ラーメン・中華の業績推移(4月度月次まで)

上場外食企業のうち、ラーメン・中華4社(王将FS、幸楽苑、日高屋、力の源=一風堂)の業績を対比させてみた。
※「ラーメン・中華」という括りでは、他にもイートアンド(大阪王将)、ハチバン、JBイレブン、丸千代山岡家、ワイエスフード(筑豊ラーメン山小屋)などがあるが、時価総額で大きい順に4社を掲載(力の源よりイートアンドの方が時価総額は若干大きいが、物販売上が約半分あることから、その次の力の源を選定)
※牛丼・ファストフードについては、別のnoteに投稿済

既存店売上高

やはり各社とも3月、4月とつるべ落としの下落となっている。この中では、王将FS(餃子の王将)が78.1%に対して、他は50%内外(既存店昨対半減)と、顕著な差がついている。
※100.0(%)の軸が上下の真ん中ではない点に注意!(40.0~120.0で作表)

既存店客数

王将FSは客数減を3割に抑え込んでいるのに対して、残る3社は軒並み半減となっている。
※100.0(%)の軸が上下の真ん中ではない点に注意!(40.0~120.0で作表)

既存店客単価

この4月のばらつきから読み取れるのは、
・王将は昨年(2019)8月1日より出前館のデリバリーサービス(同社月次IR:pdf)に取り組み始めて、着々と対応店舗数を伸ばしてきていた ⇒ 昨年9月以降の客単価が100%超えをコンスタントに記録しているのは、その結果と思われる
・幸楽苑(104.3)は餃子を、日高屋(102.5)は中華惣菜を、それぞれテイクアウトで売る&デリバリー対応は従来より取り組んできていた(出前館など)が、推移を見る限りは「ついでに」対応しているレベルだったのではないか?
・結果として、王将FSはデリバリー(テイクアウトも)の売上構成比を伸ばし、既存店客単価昨対は111.0%と大きく伸ばして、約3割の客数減を補い、売上を78.1%(2割超減)にとどめることが出来た
・力の源(96.7)は、結果としてはほぼノーガードの着地となってしまっている

教訓

チェーン系外食企業で、デリバリーを新たに取り組むのは、店内のオペレーションが崩れる為に、店舗では消極的な取り組みになるケースが多い

実は各社とも出前館やUberEatsとの取り組みや、テイクアウト強化策は、昨年から打ってきている

力の源はともかく、残る3社は、社としてこれら施策に取り組んできたが、それを徹底して現場に落とし込めたのは、数字を見る限りは王将FSのみ

今回、コロナというフォース・マジュール(不可抗力)によって、各社とも強制的にデリバリーやテイクアウトに向き合わざるを得なくなった

是非の議論はあるが、現場での施策の徹底力(決めたことをやり抜く現場のちから)の差が、こういう危機的状況の際に、大きく差が出る

結果として、こういう施策への先行投資を、王将FSは回収のメドを付け、他社はこれから、という差を生んだ

外食の現場は、往々にしてブラック職場と言われ、王将FSもそういう批判を多く受けてきたが、そういう要素がこういう危機の際に強みを発揮し、(他社よりは)雇用を守れたという事実は、揺るがない

これからは、ブラック職場批判と、雇用の維持、この2つに対処しながら、市場で生き残りを図っていく必要がある




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