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[訓練]と[日常生活]を繋げるために

お疲れ様です。はらリハです。

本日は…
「脳卒中後遺症の改善に必要な”比較””イメージ”を日々の生活とリハビリに活用しよう」を紹介します。


リハビリの課題:リハビリが生活と結びついていない

 リハビリが頻繁にぶつかる壁「リハビリ室では出来るけど普段はできない」という問題…

 この問題は・・・

☑︎ 「リハビリで出来るようになること」が目標になっている
☑︎ 「日常生活をイメージしたリハビリ」
ができていない
☑︎「 訓練と日常生活とのつながり」
が無い

 この問題が原因で「リハビリ室では上手くできるけど、一歩外に出ると上手くできない」現象が起きます。

 この問題は主にセラピストの課題ですが、対象者の皆さんがここを意識できれば「リハビリ室で行ったことが生活に結びつける」ことができます。

 以下、2つの「自覚」がポイントです。

[2つの自覚を持て]
1)「あくまで最終目標は日常生活の行為を変えること」の自覚
2)「訓練はあくまで訓練であること」
の自覚

回復に向けての自覚

 この2つの自覚が「リハビリが”日常生活動作”に直結する」手がかりとなります。

 詳しく、解説していきます。

1)あくまで最終目標は日常生活の行為を変えることの自覚

 ここは、セラピストとの目標のズレで起きる問題です。

 これは、長期目標の達成に向けて、短期目標を積み上げていくプロセスがリハビリですが、その目標が生活と結びついていないことで「訓練のための訓練」になっている、という問題です。

 例えば…

短期目標:沖縄に旅行に行く(美ら海水族館で歩ける)

 という目標があるとします。

 それに対して、

短期目標:安定して麻痺側下肢に荷重することが出来る

 だと日常生活への変化がわかりにくく、ぼんやりしたものになります。

 これでは、リハビリ室で出来ても「日常生活に汎化させるのは難しい」です。

 目標はあくまで日常生活の行為であり、いま行なっている訓練で、その行為(ここでいう首里城に行くための歩行)がどのように変化するのかを対象者自身も理解しなければいけません。

 なので…

短期目標:安定して麻痺側に荷重することが出来る = ❌
→緩やかなスロープを歩くときに麻痺側で荷重を加えてもふらつかない

 というように「具体化」が必要です。

2)訓練はあくまで訓練であることの自覚

訓練はあくまで訓練である

 この自覚も重要です。

 「環境」によって身体に起きる変化は異なります。

 ここでいう環境とは…

☑︎ 自宅という物理的な環境の違い(床の素材、広さ、ものとの距離感など)
☑︎ 使用する道具の違い(箸、はさみ、包丁、パソコンなど)
☑︎ 高次脳機能の違い(リハビリに集中しているが自宅では様々なことを考えながら日常生活を送っているなど)
☑︎ 心理面(セラピストが横にいる安心感、リハビリの緊張感など)

 など…

 様々な環境の違いで身体に起こる変化は異なります。

 なので、このような変化があることを自覚することが必要です。

 自覚した上で、まずは以下2つを意識しましょう。

[ 1つは「環境設定の類似点」を作る ]
できるだけ「類似」した環境に近づける事が必要です。
自分の日常生活の環境と「類似」すればするほど、日常生活への汎化が期待できます。

[ 2つ目は「訓練と日常との類似点」の発見/共有 ]
リハビリ室と日常の行為は別物ですが、似ている部分もあります。
この似ている部分の発見/共有が必須です。
共有することは「この訓練の”何が”行為に使えるのか」です。
この「何が」の部分が、訓練と日常の行為を繋ぐきっかけとなります。

 そこを踏まえて、よりこの問題を解決させる方法を解説します。

解決策1:訓練と日常を比較する

 「受動的能動的」という言葉があります。

☑︎ 受動的:自分の意思からではなく、他に動かされること
☑︎ 能動的:自ら進んで行動すること

 この言葉をリハビリに置き換えると…

☑︎ 受動的:決められたメニューを黙々と取り組む
☑︎ 能動的:決められたor自身で決めたメニューの中で新たな「発見」を常に探しながら取り組む

 言葉だけ見ると能動的なリハビリの方がよく見えてしまいますが、受動的なリハビリも必要です。

 受動的なリハビリは「筋力UP/可動域UP」には有効であり、機能低下の予防にも必要です。

 一方、能動的なリハビリは機能的な効果も期待できますが「リハビリで得られた効果を日常に落とし込める」ことも可能です。

 この日常に落とし込むためには「日常生活とリハビリで行った動作に差があるか」を常に思考することが必要です。

 『比較することで、いま行なったリハビリ内での行為だけでなく、日常生活での行為に関しても思考することができ、2つの差が分かれば、日常生活での行為を考えながら行えるよう』になります。

 これは「意識経験の変化」であり、能動的な行為の獲得に繋がります。

※ 能動的なリハビリは「脳の可塑性」をより高め、脳卒中後遺症の根本的な問題解決にも繋がる

解決策2:訓練に日常のイメージを取り入れる

 イメージトレーニングは聞いたことがあると思いますが、具体的にはどのように行えばいいのか、知らない方が多いと思います。

[イメージトレーニング]
ある行動や課題を実際に身体を動かすのではなく、自分の頭の中にその行動や課題を思い浮かべながらイメージ練習を繰り返し行う一連の過程

脳卒中後の片麻痺患者の上肢障害の治療を目的としたイメージ・トレーニングから引用

 この頭の中に思い浮かべるイメージが鮮明であればあるほど効果的です。

 一例を出して考えてみましょう。

 片麻痺の方からこんな質問が来ました。

  スクワットを1日20回×3セットを行なっていましたが、その訓練はどのように日常生活に活かせていたのか…疑問が残ります。

 訓練を日常生活に直結するために…

「どのようなイメージを持つべきなのか??」

 彼に、以下を伝えました。

自主トレでも、リハビリでも同様のことが言えますが、

「どんなイメージを持つか」より、
「どんなイメージを持てたか」が重要になります。

本来、動きを学習するときは、能動的(自ら働きかける)に行うことが最も適した方法です。→【気づき】

担当のセラピストから…

「左足に体重を乗せて下さい」
「踵からつけて下さい」
「目線を上げて下さい」

など、言われ続けてきたと思いますが、言われたことが出来れば全て治っているはずです。

ですが、そう簡単にはいかないのが脳卒中の難しいところです。

なので、スクワットの時に感じることは、この負荷量はどんな時に経験したのか、どんな環境で感じるのか、また、どの場面で生きるのか、など、自分の記憶をもとに構築させることが大切です。

答えではありませんが、私だったら階段を降りる時の負荷量をイメージしたり、重いものを下から持ち上げるイメージだったり、セラピストなので患者さんを車椅子からベッドに移すイメージでスクワットをすると効果ありです。

〇〇さんの経験しているスポーツや、職業、子育てや趣味など、その生活で経験していたことをイメージすると、脳が活性化し、ただの筋トレが、今まで経験したどのリハビリより価値のあるものになります。

ここでいうイメージと何か?

 ここで伝えたいの「訓練にイメージを付随させる」です。

 これを可能にするには「目標を逆算的に考える」と訓練とそれに付随させるイメージが湧いてきます。

 例えば…

 長期目標:孫を抱っこして散歩をしたい
 短期目標:床に手を伸ばせるだけ膝を曲げた姿勢が取れる

 「孫を抱っこしたい」が目標であれば、「中腰/床に手を伸ばす/両手で床から孫の重量分を持ち上げる…など」の要素が必要であり、中腰をバランスを崩さず、安定して行えるように「スクワット」を訓練として選択するとします。

 このスクワットを訓練として取り組んでいる時に「子供を抱っこするイメージ」が機能改善に繋がります。

 ここでイメージするのは、自分の子供を抱っこするイメージを可能な限り鮮明に思い出し(記憶)、そのイメージを辿りながらスクワットをすることで効果UPが期待できますし、その訓練は「孫を抱っこする」に直結します。

 つまり、『この訓練がどの場面で生き、どう生活に反映するか、自身の経験や感性、意思、選択を能動的に模索し、生活場面を想像しながら訓練を行う』ことができれば、日常生活に直結した訓練となります。

 彼の返信は以下になります。

 ただ無心にスクワットを行えば筋出力や耐久性は向上します。

 しかし、根本的な問題は何か…

 真の回復を目指す為には欠かせない脳の可塑性に繋げていく為に、イメージは多大な効果を与えます。

 ぜひ、日々の訓練に活用してください。

最後に

「自分で掴んだ答えは一生忘れない」

福田達也
アオアシ 福田達也

 脳卒中後の後遺症の感覚として「以前の身体の動かし方がわからなくなる」が根底に潜んでいます。

 リハビリを通して「身体の動かし方を覚える/思い出す」ことは、皆さんがよく取り組んでいる筋力練習、可動域拡大に向けてのストレッチより、必要な課題です。

 ここは、「自分の感覚やイメージ」で身体の動かし方のコツを見つけなければいけません。

 その手掛かりの1つが本日紹介した「比較」と「イメージ」です。

 自分で掴んだ答えは一生忘れません(by福田達也)。

 日々の訓練や日常生活に「身体の動きの新しい発見」を模索し続けることが「答え」の獲得に繋がります。

 一緒に頑張りましょう!!!  

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