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とださんへ-洗髪動作に向けて-

お疲れ様です!
はらリハです!

本日は、LINE相談を受けた方に向けた自主トレ紹介です。

他の方にも参考になれば幸いです。

目標となる課題(洗髪)

[基本情報]
☑︎ br.stage 手指Ⅴ(手指と手関節の分離低下、手指の巧緻性低下)
☑︎ 通院リハ中
☑︎ 夕飯支度やパソコン業務に時間を有する

 課題は…

☑︎ 顔や髪を引っ掻いてしまう
☑︎ 指先を揃えて閉じる開くことが出来ない
☑︎ 親指が動かし難い

 ここのアプローチを考えていきます。

洗髪動作の必要な構成要素(簡易)

☑︎ 手の平を頭の上に移動させる体幹、肩甲骨、肩関節の可動性と安定性
☑︎ 手の平を頭皮に向ける前腕と手関節の構え
☑︎ 頭皮に向けて指腹と爪先の切り替え
☑︎ 頭皮に合わせて手関節と前腕を協調的に動かして洗う
☑︎ 頭部と手掌面、肩や前腕、肘の協調的な動き など…

洗髪動作の構成要素

 今回は太文字の部分のリハビリを選択します。

洗髪に向けた問題点の仮説

1)頭や顔を引っ掻く

 運動麻痺由来の問題として考えていきます。

※運動麻痺については下記リンク参照

 課題として…

手内在筋の活動低下に伴い手外在筋の活動優位による努力的な筋活動の結果、引っ掻く動作が起きてしまい洗髪動作で麻痺則上肢が参加できない」と仮説

仮説

簡単に説明すると…

手内在筋(手のひらの中の筋肉)

 上記の画像にある「手のひらの中の筋肉」の活動低下から、下記の動画のような手の動きが苦手になります。

 「虫様筋握り」と呼ばれており、指と指の間の筋肉が特に活動しやすい動きです。

 ここの活動が低下すると下記の画像である「前腕から指先に付着している筋肉」が過活動を起こし、下記の動画のような手の動きが主となります。

手外在筋(前腕から指先に付着する筋肉)

 ここの問題は特に解決したいですね。

2)肩周りの安定性が乏しいかも?

 頭皮に対して指先を自由に動かすためには「頭上に手を移動させる肩周りの動き」が必要不可欠です。

 運動麻痺を呈すると肩を内側に回旋(肩関節内旋)させる動きをパターンとして誤学習してしまうことが多く、肩を外側に回旋(肩関節外旋)させる動きの練習を、指の練習に合わせて行うと効果的と思います。

 ここに介入する目的は…

☑︎ 手首や指先の動きを円滑にするための土台としての機能の獲得
☑︎ 正確かつスムーズな空中での操作性の獲得
☑︎ 非麻痺側の動きについていける腕の軽さ

 です。

3)肘と手首の分離性/協調性の低下

 「FMA」と呼ばれる世界的に有名な上肢機能を運動麻痺の程度を検査では、一番難易度の高い課題として「手首のぶん回し」と報告しています。

 とださんがこの動きが難しかったのは、そういう理由があるかもしれません。

 頭皮を洗う主の動きは、肘と手首であり、この2つの関節が別々な動きつつもうまく噛み合うことで円滑に洗髪動作が可能になります。

 ここに介入する目的は…

☑︎ 手首と肘の「筋肉の収縮するタイミング/組み合わせ」を合わせる

 です。

自主トレ紹介

 では、本題の自主トレメニューを紹介します。

 わからない部分があれば、都度、ご質問下さい。

1)頭や顔を引っ掻く現象に対してリハビリメニュー

□ ゴルフボール回し

[ゴルフボール回し]
□ 目的
☑︎ 手指それぞれの分離性向上
☑︎ 手内在筋の賦活
☑︎ 巧緻性の向上
□ 方法
1) ゴルフボール2つor3つ準備する
2) ゴルフボールを時計回りに20回
3) ゴルフボールを反時計回りに20回
4) これを繰り返す
□ ポイント
☑︎ 肩や肘、手首など、なるべく脱力させる
☑︎ どの指を動かすと回りやすいのか?落ち難いのか?スピードが上がるのか?動きと指の感覚を意識、考えながら行うこと

ゴルフボール回し

□ タオルを閉じる開く運動

[タオルを閉じる開く運動]
□ 目的
☑︎ 指を開く、閉じる筋肉の賦活
☑︎ 指腹、手掌面が対象に向きやすくなる
☑︎ 各指と手首の分離性向上
□ 方法
1) ハンドタオルを準備する
2) 手のひら全体をタオルに接触させる
3) タオルを閉じる、開くを20回
4) 繰り返す
□ ポイント
☑︎ 肩や肘、手首など、なるべく脱力させる
☑︎ 手のひらと手首がテーブルから浮かせない
☑︎ 指の付け根を動かすイメージを持つ
☑︎ 可能な限り広く開く意識

□ タオルギャザー

[タオルを閉じる開く運動]
□ 目的
☑︎ 手内在筋の賦活
☑︎ 手指それぞれの分離性向上
☑︎ 手指と手首の分離性向上
□ 方法
1) ハンドタオルを準備する
2) 前腕〜手首はテーブルに接触させる
3) 小指から巻き取るようにタオルを引き寄せる
4) 繰り返す
□ ポイント
☑︎ 肩や肘、手首など、なるべく脱力させる
☑︎ 前腕と手首がテーブルから浮かせない
☑︎ ペットボトルや錘など、負荷をかけてもよい

タオルギャザー

✖︎ 失敗パターン

※ 手首や前腕が浮きやすいので注意

□ ビニールボール潰し

[タオルを閉じる開く運動]
□ 目的
☑︎ 手内在筋の賦活
☑︎ 虫様筋の強化
☑︎ 握力UP
□ 方法
1) ビニールボールを準備する(柔らかめ)
2) 可能であれば以下の肢位で行う
・肩関節90°曲げた状態
・肘は完全に伸ばした状態
・手首を上げて手のひらが正面を向く
・指は可能な限り広げた状態
3) 指のつけての関節のみ曲げる 10回
4) 繰り返す
□ ポイント
☑︎ 手のひらの中に力を入れる意識を持つ
☑︎ 親指と小指が近づくイメージ

✖︎ 失敗パターン

※ 指先ではなく指の付け根の関節を動かす

□ ゴムボール潰し(母指と小指の対立運動)

[母指と小指の対立運動]
□ 目的
☑︎ 小指球筋と母指球筋の賦活
☑︎ 手指の巧緻性向上(手指の安定性UP)
☑︎ 物品を把持しやすい手のひらの獲得
□ 方法
1) ゴムボールを準備する(最初は柔らかめ)
2) 親指と小指でゴムボールを摘む(対立)
3) 親指と小指だけでゴムボールを潰す 10回
4) 繰り返す
□ ポイント
☑︎ 親指と小指の付け根の関節を近づけるイメージ
☑︎ 手のひらは天井を向けたまま
☑︎ 他の指はなるべく伸ばす

ゴムボール潰し(母指と小指の対立運動)

⬜︎ お手玉落とし

[お手玉落とし]
□ 目的
☑︎ 指先を円滑に動かす為に必要な指同士の分けた動きの学習(分離)
☑︎ 手内在筋の活動を促通させ柔らかい手を作る(背側骨間筋/虫様筋など)
□ 方法
1) お手玉を準備する(目標は15個)
2) 非麻痺側も使ってお手玉をできる限り麻痺側の手の平に入れる
3) 肩関節90°屈曲、肘関節完全伸展、前腕回内位、手関節背屈位でキープする
4) 目を閉じてお手玉を1つずつ落としていく(最初は目を開けても良い)
5) 15個を目標に、これを繰り返す
□ ポイント
☑ 手の中でお手玉の形状や個数を探りながら実施
☑ 手首や前腕を同じ位置でキープし続ける
☑ 力いっぱい握るのではなく、お手玉の変化する形に手を合わせるイメージを持つ

お手玉落とし

2)肩周りの安定性が乏しいかも?

3)肘と手首の分離性/協調性の低下

おまけ(親指の動かしにくさ)

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