超短編小説 023
『自由と不自由とは』
一匹のカラスが言った「オレはなんて不自由なんだろうか」
もう一匹のカラスが問うた「何がそんなに不自由なんだい?」
「やりたいことが何にもできない。」
「例えば?」
「もっと、夜遅くまで遊びたいし、朝も遅くまで寝ていたいよ。水浴びを一日中したいし、毎日肉を食べたい、彼女ともっと遊ぶ時間が欲しい。」
「そっか、何でそれができないんだい?」
「ほかにやらなければならない事や、親にダメだって言われるからさ。」
「じゃあ、やりたくないことは何なんだい?」
「朝の早起き、なわばりへのあいさつ、人間のゴミあさり、ねぐらの掃除、整理整頓、親や親戚との会合、門限に帰ること、一日の報告、なわばり以外出てはいけないこと、バランスのいい食事、もうあげだしたらキリがない」
「やりたくないこと、ずいぶんあるね。」
「ああ、もう嫌になるよ」
「でもさ、キミの”やりたいこと”を出来ないということが不自由だっていうけれど、”やりたいこと”も”やらなければならないこと”もキミが”やれること”だとしたら。どうだい?」
「”やれること”?」
「5つの”やりたいこと”と10の”やらなければならないこと”合わせて、15の”やれること”がキミにはあるんだよ」
「そうだけれど、それが何なんだい?」
「15の”やれること”の中から、キミは選ぶことができる自由があるんだってことさ。つまりキミは自分自身で選択肢を狭めて不自由になってるんだ。」
「そっか!オレは自由なんだね。よし決めた!もうキミとは話しないよ。じゃあね。バイバイ」
残されたカラスは、飛び立ったカラスの方を見つめて「カ~」と寂しげに鳴いた。
《最後まで読んで下さり有難うございます。》
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