池上彰の目つき

 結婚観が変わった。
 美人がいいだの、年に数冊は本を読む人がいいだの、とやかく考えていたのは20代。
 最近は、この人が母としている家庭がちゃんと暖かいのかや、人の価値観を安易に否定するような人でないかとか、そんなことの方が大切なんじゃないかと思うようになってきた。
 つまりはまあ、相手の突出した部分を探すことにあまり価値がないなと思い始めた。
 趣味とか、その人のトピック的なものでなく、相手のベースにあるものの方を最重要と思うようになった。
 考え方のベースにあるものに僕と相容れない部分がないかや、逆に僕のベースにあるものを拒否しないかの方が大切だなと思い始めている。

 そういえば、10年ほど前から本屋に入るたびに池上彰の写真の目つきが気になり始めている。
 思えば、NHKで週刊こどもニュースが放映されていたのは何年前のことだろう。あのころの池上彰は、ニュースをこどもたちにわかることばでやさしく教えてくれるおじさんだった。
 その頃の池上彰のイメージが強いからなのか、本屋にある、腕組で険しい顔をしている池上彰を見ると、この人の本性がどっちだったのかわからなくなる。ましてや、最近出版している本のタイトルが「大人でわからないのは恥ずかしい○○」だとか「知らないではすまされない○○」だの、ちょっと脅迫じみたタイトルであるものだから余計にそう思う。選挙特番で見る池上彰には、語ることに有無を言わせないようなところを感じる。
 本屋で見る池上彰の顔はとても威圧的で、ちょっと苦手なのである。


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