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P01−3 能登のキリコ祭りを「知って・わかって・支援する」

今回は「祭りの力で人と町を元気に」をテーマに、能登の魂とも言われるキリコ祭りの様子を、ゲストに、一般社団法人マツリズム代表・大原 学さんと、映像を提供してくださった、日本の祭り探検プロジェクト「まつりと」プランナー・阿部 芳久を招いて、貴重な 2 つのキリコ祭りの映像の上映と座談会を行いました。

今回の能登のわプロジェクトは、UR都市機構さんから2月にできたばかりのまちのリビング「ノウドひきふね」を会場としてご提供いただき、スタッフも含めて46名ものみなさんにお集まりいただき、開催することができました。


能登の魂とも言われるキリコ祭り。夏の約 3 ヶ月間、七尾市、 輪島市、珠洲市、志賀町、穴水町、能登町の 3 市 3 町をまたいで、 計 200 もの地区で行われるお祭りです。自然との関わりが深く、能登のアイデンティティが詰まった熱狂的なキリコ祭りは、文化庁の日本遺産に指定されるほどの日本有数の祭りです。

キリコ祭りの「キリコ」とは、切子灯籠のことで、7〜8メートルの高さの直方体の灯籠を掲げた山車(だし)の一種です。アンバランスの神輿は担ぎ方も独特で、座布団を挟んで神輿に体重を預けるように担いでいました。

海に投げ込まれる山車

印象的だったのは、能登町宇出津地区の八坂神社で行われる「あばれ祭」の映像で2ヶ月かけてつくられた神輿が、海や川、火の中に投げ込まれたり、地面に叩きつけられたりしていたことです。神社前の広場では、3時間以上も神輿が激しく打ちつけられた後に、神社に奉納されます。ここまで派手に乱暴に破壊するものなのかと衝撃を受けました。

こうもあばれる理由には、江戸時代に疫病が流行した際に、京都祇園の八坂神社の祭神・牛頭天王(ごずてんのう)を招請して盛大な祭礼を始めたところ、神霊と化した青蜂が悪疫病者を救ったことにあばれ祭りの起源があるとのことでした。牛頭天王は神道におけるスサノオ神と同体で、その神は、民が暴れれば暴れるほど喜ばれるからだそうです。

キリコ祭りへの、地元の方の思いも強く、祭の時期には何においても祭りに参加するそうです。そんな能登のアイデンティティ「キリコ祭り」は、震災の影響で開催が危ぶまれています。

しかしそんな中、「あばれ祭」など開催を宣言する地域も出てきています。地域のインフラ・衣食住を復旧することは、もちろんのことですが、このような歴史あるアイデンティティの詰まったお祭りを遺していくために、能登のわプロジェクトは、マツリズムを通して、宇出津祭礼委員会に今回の支援金の一部を寄付します。

また、能登のわプロジェクトメンバーの、本多・田代・浦の3名が、4月能登へ直接赴き、視察とボランティアを実施した様子も、写真とともに参加者に共有されました。復興自体は、4ヶ月たった中、ほとんど進んでいない印象だったそうです。測量を本業とする浦は、能登という土地的に、復興の難しさがあり、今までの震災にないようなことが起こっているとのことでした。しかしながら、ボランティアの受け入れ体制や、里山まるごとホテルの代表山本亮さんを中心とした「復耕(ふっこう)ラボ」が立ち上がったりと、より一層の実支援やボランティア受け入れができ得るような状況が、整ってきたようです。

撮影してきた現状を解説する

会場では、その際に仕入れることができた能登町数馬酒造の「竹葉」や、七尾市産の「赤なまこ石鹸」や、輪島市谷川醸造さんの醤油なども販売しました。

すべすべになる赤ナマコ石鹸

合わせて、あばれ祭運営改善協議会へ2,000円以上の寄付をいただいた方への返礼として「あばれ祭カレンダー」もお配りさせていただきました。

あばれ祭のスケジュールがわかる非売品カレンダー

座談会では、能登にゆかりのある方からキリコ祭りや現地の状況についてシェアがあったり、数日前に能登でフリーヘアカットを行った墨田の美容師の方から「行って現地をみることだけでも、話を聞くだけで喜んでもらえる」と体験を語ってくださったりしました。

参加者の中には、あばれ祭の主要な神社である「酒垂神社」の宮司の長女の加藤さんもいらっしゃり、クラウドファンディングのご紹介もいただきました。
https://camp-fire.jp/projects/view/743654

今回のイベントを通して、今回集まった支援金は、148,400円となりました。
まずは、参加費からあばれ祭を全体運営する「宇出津祭礼委員会」に3万5千円を。カレンダーへの寄付から「あばれ祭運営改善協議会」に1万5千円を、マツリズム大原学さんを通して寄付させていただきます。
残りの支援金は、実施経費を差し引いた後に、今後の顔が見える支援に活用させていただきます。経過は能登のわプロジェクトのウェブサイトやSNSで随時お知らせさせていただきます。

後日、大原学さんを通して支援金を渡していただきました。

※能登のわプロジェクトでは復興までの長期的な支援の視点から、PROJECT単位で支援の形をフェーズ分けしています。今回のPROJECT01「知って・わかって・支援する」は、能登と能登の現状を知り、理解を得た上で、支援をしてもらうことを目的としています。

ゲスト:
一般社団法人マツリズム 代表
大原 学

1983年神奈川県南足柄市生まれ。早稲田大学在学中に祭りに出会い、人生を懸けて取り組むことを決意する。卒業後は日本GE株式会社、NPO法人クロスフィールズに勤務し、2016年にマツリ ズムを法人化。首都圏の若者向けの祭り参加型企画を展開し、これまで全国16地域で500名以上が参画した。近年は、祭の持続可能性をテーマに地方での講演・ワークショップなど活動の幅を広げ、自治体や省庁・財団とも協働事業を行う。NHK等のメディアでも多数取り上げられている。

日本の祭り探検プロジェクト「まつりと」プランナー
阿部 芳久
1970 年の大阪万博において民族的なものへの興味が芽生える。仕事としては新しいテクノロジーから生まれる文化を社会につなげる仕組み作りに取り組んできたが、2020 年からは地域の課題解決へ軸足を移す。2022 年春に日本の祭り探検プロジェクト「まつりと」を立ち上げ現在に至る。現時点で作成した祭りの映像は146本になりYouTube の再生回数は390 万を超えている。

主催:能登のわプロジェクト
共催:一般社団法人マツリズム
映像提供:日本の祭り探検プロジェクト「まつりと」
ケータリング提供:オーロラキッチン
協力:あばれ祭り運営改善協議会、ノウドひきふね

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