アド街ック天国という名のインスタント天国

私は、テレビが好きだ。いろいろな番組を見る。

特に好きなのはバラエティ番組で、週に１０本ほどの番組を録画し、仕事が休みの日に一気見する。アマチュアで漫才をやっているくらいの男なので、ネタ番組は必ずチェックするし、トーク番組等も欠かさない。若手芸人の発掘ができるように深夜の番組も時間が合う限りは見るように心がけている。

そんな私の一番好きな番組は、

テレビ東京系列「出没！アド街ック天国」である。

私はこの番組をかれこれ１０年以上見ている。街のおすすめスポットをランキング形式で紹介する番組だ。

それ以上でもそれ以下でもない。それをして一時間が終わる。またこの番組はほとんど東京（ないしは官関東圏）の街を取り上げているので、地方都市ばかりに住んでいた私にとっては紹介されていた場所に行けるといったメリットもない。

はっきり言おう。なにも起こらない。

番組を見る前と見終えた後、感情の動きは全くない。これを私の友人の言葉では「時間の無駄」と形容される。

まあそういわれても仕方がない。

私も別に友人たちにこの番組を勧める気はない。勧めるほどの内容ではないからだ。しかし、私は毎週見ている。

なぜか。何も起きないからだ。

見ている間は何も考えずに見ていられる。仕事のことも考えないし、かといって熱心に見続けるわけでもない。ただ何もない一時間を過ごすことが出来るのだ。そんな時間、なかなか現代にはない。

その時間を提供してくれるアド街は、何もかもから解放される、いわばインスタント天国なのである。

こんなことを書きながら、今もアド街を見ている。

いやワシ原稿考えとるやないかい。