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関節可動域制限のメカニズム【3種類の拘縮】

お疲れ様です。脳リハです。

脳梗塞後遺症により、麻痺側の使用頻度や、動かす範囲が限定される為、関節に制限をきたす事は多いです。

その中でも、「拘縮」と呼ばれるものがあります。

本日は、拘縮の原因について説明します。

関節可動域制限(ROM)とは?

公益社団法人日本理学療法士協会理学療法白書委員会がまとめている 1990〜2010年までの理学療法実態調査報告をみると…

関節可動域の障害は常に理学療法の対象障害の上位 3位内に上がっている。

つまり…

臨床の中で「関節可動域制限」は発生頻度が高く、そこ治療に時間と労力を費やしている事が伺えます。

関節可動域制限を作る中でも、「拘縮」に焦点を当てて、メカニズムを解き明かしていきます。

梗塞の責任病巣

拘縮は…

☑︎ 皮膚
☑︎ 骨格筋
☑︎ 関節包
☑︎ 靭帯

など、関節周囲の軟部組織が器質的に変化し、その柔軟性や伸張性が低下する事で、関節可動域制限が生じます。

先行研究では…

関節周囲軟部組織の中でも骨格筋と関節包が拘縮の責任病巣の可能性が高いとされています。

実際,ラットの実験では膝関節を屈曲位で不動化すると2 週後まで,足関節を底屈位で不動化すると4 週後まで,骨格筋が拘縮の責任病巣の中心であることがあきらかとなっており,それ以上の不動期間になると,関節包が拘縮の責任病巣の中心になるとされている。

拘縮の病態【3つ】

1.皮膚性拘縮 

皮膚組織は…

☑︎ 表皮
☑︎ 真皮
☑︎ 皮下組織

に分けることができます。

その中でも、真皮はコラーゲンが非常に密に対して、皮下組織は脂肪細胞が多く、その隙間にコラーゲンが存在しています。

これに対して、手足を動かさない状態(不動)を作ると、皮下組織の脂肪細胞が萎縮or消失することで、その隙間をコラーゲンで埋める働きが起きることで拘縮が出現します。

2.筋性拘縮

皮膚組織と類似しており、不動期間を作ると、筋周膜や筋内膜に肥厚を認め、これはコラーゲンの発生に起因するものと報告があります。

▶︎ 不動に伴う骨格筋の変化
この実験では,ラット足関節尖足拘縮モデルから採取したヒラメ筋を材料とし,組織学的・生化学的検索を行った.組織像の検鏡結果では,不動群にお いて筋周膜(矢頭)や筋内膜(矢印)に肥厚が認められた.また,生化学的検索によってヒラメ筋内のコラーゲン含有量を定量した結果,不動 1 週で対照群より有意に高値を示し,不動 4 週は不動 1 週より有意に高値を示した.

つまり、筋性拘縮の病態にも骨格筋の線維化の発生/進行が関与することが示唆されています。

3.関節性拘縮

関節包は…

☑︎ 外層にあたる線維膜
☑︎ 内層にあたる滑膜

が存在し、

→ 線維膜は「コラーゲンは非常に密で、その線維束は関節包の長軸方向にほぼ平行な配列をなしていることから伸張性は乏しい」部分。

→ 滑膜は「脂肪細胞が存在し、コラーゲンはその間隙に認められる程度で、関節包の中でも伸張性に富んでいる」部分。

この滑膜における脂肪細胞の萎縮or消失から、その間隙を埋めるようにコラーゲンの増生されることで、拘縮が出現します。

まとめ

拘縮は3つの病態が存在し、不動が原因で皮膚や筋、関節に制限を来します。

動かない手足をそのままにしておくと、神経が繋がっても動かない場合が多いのは、これらの理由も存在します。

どこに評価の視点を置けば良いのかを再度考えてみましょう。

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