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PT・STさんにも知ってもらいたい!作業療法士の役割とアプローチ方法

 本日は、臨床BATONにお越しいただきありがとうございます。
21日目を担当させていただきます、みーさんです。私は大阪の病院で勤めている、悩み多き5年目の作業療法士です。
 1年目で作業療法士ってなんなのか、わかっているようで、よくわからないまま臨床に立ってしまった私です・・・。
 そんな、私が私なりに悩み・試行錯誤しながら今に至った経験談や少しでも皆様のお役に立てる知識などお伝えできたらと思います。どうぞよろしくお願い致します(*^_^*)

【テーマについて】

今日のテーマは、「PT・STさんにも知ってもらいたい!作業療法士の役割とアプローチ方法」についてです。

 私は病院内で作業療法士をしていますが、新人の頃、作業療法の役割を明確に理解できておらず、気づけばPTさんやSTさんの真似事のようなアプローチをしていたり💦色々さまよっていたなと思い返されます。現在でも、さまよう部分はありますが…。私のような、悩みをもった新人OTさんもいるのでは?と思いました。   
 また、新人PT・ST...セラピストだけに関わらず新人の看護師さんまで『作業療法士って、何するの?』とよく聞かれた覚えがあります。なかなか、新人の頃、作業療法士の役割は捉えにくいのでは?と思い、このテーマにさせて頂きました
 ちなみに、私は在宅領域での経験がないので、ここでは病院内での話になります。在宅領域のセラピストの方々にも何かプラスとなる病院内で経験したこと、考えたことを皆様にお伝えできたらと考えています。

【作業療法士って?】

そもそも、作業療法士ってどう定義されているのでしょうか。養成校で習っていることですが、今一度、原点に振り返ってみたいと思います。ちなみに、作業療法の定義が2年前に改訂されたので、改訂された内容で確認していきましょう!

日本作業療法士会の定義によると・・・

「作業療法は、人々の健康と幸福を促進するために、医療、保健、福祉、教育、職業などの領域で行われる。作業に焦点を当てた治療、指導、援助である。作業とは、対象となる人々にとって目的や価値を持つ生活行為を指す。」引用1)

としています。

つまり・・・

作業療法とは、生活行為に焦点を当てたアプローチを指す。

そして、病院内においては

病気で生活行為ができなくなった患者さんに再び必要とする生活行為を再獲得させること。

と解釈しました。

●焦点とは・・・物事の中で最も重要な部分。注目点。引用2)
●生活行為とは・・・
人が生きていくうえで営まれる365日24時間連続する生活全般の行為を指します。引用3)

また、生活全般の行為は5つに分けることができます。

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【作業療法士の役割】

 定義を踏まえたうえで、作業療法士の役割を考えました。しかし、生活行為の5項目を同時進行に治療を行うことは難しいと感じました💦そこで、各項目をさらに動作能力を3つに分けて考えることで私自身、治療が捉えやすいと考えます

その3つとは!

①基本的動作能力 
②応用的動作能力
③社会的適応能力

上記の3つの項目を、患者さんが望む環境や手順や方法で、退院先の環境で獲得できるようにアプローチすることが作業療法士の役割と考えます。

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①基本的動作能力 (関節可動域、筋力、感覚、バランス)
1、ROM訓練・筋力訓練など心身機能にアプローチし改善する。
2、身体機能改善で困難な場合は、必要に応じて環境面(ベッドや手すり等の位置や形状等)を調整する。

②応用的動作能力(食事・更衣・排泄・入浴・移動・家事・仕事)
1、排泄動作・入浴動作など動作にアプローチし能力改善する。
2、『できるADL』が安定したら、『しているADL』へ変更していく。
※一連の動作の中で、各動作が支持基底面内に重心を保ちながら、見守りか一部介助で行える状態だと、病棟でも『しているADL』へ変更できることが多いと経験上思います。病棟のマンパワーや患者さんのゴール設定にもよるとは思いますが・・・

③社会的適応能力
1、元々の手順・方法・環境の基、適した状態を獲得する。
2、病院という限られた環境の中で、『できるだけ』でなく院内のルールを侵さないように配慮しながら『している』活動へ

【症例】

そんな私が新人のころ、上手くいったと思った経験があります。その患者さんは、内科疾患の術後、自宅退院の希望があり、リハビリオーダーが出た方です。

<希望>
トイレ・買い物動作獲得
「トイレに行けるようになりたい。」
「自身の口に入れるものは自分で見て選んで買ってきて自分の手で作りたい。」
「スーパーであった友人と数分の時間立ち話できるようになりい。」

<介入方針>
①起居動作自立
②トイレ動作自立
③スーパーまで行き買い物し、友人と立ち話ができる

<経過>
介入時起居動作に中等度介助 移動車いす全介助
トイレ動作は全介助で尿バルン・オムツ装着
X+2週間で起居動作自立。X+4週間でトイレ内動作自立。最終的に歩行器を使用して買い物動作の獲得ができました。

いつもは、目の前に見える問題点だけを考えその場・その場の関わりをしていました。
(当時は、そんな風に思っていたわけではありません。今振り返るとそうだったなと)

初めに、①基本的動作能力訓練から実施しました。そして、最終ゴールの内容から、視覚・聴覚的注意が外れた状況でも保てる、支持基底面内に重心をとどめるバランス能力の獲得を意識して、セラピストと会話をしながらとか、まわりにいる人の服の色を答えてもらいながら行うなど課題設定を行いました。

そして、②トイレ動作と台所回り動作に移行して行き。
③歩行器を使用した買い物訓練へ移行していきました。

3つに分けて考えることで、1本の線で、患者さんの段階的づけや目標、ゴールを捉えれるようになり、最終ゴールを頭に描きながら基本的動作能力訓練に取り組めたと思います。

【まとめ】

 日本作業療法士協会の定義を踏まえ、作業療法士の役割やアプローチ方法を述べさせていただきました。
今振り返ると・・・
 新人の頃は、時には複雑に考えすぎない!ということも大切と思いました。複雑に考えるほど、結局何をすればいいのか?行動を起こせなくなってしまいます
 新人の頃の私は、あれもこれもしないといけない!しかし、単位時間内位にすべてを実施している時間はありません。そして、効率よくできる技術も身についていません。理想と自身の知識・技術とのギャップがいまいちわかっていませんでした・・・
 作業の方法は多種多様あるとは思います。理想は1本線ではなく様々な要素を複合的に考えることだとは思います。しかし、新人の時は経験上複雑に考えると行動が起こせなくなってしまいます
 シンプルに上記3つの項目をおさえ、評価・治療など行動することも選択肢の1つではないかと思います。

 最後まで、読んでいただきありがとうございました☆彡
次回は、6/29月曜日!
言語聴覚士のつぼさんでテーマは
「人材不足と言われる言語聴覚士とは?現場で一緒に働いているPT・OTさん分かりますか?~現役言語聴覚士がお答えします!~」です!
知っているようで知らない現役言語聴覚士さんの実情となっています!
言語聴覚士さんはもちろん!多職種の方も必見!では臨床BATONどうぞ(*^_^*)

引用
1)3)日本作業療法士協会“作業療法の定義”2020-06-24  https://www.jaot.or.jp/about/definition/                                               2)Wikipedia 2020-06-24

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