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セラピストは痙性を『つくりだしている』かもしれない

痙性は作られているのかもしれない…

Perfettiは運動療法により痙性を増強させてしまうリスクを指摘しています。

過去~現在では、急性期の段階から可動域訓練、筋の伸張訓練、血圧が安定すれば起立台での立位訓練、長下肢装具での歩行訓練など、早期的な起居移乗動作、歩行、日常生活動作が推奨されており、それが最も適切なリハビリとされています。

確かに、早期的な介入の方が廃用症候群の予防に繋がりますが…

急性期の段階では、脳浮腫の改善、血腫の吸収、脳循環改善、脳血管攣縮の改善、diaschisisの回復に伴い、数日から数週間にかけて運動機能の改善が見られます。つまり、脳の中である部分が損傷する事によって緊急事態が生じ、その事態を懸命に修復させようとしている時期であり、この時期に過度な運動を加える事はかえって損傷の悪化を招く危険性があるという見解もあります。

そこを踏まえて考えると、急性期における難易度の高い動作や行為の要求は阻害になるかもしれません。

特に、患者の身体意識や麻痺した手足の感覚麻痺を無視して困難な動作を要求すると痙性麻痺を増強させ、ウェルニッケマン拘縮を誘発し、歩行や日常生活動作を困難にする可能性があります。

しかし、痙性の有益性を指摘する研究者もいます。 

・下肢の痙性は立位や歩行の助けとなる
・亢進した伸張反射を利用すると強い筋力を発生することが出来る
・筋委縮を予防する
・骨萎縮を予防する
・浮腫の予防になる
・深部静脈血栓の予防 などが挙げられます。

また、臨床では下肢の随意運動が全くできなくとも、陽性支持反応のような下肢の伸展パターンを伴う痙性が出現すれば、立位や歩行訓練ができると考えるセラピストも多いと思います。彼らは、弛緩性麻痺より痙性麻痺の方が有益だと主張する、とPerfettiは述べています。

それが正しいか、正しくないか、わかりませんが、セラピストは運動療法の名の下に、『痙性をつくりだしている』のかもしれません。

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