見出し画像

田舎のぼっちセラピストが考える「中枢疾患に対するストレッチ再考・足関節編」

本日も臨床BATONにお越し頂きありがとうございます。
145日目を担当させて頂くのは、「介護老人保健施設」という名称を「自立支援保健施設」に変更した方が諸々良い方向に向かうのではないかと本気で考えているPT貴田農士です。
(私の権限では確実ムリですが・・・)

私事ですが、本年2021年の5月頃からいよいよ地元那須塩原市にリハ特化型デイサービスを立ち上げます。事業を立ち上げること自体は正直誰にでも出来ることだとは思いますが、それを成功させること、経営し続けていくことは難しく、そこが腕の見せ所だと言われていますので、これからも倒れるなら前のめり精神で進化し続けられるよう頑張っていきます!!

さて、今回は「中枢疾患に対するストレッチ再考・足関節編」というテーマで書かせて頂きます。
ちなみに中枢疾患に対する・・・とは書きましたが、間違いなく運動器や整形系にも転用可能な内容になっていると思いますので、そのような方々も少し目を通していただけると幸いです。

また、以下は今回使用する全ての図やイラスト、動画となっています。読み進めるご参考にしていただければと思います。

3ストレッチ再考

4ストレッチ再考

2プレゼン用 ストレッチを再考する

ストレッチ再考

6ストレッチ再考

プレゼン用 ストレッチを再考する

ストレッチ再考2

・はじめに

以前もお伝えしましたが、私は関節可動域制限に対するストレッチを対象者に施行するのはあまり好きではないです。
(セルフでして頂くのであれば話は別ですが・・・)

なぜならば、中枢疾患において、関節可動域制限は陽性兆候ではなく、関節可動域制限は、二次的な症状だからです。

この辺の内容に関しては、以前のブログを参考にして頂けると幸いです。


ふと思い返すと、私も理学療法士になった当初は、確かに対象者を背臥位にして足関節をストレッチしていましたし、周りを見ても、さもそれがリハビリの準備運動かのようにルーティンのように実施していたのを覚えています。
(今考えれば、そもそも他動ストレッチなので運動にすらなっていないような気もしますが・・・)

3ストレッチ再考

いわゆる、文化や習慣のようなものです。
(若いときは良くも悪くもその施設の環境、文化に流されやすいですよね・・・)

しかし、私も知識や技術、経験を重ねていくなかで、回復期で働いている時代に上記のような背臥位にして足関節のストレッチを行うことを一切やらなくなりました。


そして、その代わりに何をやったかというと

「運動」です。

安静はアヘンである。安静臥床は麻薬、運動は特効薬。 
        和歌山県立医科大学リハビリテーション科 田島文博教授

特に、立ち上がりや立位、歩行(長下肢装具を使用してでも)の頻度に関してはリハビリ3単位(1時間)の半分以上をそれに費やすように心がけてきました。

するとどうでしょう。

足関節の、特に背屈可動域制限が私の対象者はほとんど見受けられなくなっていきました。
つまり、対象者の足関節の他動ストレッチをする必要が限りなくゼロになったのでした。

しかし、現在は老健で対象者を見させていただいており、足関節、特に背屈制限のある方に中枢疾患、整形疾患問わず多く対面することを経験するのは事実です。

ということで、今回は、私の回復期、老健の経験を経てきた中での足関節に対するストレッチについての一つの考えを投稿させて頂きますので、少々お時間お付き合いください。

なお、今回はあくまで足関節のストレッチの意義や必要性についての内容が主になりますので、機能解剖や手技、徒手療法などに関しては他の成書やセミナーなどをご参考にして頂ければ幸いです。

・足関節はなぜ硬くなるのか?

まずは、なぜ足関節、特に背屈可動域が制限されやすいのかです。

よく言われているのが、
「長時間の臥床」だと思います。

4ストレッチ再考

私たちは背臥位では、基本足関節は底屈位になりますし、布団の重さで更に底屈位を強制されてしまいます。
また、中枢疾患の場合は、腓腹筋、及びヒラメ筋の伸張反射亢進や痙性麻痺の影響もあるので、背屈可動域が二次的に制限されていくことも多いと思います。

もっと考えると伸展パターン(共同運動パターン)や底屈位で突っ張る、関節中間位だと失調を生じてしまうための代償として上半身重心を前方に位置させ、股関節屈曲位、膝関節伸展位(過伸展位)、足関節底屈位で固定するなどの適応的反応としてのバックニーなどもそのひとつの原因となります。


(余談ですが、たまに見かけるのが、底屈は随意運動可能なのに背屈できない脳卒中の方・・・これって運動麻痺じゃなくて、筋の過伸張(over-stretch)による弱化や損傷とか不使用学習とかの可能性も大いにあるのではないかって思う。なので、死ぬ気で背屈促通していけばいけるはずと思っている)


上記のように背屈可動域制限の細かい原因評価や治療も大切ですが、
結論は1日24時間の中で足関節は背屈する機会が少ないということに集約されます。

そして、足関節が背屈する機会と言えば、特に立ち上がりや歩行だと思います。
つまり、圧倒的に訓練及び日常生活の中での立ち上がりや歩行頻度が少ないというのもあります。

さて、皆さんの対象者は1日の訓練及び日常生活の中で立ち上がり100回以上、歩行は4000歩以上実施出来ていますか??

ここから先は

2,672字 / 5画像 / 1ファイル
この記事のみ ¥ 200
期間限定!PayPayで支払うと抽選でお得

この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?