
娘のランドセルにのせた重すぎる想い
ラン活という言葉が誕生して、どのくらいになるのだろう。
そして4年前、その言葉に勝手に踊らされていた私がいた。
第1子が小学校入学を控えた4年前。
私は初めての「小学校入学」に舞い上がり、また、入学への情報収集でてんてこまいだった。
いわゆる「小1の壁」という言葉も耳にしていたし「なんとか!小学校入学を失敗せずに無事に果たしたい!」という気持ちがあった。
もちろんラン活も失敗したくなかった。
そもそも、出産してからは「○○活」の連続だった。
妊活(あ、出産前からか…)、産院選び、保活…。
産院選びと保育園入園で、ものすごい競争率と倍率を経験し、「この現世、早めに動き、情報収集せねば子育ては詰む」という感覚が身についていた。
いや、そもそも、学生時代から受験、就活と、なにかと「早めに情報収集して動いたものが勝つ」という教訓と習性が当たり前になっていたのかもしれない。
話をもどそう。第1子の、4年前のラン活だ。
そう、「ランドセルも、早くから動いて決めねばならない」と聞いていた私は少々頭でっかちになっていた。
情報収集すると「年中~年長の夏までに購入」「人気工房は年長になる前にカタログ配布が終了する」「6年間の保証」「6年間飽きないシンプルなデザイン…」とさまざまなラン活ポイントが流れてきた。
まじめな私は情報収集し、口コミ等を比べ、「シンプルで6年間飽きずに使えるようなランドセル」を第1子に選ばせることに成功した。
でも、心残りがあるのだ。
思えば、ラン活当初から、私自身が少し迷っていた。
年長さんになったばかりの第1子が当初、保育園で配布されたランドセルのカタログをみて「僕これがいい!」と言っていたのはライムグリーンのランドセルだった。
私はそれを聞いて少したじろいだ。
ライムグリーンは少し変わっているのではないか?
6年間、心変わりせずに使い続けられないのではないか?
「変わっている」と、小学校で周りの子にからかわれてしまうのではないか?
と、一瞬にしてさまざまな思いがめぐった。
同時にこんな気持ちもあった。
ランドセルは子供の持ち物になるのだから、子供が欲しいものを選ばせるべきだ。
親の自己満足で決めるべきではないんじゃないか。
とも、思っていた。
もちろん、いろんな家庭があるだろう。
親の気持ちを重視する家も、おじいちゃんおばあちゃんの気持ちを重視する家もあるだろう。
みんなの気持ちを折衷しながら決める家もあるだろう。
私は、心の底では「子供の気持ち」を一番に考えたかった。
しかしどうしても「ライムグリーンは浮いてしまうんじゃないか」という気持ちが消せなかった。
そうして私がとった方法はというと「ランドセルの購入を先延ばしにする」という方法だった。
第1子がライムグリーンのランドセルを欲しがったのは、手始めにヒアリングしてみた年長の5月ごろ。
私は第1子の要望に対し「そっか~、夏休みになったら買いにいこっか~」と、流したのだった。
そして数ヶ月の間に、同級生のお友達はどんどんランドセルを決めていった。
そろそろランドセルを買ったほうがいいな…、と思い始めた7月中旬、もう一度第1子に聞いてみた。
「ランドセルそろそろ買いに行くけど、色は決まってる?」と。
彼は「黒!」と言った。
ライムグリーンではなくなっていた。
私は、第1子が緑色が好きなのを知っていた。
「黒がいいの?糸の色も選べるよ。何色がいい?」
「黒!糸も、ぜーんぶ、黒!」と言った。
この時私は、ほっとしたのをよく覚えている。
ああ、無難な色にしてくれた。
よかった、なんかほっとした。
そして無事に黒いランドセルを購入し、3年生になった今も、特に文句も行くことなくランドセルを使っている。
でも私は、今になって思うのだ。
「第一子は、本当は緑やライムグリーンがよかったんじゃないかな?」と。
保育園のお友達はみんなシンプルな黒を選ぶだろうな、第一子も、それにつられて黒にするだろうな、という打算はあった。
そして案の定、シンプルな黒を、彼は選んだ。
しかし、何か持ち物を買うとき第1子にきくと、必ず緑を選ぶんだよ、3年生になった今でも。
なわとびも、ピアニカも、給食袋もみ~んな緑。
即決で。
もしかしたら、同級生である他のお友達も、赤とかシルバーとか、思い思いに好きな色と、ワクワクするランドセルが、あったんじゃないかな。
でも、大人に「6年間使うんだから」「シンプルなデザインがいいよ」「男の子だったら黒がかっこいいよ」と言われながら、黒のランドセルを選ぶように差し向けられてた可能性も、あるんじゃないかな。
他の家庭はそのお家ならではの決め方があると思うので、その誘導は否定しない。
でも私は、うちの子には。
本当は「第1子のファーストインプレッションを大事にしてあげたかったな」という気持ちが、胸に残ってしまった。
「ライムグリーン、いいじゃん、そのセンスが好きだよ!」って、手放しで言ってあげたかった。
第1子がどういう気持ちだったのか、今どう思っているのかは、わからない。
私自身がそういう親でありたかったのだ。
それなのに、そう言えなかったことが心残り。
要は私だって親としての自己満足なんだが。
そうして、もう4年もたつ。
第2子がランドセルを買う時期になった。
2人目はほんと、親が1回経験してる分、その経験を活かした子育てになるもんなんだね(多分。活きてるよね?)
第2子の時には「これ!」と言ったものを即購入するように心に決めていた。
どんなに私のセンスと違うデザインを選んでも、奇抜なものを選んでも、6年生になった時に嫌がる可能性があるような個性的なものでも。
どんとこい!なんでも買ってやる!という気持ちで、ラン活を、これから迎える。
そう。だって、若干5~6歳の子供に、「6年生の時まで飽きずに背負えるランドセル」なんてそもそも選べるわけがないのだ。
まだせいぜい6年しか生きてないのに、その後の6年を想像できるわけがない。
私だって、6年後自分がどんなカバンを持ってるか想像できないし。
もちろん、未来へのアドバイスを、経験豊富な大人が与えるも良しと思う。
でも私は「今、一番背負いたいランドセル」を選んでほしいなと吹っ切れることができた。
3年生になって、4年生になって「子供っぽいからイヤ」というかもしれない。
それはそれでいいのだ。
その時に財政的に余裕があれば買い替えてやるし、余裕がなければリュックサック登校できるか担任に交渉してみるよ。
そこまで、思うようになった。
ランドセル選びに、2000文字も費やすとは思わなかった。
そんな私の重すぎるラン活への思いを、第2子は知らずに背負い、のんきにランドセルカタログを見ている。
もう第一印象で決めたようだ。
超ラブリーな、ハートがたくさんのピンクのランドセル。
それを横でみた第1子が「わ、それにするの?めっちゃいいじゃん!」と手放しで第2子に対し笑顔をむけていた。
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