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記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
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2022年6月の本棚

6月に読んだマンガまとめです。




破壊神マグちゃん 9巻 完結 / 上木敬(集英社)

聖騎士団本部での一件は何事もなく終わり、第二柱『久遠』のユピススが復活。永遠に繰り返す日常の中で、流々が本当に望むものとはーー。

想像していた方向とは少し違ったけど、笑いあり、泣きありでラストまで本当に素晴らしい作品でした。最終回『夢見るままに待ちいたり』は涙なしには読めなかった。初読時より再読時の破壊力が一層ヤバかったと思う。これからも何度も読み返したいな。上木先生の次回作にも大いに期待です。


あかね噺 1巻 / 末永裕樹・馬上鷹将(集英社)

父の落語を見て育った主人公の朱音。幼い頃の父のある一席をきっかけに自身も落語家への道を歩み始めた朱音は父の師匠・阿良川志ぐまの元へ弟子入りする。落語界の最高位「真打」にまで登り詰め、父の存在を証明するために。

【落語】が題材ということで、自分としてはやっぱり『昭和元禄落語心中』を思い出した。時代設定は現代だけど同じように熱い噺(ものがたり)になりそうです。


ウィッチウォッチ 6巻 / 篠原健太(集英社)

吸血鬼のミハルも加わり、てんやわんやなモイちゃんハウス。モイちゃん頼みの乙木家にボケ要員ばかりが増えていく第6巻。

その他、マイクラ回、嬉野さんと真桑先生のマンガ回、まさかの『うろミラ』だけの回、ミハルとカンシの仲良し回、モイちゃんのデニム愛語り回、夏休み明けの文化祭回、カンシとケイゴの漫才回、と大満足の収録内容。
ここに来てタイトル回収までしてきてとても気持ちよかった。ウィッチをウォッチする作品だったのか。


逃げ上手の若君 6巻 / 松井優征(集英社)

領地こそ奪われたものの、味方の絆がより強固となった前哨戦を終え、諏訪陣営にやってきた人物は時行の叔父・北条泰家。この何でもかんでも文字通り「顔に出る」男と共に京都に上ることとなった逃若党。身を隠すためにあえて敵陣に乗り込む時行たちの運命や如何に。

泰家の生き汚なさが凄みしかなくて、実に味のあるキャラクターでした。どれだけ哀れでも生きることへの執念だけは人一倍強い。この武士らしからぬ腐った精神が現代の読者の気持ちとリンクする部分も多く、好感が持てた気がします。叔父のDNAが時行にも脈々と受け継がれているというのも納得。逃げるが勝ち。


アオのハコ 5巻 / 三浦糀(集英社)

雛と二人で来たはずの夏祭りで千夏先輩と出会ってしまう大喜。千夏先輩の女バス、針生先輩のバド個人のIHも始まり、それぞれの夏を過ごす。

祭りの最後のシーンも良かったけど、巻末の雛ちゃんに全てを持っていかれました。大喜は何と言って返すのか。想像できる言葉でなければいいなと願うばかり。あとは針生先輩が反則級に美人だったのと千夏先輩の部活への向き合い方だ素敵だったとか。


SAKAMOTO DAYS 7巻 / 鈴木祐斗(集英社)

スラーとの戦いは篁(たかむら)の登場により、静かに豪快に幕を閉じ、スラーについての情報を得るため殺し屋学校JCCに潜入もとい編入することとなった坂本さんとシン。血みどろサバイバルなお約束の「試験編」スタート。


守れ!しゅごまる 2巻 / 伊原大貴(集英社)

主人のさなぎのために奮闘するボディーガードの守護丸。遊戯王カードはもちろん、HIKAKINやマグちゃんも普通に出てきたりやりたい放題でした。HIKAKINとか出てくるんだ最近のジャンプのギャグマンガって…

本誌では残念ながら打ち切りとなってしまったみたいでちょっと普段あまり抱かない感情が生まれてます。こういう気持ちになるんだ…


花四段といっしょ 1巻 / 増村十七(朝日新聞出版)

日本将棋連盟所属順位戦C級2組在籍のプロ棋士・花つみれ四段は、並々ならぬ雑念に惑わされながら今日も盤に向かう。普段見えない棋士たちの日常をゆるめに描いた”非”本格将棋マンガ

頭の中が騒がしい人を描くコメディに【将棋】を合わせる。頭の回転の良さの無駄遣いすぎて面白い。本当のところ、藤井 聡太 竜王(王位・叡王・王将・棋聖)とか何を考えて指しているんだろう。常人には到底辿り着けない境地です。


矢野くんの普通の日々 3巻 / 田村結衣(講談社)

不幸体質で常に怪我をしている矢野くんと晴れて両想いになった吉田さん。しかし、恋愛初心者の二人にとって「付き合う」とはどういうことなのか、まだピンと来ていない様子。

不憫な羽柴くんや妹ちゃんたちの力も借りながら、ちょっとずつ関係を深めていくこの初々しさがもう堪らん。矢野くんも吉田さんも羽柴くんもメイちゃんもみんなヒロイン。可愛い。


からかい上手の高木さん 18巻 / 山本崇一朗(小学館)

今月、劇場版も公開された「○○さん」系の先駆け的作品(今更言うことでもないですが)。改めてもう結構長くやってるんだな〜と感慨深くなりました。劇場版も素晴らしかったです。

原作終わる気配は全くないけど、どこまでいくんだろう。二人の関係の結末はもう『(元)』の方で描かれているわけだし、一生やろうと思えばやれてしまうし…


潮が舞い子が舞い 8巻 / 阿部共実(秋田書店)

既存の登場人物の兄弟や先輩後輩といった縦の関係も増え、ますます複雑に、ますます面白くなる海辺の街の群像劇。今回も収録話の中から印象的だったセリフを抜粋していくやつをやります。

●第78話:土髪「なんとかエフェクトや編集でごまかしてでも動画配信する」●第79話:枇杷谷「私のようにまず何かを嫌いにならないと愛するものと嫌いなものを区別できない」●第80話:雲出「ふたりともママゴトやってんちゃうで?もっと真面目にやって!」●第81話:バーグマン「この髪の一番長いところの毛先って百々瀬さんが何歳くらいの時に生じたものですかね」●第82話:虎美「私はもう別に誰かに認めてもらう必要がないから笑われることも認められることもどうでもいいのかもしれん」●第83話:大垣内「私らの友情は伝聞情報の集合体なんかには決して記録しきれない所にあるんだよ」●第84話:砲「男はそうやってすぐかわいいとかわいいを一緒くたにする! 俺が言ってるかわいいはキュートの方!みんなが言う先輩女子へのかわいいはセクシーの方! 日本語はかわいいの括りが大づかみ過ぎるしお前たち男はそれを平気で混同したままでいられるんだ かわいい洋服着たかわいい人柄のかわいい女性のかわいいは全部一旦フォルダ分けしろ そして俺はセクシーなかわいいにも普通に弱い いくらキュート性が強い人でも女性には緊張が先行してしまう」●第85話:肇「うろうろしすぎて衛星みたいになってるっす槌江先輩」●第86話:百々瀬「女子高生なめんな こんなもんヘリウムより軽いわ」水木「空気より軽いじゃねぇか じゃあ浮けよ」●第87話:円「そ みんな俺のことが大好きな高校2年生」●第88話:水木「いやこれ普通に嫉妬してるわ俺」

右佐タイプの高校1年生・槌江のキャラがいいです。砲のかわいい論も頷ける内容だった。1年生にスポットライトが当たることも多くなってきたなーといった感じです。

そして水木と百々瀬。この二人だけ圧倒的にラブコメしててニマニマしちゃった。基本、登場人物達のマシンガントークとその中での言葉遊びを楽しむマンガだけど、ふとした瞬間に風が止んだかのような静寂が訪れる。この緩急が堪らなく好きです。


弱虫ペダル 78巻 / 渡辺航(秋田書店)

箱学の伝統行事「3年生追い出しレース」がスタート。新キャプテン・真波が用意した二つのサプライズは、星シールを奪い合うサバイバル方式とゲストのOB・新開隼人の存在だった。この状況で燃えないわけがない1年生の新開悠人。まさかの新開兄弟対決が勃発!

3年生の花道となるはずが、新開兄弟対決になっているのがよくよく考えるとちょっと意味がわからないですね。優秀な兄の隼人とそんな兄に憧れと一緒に劣等感を抱く弟の悠人。この二人の関係自体は好きなだけに、もっとちゃんと然るべき時と場所で描いてほしかったというのが正直な感想。どうせ引き伸ばすならさ…


ふらいんぐうぃっち 11巻 / 石塚千尋(講談社)

のんびり魔女ファンタジーの11巻。夏休みに実家の横浜に帰省中の真琴は青森に帰る新幹線の乗車時に「時が止まる」珍事件に遭遇してしまう。姉・茜の悪酔いが原因であっさり解決はしてめでたしめでたし(茜はもう少しちゃんと怒られてほしいとずっと思ってる)。

青森のクラスメイトたちにも今更魔女だとバレて、今まで以上に緊張感がなくなっている魔女修行。


ガールクラッシュ 4巻 / タヤマ碧(新潮社)

月末評価Aランク獲得に向け、試行錯誤の日々を送る天花、ジウ、ミンチェの3人。「アイドル」という表現者は「かっこいい」も「可愛い」も、自分の信じる全てを駆使して特別な己を曝け出す。”ガールクラッシュ”たちの覚悟が光る第4巻。


君は放課後インソムニア 9巻 /オジロマコト(小学館)

空気の澄む天体観測シーズンの冬。期末テストを終えたイサキとガンタはふたご座流星群観測会の準備に奔走する。手術の後遺症で体調の優れないイサキのために足繁くお見舞いに行くガンタ。そして迎えるイサキの誕生日。頼むから二人の時間止まってくれ…


黄泉のツガイ 1巻 / 荒川弘(スクウェア・エニックス)

遂にきた!荒川弘先生の正真正銘の最新作。森の奥の集落に暮らす少年・ユルは、狩りをし、妹のアサを慈しみながら仲間達と慎ましく暮らしていた。そんなユルの日常は村の結界が破られたことで一瞬で崩壊する。突如として繋がった集落と現代社会。ツガイと呼ばれる守護霊を使役しての戦闘。ユルを待ち受ける数奇で壮大な物語が始まる。

1巻からエンジン全開な面白さだった。世界観に振り回されるままに読み終わり、深呼吸をしてもう一度読む。これからまた一から荒川弘の世界を味わえることが何より嬉しい。(『アルスラーン戦記』から目を背けながら)


ハマる男に蹴りたい女 2巻 / 天沢アキ(講談社)

いつかへ対する正体不明な感情を抱きながら悶々と過ごす設楽。いつかもいつかで、行き場のない感情を同期との仕事やマッチングアプリで出会った男性との付き合いで晴らそうとするが…。二人の関係が加速する第2巻。

俺様系の男ががズボラ不器用女に惹かれていく話と言ってしまえばそこまでですが、ヒロインの西島いつかの性格・容姿が個人的にかなりタイプっぽくてそれだけでも満足度は高かった。あらゆる好きな要素で構成されているキャラクターな気がします。2巻目にしてかなり進展した気がするのでここからどれくらいの速度で進むのか、楽しみです。


誰何Suika 1巻 / つばな(徳間書店)

その可愛さから次々と男子から告白される女子高生・姫あやか。しかし彼女にフラれた男子たちはその”居た堪れなさ”から消滅してしまうという怪奇現象が続いていた。自分のせいで同級生が消えることに負い目を感じていたあやかは仲良しのあかりやもみじの提案で、アイドル活動を始めることに(!?)

過去に消滅してしまった人が楽しみにしていた映画やライブの場に突如現れていたという事象を参考に、告白してくる人たちのこの世に留まる(舞い戻る)楽しみにあやか自身がなってやればいいと言うのだ。

ちょっと不穏で、どこか狂ったスクールアイドル活動物語。…これ、アイカツか?

思春期特有の心の不安定さや居心地の悪さ、羞恥心が原因で姿を消してしまうという世界観。告白してくるモブ男子たちはもちろん、あやかやアイドル部に入部する後輩の女の子たちも身体の一部分が消えていたりする。今のところは笑えるシーンが多いけど、上述の鬱屈とした空気がいつ爆発して牙を剥いてくるのか、楽しみ反面怖さ反面な作品。

誰何(すいか)
①誰であるか不明なこと。何人。たれ。
②声をかけて名を問いただすこと。

日本国語大辞典(小学館)

「誰何」というタイトルの通り、何者でもない自分の存在を探していくような哲学的な内容なのも好きポイントです。ちょうど良い重量感。おすすめです。PO!


月曜日が待ち遠しくて 1巻 / 旗谷澄生(講談社)

デザート連載の青春恋愛オムニバス。作者の方の初単行本で全2巻のうちの1巻目。収録の4エピソードはどれも甘酸っぱくて眩しくて、かなり好きな一冊でした。

少女漫画成分を連載物でずっと摂取するのは体力的にしんどいけどちょっとつまみたいって人におすすめな気がします。これくらい端的に描いてくれた方が親切だったりする時もある。


みなそこにて 1巻 / 冬虫カイコ(双葉社)

母親に捨てられた少女・一花が引っ越してきた田舎町には人魚が棲むという伝説があった。周囲に溶け込むことを嫌う一花が町で出会った「千年(ちとせ)さん」という不気味な少女と伝説の関係とは。生ぬるい水たまりのような町の人魚にまつわる怪奇譚。

一花が主人公ではあるものの、閉塞感のある田舎町を舞台にした人魚にまつわる住人の姿を描いたオムニバス形式の1巻でした。登場人物の「目」が印象的に描かれていて、ゾッとするほど美しい。


BADDUCKS 4巻 完結 / 武田登竜門(双葉社)

完結巻。はぐれもの三人組の逃避行も遂に終結。赤の他人同士だったモーガン、リサ、ボズは長い時間(リサにとっては短くも)を共に過ごし、深い関係を築く。家族でもなく、友達でもない、この一言で言い表せないような不思議な関係が最後まで素敵でした。笑って終えられてよかった。


ハガネとわかば 1巻 / 渡辺こよ・キザキ(双葉社)

サイボーグの夫・タケオとちっちゃくて線の細い人間の奥さん・わかばの新婚生活を描いたスーパーいちゃラブマンガ。「人外モノ」と呼ぶほどではないので、誰でもとっつきやすいと思います。商業連載の一般向けなのでそういった描写はないけど、それでもあまりあるほどのいちゃラブっぷり。

ちなみにR18の同人版が元々あり、そっちではそういう描写もガッツリあります。本編を読んで「ええい、けしからん!」と思った方は是非同人版を読みましょう。幸せがそこにあります(1巻発売が待てなくて先に同人版を購読した)。

機械の身体が欲しい。


白聖女と黒牧師 9〜10巻 / 和武はざの(講談社)

良い意味でも悪い意味でも”変わらない”白聖女セシリアと黒牧師ローレン。
セシリアがだいぶ分かりやすくアプローチしているだけに、ローレンの鈍感さが際立つところです。ローレンもやっと自分の感情に気づき始めたので、お互いにもう一押しといったところでしょうか。アニメ化決定は素直に嬉しい!


明日ちゃんのセーラー服 10巻 / 博(集英社)

文化祭の演劇で主演を務めることとなった明日小路と木崎江利花。小路に披露するギターと歌の練習に励む蛇森生静。生静の背中をそっと押す戸鹿野舞衣。少女たちの中の光が明日小路という存在に作用して鮮やかな筆致でもって描かれ輝く。

この蛇森さんのエピソード、TVアニメの放送で先に世に出た、のかな?(更新を毎回は追えていなかったのでちょっと曖昧)最高の出来だったアニメの中でも屈指の神回だっただけにオリジナルを読めて嬉しかったです。戸鹿野さんのキャラクターが本当に絶妙で、個人的に刺さりまくる。作中一番の推しと言っても過言ではないです。

博先生のカウントダウンイラストの中で、お気に入りのやつを貼っておきます(ほぼ全部やないかい)。


ゴールデンカムイ 30巻 / 野田サトル(集英社)

熾烈を極める五稜郭の死闘。散っていく仲間たちを屍を越え、敵だらけの列車に飛び乗った杉元たち。暴走列車地獄行きの終着は来月発売の最終巻(大量加筆)で。改めて、しかとこの目に焼き付けたい。「それなら俺は特等席だ…!!」


【推しの子】 8巻 / 赤坂アカ・横槍メンゴ(集英社)

新生「B小町」のMV撮影と2.5次元舞台の慰安旅行を兼ねて、アクアとルビーが死んだ土地でもある宮崎にやってきた面々。

前世の二人の死、アイの仇と思われる父の死、そしてアイの死。真相はまだ繋がらない中、今まで蚊帳の外だったルビーが遂に覚醒する。時も流れ、物語もまた大きく動きそうな予感。アニメ化も決定!


かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~ 26巻 / 赤阪アカ(集英社)

四宮奪還作戦を決行する生徒会メンバー。四宮家や四条家の人間も使いながら最後に一番美味しいところを持っていく会長がもう最高。『かぐや様』はやっぱりこうでないと、と思わせてくれるラストでした。これもう最終巻でいいのでは?


ジョジョの奇妙な冒険 クレイジー・Dの悪霊的失恋 1巻 / 上遠野浩平・カラスマタスク・荒木飛呂彦

行方不明になったスタンド使いのオウムを追いかけてS市杜王町にやってきた「皇帝」のホル・ホース。早速、街中で何者からかのスタンド攻撃を受けるも、それを助けたのは4部主人公・東方仗助だった。3部と4部の狭間を描く、ジョジョ初のスピンオフコミック、堂々開幕ッ!!グレートですよ、こいつは!!(サブタイトルの意味はまだちょっと不明)

やっぱり4部が一番好きなので、そこへと続く前日譚というのは楽しみと言わざるを得ないですね。4部キャラはもちろんそこまで出てこないでしょうし、承太郎とも会ってないし、限られたキャラクターだけで動いていくのかな?まだまだ不明な部分も多い分、これからが楽しみです。スピンオフ小説は多数あるけどコミックとしては初なんですね、言われてみれば。


少年のアビス 9巻 / 峰山りょう(集英社)

揃って墜ちていく令児、チャコ、玄の幼なじみ三人は、どこまでも強かな柴ちゃん先生を出し抜く形で町を出る。閉ざされていたかに思えた町からの逃避行はあまりにもあっけなく。それでも彼らの目に光はなく。東京の地で少年が見るアビスーー。

番外編「柴ちゃん先生:オリジン」も含めて救いのかけらもなかったな今回も…


よふかしのうた 11巻 / コトヤマ(小学館)

探偵さんの家族を崩壊させた吸血鬼の正体はコウの親友・マヒルも慕う星見キクだった。彼女との関係を問い糺すコウの「半吸血鬼化」が進み、マヒルとはすれ違う。

コウはこのまま吸血鬼になるのか、マヒルの想いとは、星見キクの本当の目的とは。謎は増える一方だけど来月からのTVアニメ開始に合わせて二ヶ月連続刊行!助かる。


葬送のフリーレン 8巻 / 山田鐘人・アベツカサ(小学館)

勇者ヒンメルの死から30年後。厳しい北部平原を進むフリーレンたちは辺境の村を襲った魔族の討伐依頼を受ける。激しい戦いを繰り広げながらもフリーレンはやはりいつも通り。メインのバトルパート自体はあまり情緒がなかったかな(77話と78話の幕間ページだけでお腹いっぱいになりました)。


スキップとローファー 7巻 / 高松美咲(講談社)

毎月本誌で追っていてもなお単行本発売が楽しみな大好きな作品。TVアニメの続報も解禁され、嬉しさと緊張が入り混じった不思議な気持ちです。

2年生に進級したみつみたち。先輩風を吹かせたいみつみを横目に、仲良しグループの中で人間関係の再構築に一番苦戦しているのはゆづちゃんのようで。みつみ・ミカ・まことそれぞれの視点もしっかりと描かれながらも、ゆづちゃん自身の心理やまこととの関係性の描写はやはり流石の鋭さ。こういった繊細なシーンがアニメだとどんな風になるのかイマイチ想像しきれない、というのが正直なところ。けど楽しみ。

そして地球規模、宇宙規模の壮大な引きで終わり、今からもう次巻が楽しみすぎる。


好きな子がめがねを忘れた 9巻 特装版 / 藤近小梅(スクウェア・エニックス)

夏休みが明け、どこかすれ違い気味な三重さんと小村くん。頑張ってコンタクトに挑戦してみたり、でもそれが体育祭で裏目に出たり、募る感情が溢れたり、寝込んだ小村くんをお見舞いに行ったり、マイペースに進むこの”うブ”な関係が堪らない。

前回に引き続き、今回も特装版あり。三重さんの小4エピソードが可愛すぎた。あとコンタクトver.のちょっと虚ろ?な感じの目が好きです。小村くんが時折見せる思春期男子特有のキモさも健在。


キミと越えて恋になる 2巻 / 柚樹ちひろ(集英社)

獣人の繫と人間の万理との異種間ラブコメ2巻。互いに惹かれ、想いも伝えあったものの、世間体的に堂々と付き合うのはまだ難しい。二人のじゃれ合い(意味深)はもう結構ちゃんと越えちゃっていて、そこは大変良いです。ライバルと思しき獣人のメスが出てきたけどどうなるのか。


クロスバーストハニーハニー 1巻 / 杉谷庄吾(KADOKAWA)

『ポンポさん』の杉谷先生の新作。女子高生のヒマワリはゲーム部入部希望のルナに誘われてオンラインゲーム「クロスバーストハニーハニー」と出会う。「ゲームは遊びじゃない!」というルナの言葉に感化され、足を踏み入れたeスポーツの世界で初心者ゲーマーは新たな世界を知る。

主人公で箱入り娘的で礼儀正しいヒマワリ、プロゲーマーを目指すルナ、ゲーム部で出会うクナイ。みんな可愛く、「ゲーム」との親和性も不思議と高くてスルスル読めました。このあたりは流石です。

ヒマワリが自然と身につけてきた「結果予期」と「効力予期」という思考法がゲームにおいて強力な武器と化し、メキメキと腕を上げていく(んだろう)。ライバルたちと切磋琢磨し、目指すはゲーマーの甲子園eクラウントーナメント!


ひかる・イン・ザ・ライト 3巻 / 松田舞(双葉社)

オーディション2ndステージ【チームバトル】。歌うことで自分を表現することを知ったひかるが属するMOONチームと蘭の率いるWINDチーム。

何でもソツなくこなしてきたが故に”器用貧乏”と呼ばれ、アイドルに向いてないかもしれないと悩んでも、それでも蘭がアイドルに拘り続ける理由。自分の気持ちに正直になった彼女は強かった。

落ちていく子たちとの関係をそこまで濃く描いていない点がこの作品が読みやすい理由の一つだと思ってます。自分が選ばれなかった理由は自分自身が一番理解していて、だからこそ、進んでいく子たちの袖を掴んだりしない。綺麗事なのかもしれないけど、やっぱりいいですね。こういうのでいい。


フールナイト 4巻 / 安田佳澄(小学館)

アイヴィーの声を頼りに貧困街を訪れるトーシロー。そこで浮き彫りになる都市部と貧困街が抱える根深い闇。公になったアイヴィー事件が反対派のデモ活動を加速させ、転花制度を巡る対立は激化する。

真実に辿り着いたとしても、この世界にもはや正しさなど存在しないのだと思わせられてしまうくらいには暗く重く苦しい。それでも前には進んでほしい。


チ。-地球の運動について- 第8集 完結 / 魚豊(小学館)

『地動説』という大いなる真理の元に人間の知性と暴力が描かれた熱き魂の物語、堂々完結。読み終えた後、広大な場所に立って自分の足元を見つめているような感覚になりました(?)

連載お疲れ様でした。全8巻とは思えないくらい果てしない物語だったように感じます。アニメも大変楽しみ(どう動くのかはなかなか想像できませんが)。

作者・魚豊先生と声優・津田健次郎氏の対談が公開されており、こちらも面白かったです。アニメ化の際、ツダケン絶対ノヴァク役で出るな、これは。


ロスト・ラッド・ロンドン 1〜3 完結 / シマ・シンヤ(KADOKAWA)

ロンドン市長暗殺事件を巡り、容疑者として名前が上がってしまった平凡な大学生のアルとワケあり刑事のエリスは事件解決のため手を組んだ。

やっと読めました、やっと。オシャレな線や構図が美しく、普段読む作品とは一味違った極上のミステリーサスペンスでした。来月のシマ・シンヤ先生の新作も楽しみです。


サマータイムレンダ 1〜13巻 完結 / 田中靖規(集英社)

TVアニメが4月から絶賛放送中のジャンプ+発のタイムループサスペンス作品。毎週追っていると途中で内容を忘れそうだったので一気に読みました。

幼馴染のの訃報を聞き、故郷の離島に帰ってきた主人公・慎平。しかし潮の死には不可解な点があった。それと同時に引き起こる島に伝わる「影の病」の怪現象と慎平に宿る「死に戻り」の時間遡行能力。慎平を待ち受ける三日間の壮大な悪夢の真相とは。

主人公の慎平をはじめ、登場人物が基本的に全員有能で、余計な苛立ちなく読めた。タイムリープを繰り返す度に変化していく展開・物語ももちろん面白かった!(途中ちょっと”?”な部分もあったけどそこも含めて◎)ダブルヒロインの潮と潮の妹・澪も画に花を持たせつつ、二人とも本当に頼もしい存在でした

来月7月にはスピンオフ(続編?)も出るみたいなので楽しみ。今本編を読めてよかった。和歌山にも聖地巡礼に行かねば。


恋は光 1〜7巻 完結 / 秋★枝(集英社)

「恋している女性が光って見える」という特異体質を持つ大学生・西条。大学で出会った恋を知りたいと言う女性・東雲に恋をし、小中高大と腐れ縁の女性・北代にアドバイスされながら、他人の彼氏を寝取ることで悦に浸る女性・宿木に迫られる、四角関係を描いた恋愛哲学マンガ

「光って見える」というのは比喩ではなく、実際にキラキラと光って見えるらしく、その光の正体は何なのか、人が人を好きになるとはどういうことなのか、ということをずっと分析・考察し続ける主人公の西条。所謂非モテ陰キャ男子で、さらには非常に理屈っぽく、それが故に鈍感な彼を中心に、3人のヒロインも各々の恋愛観について深く掘り下げ、向き合う姿勢が一貫して描かれている。心でなく、頭で読むようなラブコメでした。新体験。

今月から公開の実写映画も鑑賞しました。もうめちゃくちゃ良かったです。もしかしたらマンガ原作の実写映画をちゃんと映画館で観たの初めてかもしれない。原作ファンこそ観るべき傑作でした。北代よ…


メタモルフォーゼの縁側 1〜5巻 完結 / 鶴谷香央里(KADOKAWA)

今さら取り沙汰すまでもない名作ですが、ちゃんと最後まで読んだのは初でした。75歳のおばあちゃんと17歳の女子高生が共通の「好きなもの」を通して友情とも少し違う温かい交流を育むストーリー。

1巻を読んだけでは想像もできなかった方向に進んでいく、ということはなかったけど、それがかえってよかったです。別に何も起こらなくたっていい。この歳の差で喧嘩したり、おばあちゃんが倒れたり、女子高生が漫画家として成功しなくたってもちろんいい。少しだけ心の触れ合いがあるような淡い関係(その属性・ジャンルに関係なく)が好きなんだなと改めて思いました。

こちらも実写映画が今月から公開。PVだけでは判断できない素晴らしい実写化でした。思わず上映終了後に「映画記念BOXセット」をポチるほどには良かった。




雑記

湿気がもうひどくて、紙で読むのが億劫になってくる季節か~と思えば、あっという間に梅雨が終わり拍子抜けというか何というかって感じです。夏が来る。

今月はやはり『黄泉のツガイ』に唸りました。他、新作だと『ハガネとわかば』や『誰何Suika』が特にイチオシです。完結作もちらほらあり、新作もちらほらあり、毎月言ってる気がしますが、今月も豊作でした…

他の話題だと『ガッシュ2』の更新が激アツすぎましたね。でもここがまだ『2』のスタートラインに過ぎないのが恐ろしいところ。
『宝石の国』や『ベルセルク』等の大作の連載再開といった嬉しいニュースも多くて暑い夏がより熱くなりそうです。あの冨樫先生もTwitterを始められていたし。連載再開のアナウンス自体はないのにあのバズり様、流石です。

そして、来月7月に待望の第1巻が発売される期待作『正反対な君と僕』の阿賀沢紅茶先生の前作『氷の城壁』もやっと読みました。超良かった。正反対〜にも滲み出ている「ユルさ」はこの頃から健在ながらも、しっかりと少女漫画。登場人物の関係性やその深掘りも余すところなく描き切った名作でした。タイトルも素敵です。
上記の『恋は光』じゃないですが、この作品も恋、とりわけ他者に対する自己(エゴ)みたいな部分をかなり的確に言語化していて、読み応えがありました。

この切れ味が今後、正反対〜でも発揮されることはあるのか、ないにしても「出そうと思えば出せる」という事実を突きつけられて、若干怯んでいる自分がいます。なんとかして単行本として刊行してほしいけど難しいのかな… 偉い人…

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