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雑文:「業態」って、何よ?(外食の、ね)

外食業界で、よく「●●業態」とか、いいますよね?「中華業態」とか、そんな感じで。

で、その「業態」って、何よ?というお話を、小ネタとして取り上げてみます。

屁理屈を少しこねると・・・英語で言えば「type of operation」とでもいいましょうかね。

本来、「業態」という言葉は「稼ぎ方(何を、どのように売るか?)」のお話なので、同じ商品を「客席で売る」のと、「テイクアウトで売る」のでは「業態」が違うのです。また、同じ客席でも「立ち食い」と「テーブル」でも、「業態」は違います

何故か?

そりゃ、「客席で売るのが主体」の店と、「テイクアウトで売るのが主体」の店では売り方が違うので、客席数に対する厨房設備の容量が違いますし、後者であれば、従業員の雇用人数や、教育内容も変わります。

あと、顧客への広告宣伝のやり方も違いますし、結果として、収益構造も変わります。つまり「お金のかけるところ」が違う、言い換えると収益構造が違うのです。

なので、極論すると、売っている料理が全く違っても、客単価や購買頻度と販売形態が同じであれば、同じ業態と言ってもいい位です(実際は、多くの人には分かりにくいので、そうは括らないことがありますが)。

例えば、「吉野家(牛丼)」「てんや(天ぷら・天丼)」は、売っているもの(核商品/主力商品)は違うが、同じ業態と言ってもいい。提供形態や客単価がほぼ同じだからです。なので、収益構造を比較することで見えてくることが、あるわけです。

逆に、イタリアンでも「グラッチェガーデンズ(すかいらーく)」と「ラ・パウザ(コロワイド)」は同じ業態と言ってもいいが、「サイゼリヤ」は違う。客単価が倍くらい違うからです。

なんでか?をまとめると、
客単価が違うということは、来店頻度が違う。
・来店頻度が違えば、提供すべきサービスの中身が変わる。
・それによってオペレーションも変わる。
・配置する要員数も変わるし、その教育内容も変わる。
・故に、収益構造も、変わる。
からです。

ポストコロナで、多くのお店が取り組まれている「テイクアウトや定食を売る」というのは「業態転換」となり、マーケティングから商品の設計、従業員教育からオペレーションまで、全てやり直さないといけない(最適化させる)話なのですが、どうもそこまで理解して取り組めていないところが多く(これ、致し方無いんですが)、衛生管理面や収支計画、オペレーションでほころびが出ることになります。

こういうコツのようなところを外すと、特に今回のコロナ対応のような時には、思ってもみない結末が唐突にやってくることになるので、熟考が必要です。

外食市場自体の”ありよう”が、これから大きく変わっていくのは間違いありません。過去の事例は、あまり役に立たなくなります。

とはいえ、胃袋はそこにあり続けています。「食」が消え去ることは無いのです。

ただ、それを「誰が」、「どのように」お届けするのか?という、いわゆる「プレイヤー」と「ゲームのルール」が変わるのです。

そう、今まで当たり前に「食器の下げ方」を覚えて来たのが、そういうのは必要なくて、単にドライバーに揺れても漏れないようにパック詰めした商品を間違いなく渡すことの方が大切になったとしても、それが変化なのだ、と覚悟すべきなのでしょう・・・。

こういう時期だからこそ、この「業態」という言葉が含蓄(がんちく)深いものに感じられます。

そう、お客様がいる限りは、やれることがあるはずです。

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