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運動学習における小脳の役割 〜内部モデルを作るための考え方〜

おはようございます🌞

本日も臨床BATONにお越しいただきありがとうございます!

第300日目を担当する理学療法士のシミーです。


臨床BATONの連載は本日で300日目を迎えることができました👏

いつも購読いただいている読者の皆様に心より御礼申し上げます。

メンバー一同「患者様のフルリカバリーを目指すために」という想いは変わらず、臨床で悩んでいるセラピストの方々へ情報を発信していきます。

これからも自らをアップデートし続け、フルリカバリーに繋がるように邁進していきます!


本日のテーマは「運動学習」についてです。

臨床の中で、「どうすれば患者さんが動作を早く獲得できるかな?」と考えることはありますか?

必ず、あると思います!

それを達成するために重要になるのが『運動学習』です。

その中でも、小脳の役割は非常に重要となっています。

しかし、重要であることはわかるけれど、それをどのように活用すればいいのかがわからないということはないでしょうか?

運動学習ということ自体が抽象的すぎてわからないということもあるかもしれません。

運動学習を進めていくために小脳の役割を理解していきましょう!



運動学習とは?

Schmidt(1991)は”運動学習は巧みな課題遂行(skilled performance)の能力(capacity)を比較的永続する変化に導くような実践(practice)あるいは経験(experience)に関係する一連の過程である”と定義した。

基礎運動学 第6版(2003年)p451 中村隆一他 医歯薬出版株式会社

難しい言い回しでわかりにくいと思います。

簡単に言うと、ある運動を応用したり変化させたりすることができるレベルまで到達させるための過程のことです。

ただ単に運動を獲得することではなくて、応用して使いこなせるようになるという部分はポイントだと思います。

運動学習は必要ですが、それは機能回復をしていく段階で必要な過程だからです。

運動学習を治すというような位置付けではなく、どのようにしてスムーズな機能回復ができるか?そのために運動学習は円滑にできているのか?ということを考えていくことが重要と思います。

私たちがしている勉強も同じですよね。
教科書の内容を覚えるまでが完了ではなく、覚えた知識を使って、問題を解いたりしていますね。

さらに、私たちは運動でも同様に学習ができているのです。反対に、運動学習ができないという患者様はこの過程に問題があるから動作が定着しないという問題が発生します。

では、運動学習によるメリットはなんでしょうか?

定義にもあるように、比較的永続する変化に導くとあるように、状況によって応用の仕方を変えられるということです。

これは学習した運動に対しての注意が減少し、その分を他のこと(環境、課題)に向けられるということです。

人の生活は様々な運動が複合された動作であり、環境や条件の変化に対応していかなければいけないので動くことだけに意識を向けていては何も進みません。

例えば、タイピングをノールックでできる人はPCの画面に集中できますが、キーボードを見なければいけない人は画面にもキーボードにも注意を向けなければタイピングが成立しません。


小脳の役割

小脳は練習により学習した運動記憶を自身の内に作り、それを用いて運動が自動的に正しく行われるように働く。

理学療法学 第42巻第8号 p836(2015年)小脳による運動学習機構

このような役割を持っています。

運動の調節だけではなく、運動記憶を作ることができるのです。

この運動記憶は小脳核にできます。

小脳は小脳皮質と小脳核から構成されています。

小脳皮質の主要な神経細胞であるプルキンエ細胞はふたつの異なった情報を受け取っています。
・平行線維とのシナプスを経てくる運動を起こすために必要な外界や身体などについての情報
・登上線維とのシナプスを経てくる運動時に生じるエラー情報

【長期抑圧】

登上線維によってエラー情報がプルキンエ細胞に繰り返し伝わると、登上線維と同時に活動していた平行線維からの信号がその後長期にわたりプルキンエ細胞に伝わりにくくなる現象です。

平行線維から入る情報は、一次運動野から入力される「運動指令の遠心性コピー」です。

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