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スポーツの練習でもそうですが、運動だけではなく感覚の練習も同時進行で行われています。運動の感覚は運動の質にとって必要不可欠であり、感覚なしでの運動は協調的に行うことは出来ません。

片麻痺のリハビリも同じことで、随意的な動きを求める時に、肩や肘などの空間的な感覚情報を処理していますし、スクワットでは、足底から床反力を感じるなど、運動と感覚は切っても切り離せない問題だと思います。

本日は、感覚の回復について、片麻痺の向けに話を展開していこうと思います。

はじめに

脳卒中のおよそ60%にある種の感覚障害が存在していると言われています(自費リハの臨床で感覚障害が全くない人は1人もいませんが…)。
 
それに対して、研究者は運動の回復に関する見解より、感覚の回復する見解が圧倒的に少ないです。以下の理由があります。

「運動機能の回復は、目に見てわかりやすく数値かもしやすい。しかし、感覚は客観的な要素が多く、行為が改善しても感覚の改善が影響しているかは観察だけでは判断がつきにくい」

では、どうすれば改善すればいいのか、実は運動しているだけでも感覚は向上しているのです。

脳卒中後の回復において重要な感覚

『固有受容感覚』
目で確認しなくても腕や足がそこに存在していることがわかる感覚のことです。
片麻痺の方で、運動が粗雑な方は多いが、この感覚の欠如が原因だったりします。
これは、失行症と呼ばれたりします。

触圧覚
文字通り、触る、圧を皮膚で感じる感覚です。

具体的な方法

上記でも記載した通り、運動の中でも感覚は使われているので、積極的かつ反復的な訓練が必須です。
たとえば、CI療法など、1日何時間も病院や施設のリハビリ以外の時間に麻痺側のみで様々なことに挑戦することで、固有受容感覚が改善する報告がある。
実際は運動と感覚は同時に起きるものなので、動かせば動かせば動かすほど、脳内に刻まれていきます。

その中で、感覚にのみ集中したい場合は、脳内の感覚領域に対してトレーニングを実践しなければ行けません。
 
ここでは2つ説明します。

☑︎ 受動的感覚トレーニング
☑︎ 能動的感覚トレーニング

受動的感覚トレーニング(PTS)

最も有名な方法は「電気刺激」です。
個人によって出力/頻度は異なりますが、禁忌事項やセラピストによる評価のもとに、自宅でも簡単に出来る訓練です。
電気刺激の道具は、医療メーカーだと高値ですが、安価のものは4000円〜で購入できるのでおすすめです。

他にも、以下の方法があります。

☑︎ 間欠的空気圧迫装置(圧迫装置)
☑︎ 温度刺激(ホットパックと冷感パックを交互に繰り返す)
☑︎ 振動刺激
☑︎ セルフマッサージ

『注意点』受動的な感覚トレーニングは専門的な医療従事者らの検討が必要です。たとえば、電気刺激や温度刺激などは深刻な怪我につながる可能性があります。

能動的感覚トレーニング(ATS)

最も効果的なのが能動的感覚トレーニング(以下ATS)です。これは、本人と援助者(家族/友人/知人)の2人で行います。

☑︎ 局在化
対象者は目を閉じて、援助者は麻痺側上下肢、体幹のどこかに指先で触れてもらい、対象者は
どこに触れられたかを言葉でおおまかな位置を言葉にしながら健側の上肢で指を指す
 
☑︎ 書画感覚
対象者は目を閉じ、援助者は指先や、実際のペンを対象者の手に握らせながら単純な絵を描く。その後、目を開けた状態でその絵を描く。
 
☑︎ 立体認知覚
対象者は目を閉じて、援助者は日常的、または一般的に周知されている物品(コイン、ボタン、スプーン、鍵、ビー玉、くるみ等)を対象者の手の上に乗せて、それが何かを当ててもらう。
 
☑︎ 固有受容感覚
対象者は目を閉じて、援助者は麻痺側の手や足を持って、ランダムに色々な位置に置く。対象者は目を閉じたまま、健側の手や足で麻痺側の位置を真似する。その後、目を開き、位置のズレを確認し、そのズレが少なくなることを目指して繰り返す。

ぜひ、実践してみて下さい!

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