差額ベッド代金が厳しい
こんにちは、脳外科医ノリです。Stand.fmで話しました「差額ベッド」も問題について、文章で記載しています。
本日は、差額ベッドの問題についてお話ししようと思います。朝日新聞が最近、差額ベッドに焦点を当てた特集記事を掲載しており、その内容を要約し、記事に触れていない問題の根本と、将来の解決策について考えてみたいと思います。
差額ベッドの定義
差額ベッドは正式には、「特別療養環境室料」と言い、以下のような要件を満たす必要があります。
これらのベッドは、患者が通常のベッドよりも高い費用を支払うことで利用できるものです。この制度は、患者に多くの選択肢を提供し、医療の質を向上させることを意図して導入されました。
差額ベッドと患者トラブル
この差額ベッドを巡って患者トラブルが起きているというのが朝日新聞の記事になります。2万円や3万円の宿泊料(入院料)になることもあり、「聞いていない」とトラブルになるようです。基本的には患者の希望と同意のもとに
行われるものですが、実際、差額ベッドの選択肢が限られている場合や、患者が個室しか利用できない状況になることです。患者は個室を選ぶことを望まない場合でも、個室しか利用できない場合があり、個室代金を払わなければ入院できませんという状況になったりもします。患者が個室を希望しない場合でも、個室代を支払わなければならないことがあるのです。大部屋に行きたいと希望しても、ベッドの状況によってはそれが叶わないこともあります。
この問題は、患者と医療者との口頭でのやりとりに基づいていますが、最終的には同意書に署名することが一般的です。最後には、同意書に同意したことだけが残り、詳細なやりとり内容は含まれていないことが多いため、状況が曖昧になることがあります。
もちろん医学的に個室が必要な場合は、差額ベッド代金は発生しません。
私もさまざまな病院に勤務し、ベッドのカツカツ具合は身に染みています。
病院によっては、入院の同意書のセットの中に、差額ベッドの同意書が含まれていることもあります。
収入源としての差額ベッド代金
この問題の根本的な要因は、差額ベッドが病院の収入源の一部であることと考えます。
私が学生の時に、経営に携わっている先生から「病院は、差額ベッドと駐車場とコンビニで稼いでいる」と言われたことがあります。これの真偽は置いておいて、差額ベッドは、病院経営の重要な要素となっており、病院の経営に不可欠な財源となっています。医療機関によっては、差額ベッドの料金を自由に設定でき、その金額は患者にとって高額になることもあります。
解決策と未来
この問題を解決するためには、二つのアプローチが考えられます。一つは、病院経営を改善し、他の収益源を見つけて差額ベッドそのものを不要にする方法です。もう一つは、VIP戦略的な方法で、高額の差額ベッドを提供することで、他のベッドの料金を低く抑える方法です。
前者のアプローチでは、医療機関の経営を改善し、差額ベッドが不要になるような状況を作り出すことが求められます。ベッド数を増やす、受け入れ体制を効率化する、などの方法で、差額ベッドの必要性を減少させることが考えられます。
後者のアプローチでは、高額の差額ベッドを利用できる患者に対して、特別なサービスや設備を提供することで、医療機関全体の収益を増やすことが狙いです。高額ベッドには専用のナースステーションや付加価値のあるサービスが提供され、医療の質も向上する可能性があります。
結局、医療に資本主義を持ち込むと、格差が生まれます。高い差額ベッドを払える人に払ってもらう、というのが資本主義の原則としては効率的だと思いますが、行き着く先は地獄ではないかと思います。お金が払える人がいい医療を受けるという格差が広がっていきます。医療の産業化がどんどん進むことになります。しかしどの方法であれ、差額ベッドの問題及び日本の病院の経営難を解決しなければ、良い医療を受けられず被害を受けるの患者さん、国民ということなるのではないかと思います。
今回の差額ベッドの話題からも、日本の医療制度が崩壊しつつあることが浮き彫りになります。皆さんは1泊いくらまでなら払えますか?
最後まで読んでくださいありがとうございます。
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