐にギャルはいらない』の二つ。完全ノーマークだったので不意打ちで琴線をぶった切られました。

本当に、1月からこんなに豊作で残りの11ヶ月保つのだろうか…。とりあえず来月からも継続して頑張っていただきたい(謎上から目線)。

今年のnoteに関する自分ルールとしては、まずサムネの表示冊数を3冊から10冊に変更。毎月泣く泣く3冊に絞っていたので今年は贅沢に10冊選べちゃうのが嬉しい。

折角ebookjapanを利用しているし、背表紙をずらっと並べられたら一番良いけど、背表紙が登録されてない作品があったり、紙で買う作品もあったりでいまいち統一感がなさそうなのがもどかしいところ。パッと見でも分かりにくいし。

投稿は今年も月末最終日を目途に心掛けるとして、マイナーチェンジ的な部分だと各作品のタイトルを「大見出し」から「小見出し」に変更。これはもっと早くすべきだったかも。見やすくて◎

毎月の目標読書冊数とかは以前から特に決めてこなかったので、今年もそこまで考えなくもいいかな、と思ってます。数字に興味はない、こともないけど、あまり数ばかり気にしても虚しいだけなので。そこは揺らがないように。

あと読んだ作品の中で厳選してまとめることも考えたけど、大前提としてあくまで自分用の読書記録なので、そこを端折ると本末転倒になりかねない。簡単にでもいいので出来る限り全部書いていくこととする。

投稿と関係ないところでは、今年は他の人の記事もちゃんと「スキ(いいね)」するようにしたい。2年間、色々読みはしても頑なにスキを押さないようにしてきたけど、そこに特に意味はなかったので、自分のためにも他人のためにもnoteのためにも、いいなと思ったらスキを押していこうと思います。

長々と決意表明みたいなのを書きましたが、今年も一年ゆるゆる頑張ろ~ 別に頑張る事でもないけど。

今年もどうぞよろしくお願いします。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?