ブルーベリー×観光農園が最強の農業事業なのか?
今回は、元デンソーの畔柳茂樹氏が書かれた『最強の農起業』という本を紹介したいと思います。
この本では、著者が10年以上運営しているブルーベリー観光農園のノウハウが詰め込まれています。特に、生産性の高さや人生のあり方を見つめ直す点においてオススメの一冊です。
ブルーベリー観光農園の実績
畔柳氏のブルーベリー観光農園は、愛知県岡崎市にあり、年間60日余りの営業で2,000万円を超える売上を達成しています。これは、かなり生産性の高い農業経営と言えるでしょう。著者の背景として、デンソーという自動車部品メーカーで生産性を意識した仕事をしてきたことが挙げられます。
成功の3つの要因
著者は、ブルーベリー観光農園の成功要因を以下の3点に集約しています。
無人栽培
観光農園システム
IT集客
1.無人栽培の特徴
ブルーベリーの栽培において、無人栽培は天候に左右されない仕組みとして機能しています。具体的には、自動潅水システムを導入し、点滴のように潅水することでブルーベリーの成長を最大化しているそうです。これにより、通常の農業よりも生産性が高く、環境の影響を受けにくいのが特徴です。
2.観光農園システムのメリット
観光農園システムでは、収穫したブルーベリーを市場に出荷するのではなく、来園者に自分で摘み取ってもらい、その場で食べてもらうというビジネスモデルを採用しています。これにより、収穫作業を来園者に任せることができ、農家にとって負担の大きい作業を削減できます。
さらに、来園者にとっては収穫体験がサービスの一部となり、楽しみの一つになります。観光農園では入園料が売上となるため、原価率の良いサービスと言えます。
加えて、ブルーベリーをお土産として販売することで、さらなる収益アップを図っています。通常の市場出荷と比べて送料がかからないため、2~3割程度高く販売できるそうです。
3.IT集客の重要性
ブルーベリー観光農園の成功要因の3つ目として、IT集客が挙げられます。著者の畔柳氏は、SNSを積極的に活用することで、効果的な集客を実現しています。
インターネット黎明期から、ブログやランディングページを使った集客に取り組んできた畔柳氏。近年では、TwitterやInstagram、Facebookなどのソーシャルメディアも駆使し、お客様との繋がりを強化しています。
年間1万人の来客を実現
こうした地道な取り組みの結果、年間1万人もの来客者を獲得することに成功しました。D2C(Direct to Consumer)の考え方に基づき、ホームページや動画コンテンツを通じて、お客様との直接的なコミュニケーションを重視。予約で埋まるような仕組みを構築しています。
安定したビジネスモデルを確立した畔柳氏は、現在、そのノウハウを他の地域の農業に興味がある方々に提供するフランチャイズモデルを展開中です。この本を通じて、農業ビジネスの在り方について学ぶことができるでしょう。
脱サラを決意させた14の問い
しかし、本書で最も印象的なのは、著者の生き方そのものに関する考察です。畔柳氏が脱サラを決意するきっかけとなった、以下の14の問いを紹介します。
会社でやりたいこと、挑戦してみたいことがまだたくさんあるか?
会社の中での自分の明るい未来が描けるか?
自分が憧れる理想の上司はいるか?
自分は会社にとって、かけがえのない存在か?
この先、昇給が期待できるか?
昇進が期待できるか?
キャリア・スキルアップが期待できるか?
仕事・生活のためには、自由は制限されても仕方ないと思うか?
自分の仕事が社会に貢献していると実感できるか?
今の仕事が自分にはライフワークだと思うか?
月曜日の朝、気持ちよく起きて会社に行けるか?
今の仕事は、もともと自分がやりたかった仕事か?
今の自分は、なりたかった自分なのか?
今の仕事あるいは会社生活を通して、自己実現ができると思うか?
問いへの答えが脱サラのきっかけに
会社員時代、この14の問いに対して全てがYesと答えられなかったことが、畔柳氏の脱サラを後押ししたそうです。私自身も、サラリーマン時代を振り返ると、半分以上がNoだったと感じています。当時は辛い経験でしたが、起業することでYesの数を増やせると実感しています。
おわりに
自分の好きなことをして生きていくことは、キャリアにも生きがいにも繋がり、ひいては収入の向上にも繋がるのではないでしょうか。この14の問いを基に、皆さんも自身のキャリアについて考えてみることをおすすめします。
『最強の農起業』は、ブルーベリー観光農園というユニークなビジネスモデルについて学べるだけでなく、人生の在り方についても示唆に富んだ一冊です。Audibleの聴き放題対象作品にもなっているので、ぜひチェックしてみてください。
今回も最後までお読みいただきありがとうございます。
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