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腰痛の原因追及 ~筋と筋膜の関係性から考える~

本日も臨床BATONにお越しいただきありがとうございます。
徐々に寒さが和らいできて、過ごしやすい気候になってきました。
私はなぜか時間に追われる日々で、スケジュールの見直しが必要と感じている今日この頃です。

174日目を担当します、脳神経外科病院で急性期~回復期までのリハビリテーションを担当している理学療法士の清水啓史です。

前回は『脳卒中急性期で肩関節痛を出さないためにできること~神経障害性疼痛について考える~』について書きました。
急性期での肩関節痛で悩んでいる方は是非一度読んでみてください。

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本日は、腰痛について考えていこうと思います。
患者様だけではなく、私たちにも起こりうる可能性が非常に高いことの一つに「腰痛」があります。

実際にこれを読んでいただいている方々の中や、周囲の方々の中にも腰痛を抱えている方は多いかと思います。
患者様も整形外科疾患や脳血管疾患など様々な方にも起きてくる可能性が高いです。腰痛が第一の主訴で来院される方もいれば、入院生活の中で腰痛を訴えられる方もいます。

今回は、腰痛の中でも筋骨格系に由来する疼痛について、原因追及するポイントについて筋と筋膜の関係性から考えていきたいと思います。

臨床において腰痛に対して皆さんどのように評価していますか?


私自身、腰痛があるといわれると「股関節の硬さ」や「柔軟性の低下」を説明して、「動作指導」をしていました。
しかし、関わる中で自分でもしっくりこないことも多々あり、本当にこれが原因なのかな?と思うようなことも多かったのです。


腰痛の考え方

脊椎の最も小さなセグメントをfunctional spinal unitといいます。

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これらのどれかに機能低下を起こすと、一つの機能単位として全体的な機能障害へと発展します。
つまり、腰痛の原因はこのどれかに存在する可能性が非常に高いということです(心理的な要因は除きます)。

腰痛はfunctional spinal unitへの過負荷による組織の損傷により引き起こされているのです。

私が臨床上よく遭遇する問題として、圧倒的に骨格筋の問題が多いです。その他では神経組織の問題による腰痛や関連痛を訴えられ、手術した患者様を担当することがあります。


なぜ、負荷がかかりやすいのか?

なぜ負荷がかかりやすいかというと、質量の大きな上半身と下半身をつながなければならないからです。
脊椎の役割は大きく分けて「支持」「運動」「神経の保護」の3つとなります。
特に、腰椎は「支持」の部分で大きな役割を果たしてくれます(もちろん運動の役割も重要です)。
腰椎は下肢と体幹をつなぐ重要な部分で、不安定な体幹と頭部を支えているともとれます。

さらに運動の場合は上部体幹や頭部の位置が重心線から離れた位置に移動するためそれらを支えるために腰椎は重要な役割を果たしてくれていると言えます。
もし、腰椎が不安定でぐらぐらしていると、上半身は安定せず、ヒトは活動することが非常に困難になります。
またヒトの活動には不安定な状態が多々ありますので、その中でも安定させなければならないのです。

このように不安定な状態でも姿勢を保持しようとするため、腰椎には“安定化”が求められます。

腰椎安定化


運動面に関しては、矢状面上の運動(屈曲と伸展)では貢献が大きく、回旋に関してはほぼ動かないような状態です。これは関節突起間関節の構造による影響です。
なぜならば、頸椎と腰椎と胸椎で関節面の方向が違うからです。

以下に脊椎間の可動域と関節面の違いについてイメージを出します。

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