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Bessemer Venture PartnersとSalesforce Venturesが選ぶクラウド企業ランキングTOP15

2021年8月、著名ベンチャーキャピタルBessemer Venture PartnersとSalesforce Venturesが共同で作成したクラウド企業ランキング「The Cloud 100」が発表されました。The Cloud 100ではシードラウンドのまだ小規模なスタートアップからユニコーン企業まで幅広い企業が対象となり、34人のCEO審査員とクラウド企業の役員によって成長率、売上、評価額、企業文化などを基に算出した評価スコアで選出されます。

今回はトップ15社を取り上げて紹介します。恥ずかしながら15社中3社は私自身よく知らない企業でした。日本語で簡単に解説していますのでトレンド把握のため参考にしてみて下さい。

1 Stripe(フィンテック)


Stripeはインターネット向け決済インフラ機能をAPIで提供します。自社のECサイトに決済機能を追加したい場合、Stripeを使えば簡単に実装することができ、決済金額の2.9%+$0.3をStripe側へ支払うという仕組みになっています。評価額は$950M(約10.4兆円)で、未上場スタートアップとしてはTikTokを運営する中国のBytedanceに次いで第2位です。


2 Databricks(データプラットフォーム)


Databricksはデータウェアハウスとデータレイクの両方の利点を持つレイクハウスプラットフォームを提供します。これまで大量のデータを利用するためにはデータ整理、機械学習、可視化など、機能ごとに特化した製品を使わなければならずサイロ化していましたが、Databricksは1つのプラットフォームでそれらの機能を統合して提供しています。


3 Canva(デザインソフトウェア)


Canvaはクラウドで提供されるグラフィックデザインツールです。目的別に豊富なテンプレートが用意されているため、パワーポイントなどの資料作成が苦手だった人でも資料を簡単に作れます。無料で使えるプランもあり、作った資料をパワーポイントやPDFでダウンロードすることもできるため気軽に試すことができます。


4 HashiCorp(クラウドインフラ)


HashiCorpはマルチクラウド環境でのインフラ構築・管理を自動化するソフトウェア企業です。インフラのプロビジョニングを提供するTerraform、クラウド向けセキュリティ機能を提供するVault、オーケストレーション機能を提供するConsul、アプリイメージを実行するNomadの4つの製品を提供します。2018年には日本法人も立ち上げました。


5 Toast(レストラン管理)


レストラン管理プラットフォームを提供するToastはリアル店舗で利用するPOSやセルフオーダーシステム、オンラインオーダー、売上管理から分析など、レストランを運営していくための機能をワンストップで提供します。テクノロジーの活用が遅れているレストランでもToastを活用することでより効率的な運営が実現できるかもしれません。

6 Plaid(フィンテック)


Plaidは銀行と接続するためのAPIを提供するフィンテック企業です。例えば何かのサービスを銀行口座と接続したい場合、PlaidのAPIを活用することですぐに接続が可能です。2021年にVISAがPlaidの買収を試みましたが、独禁法に違反するとして実現しませんでした。

関連記事:今さら聞けないAPI!企業が活用すべき理由とは?


7 Figma(デザインソフトウェア)


FigmaはUIデザインやワイヤーフレームをブラウザ上で簡単に作れるWebデザインツールを提供します。多人数で編集ができるほか、作ったデザインをBubbleなどのノーコードプラットフォームにインポートすることも可能です。無料プランも用意されています。

関連記事:機械学習モデルの作成もコーディング不要!次世代のノーコードスタートアップ3社


8 ServiceTitan(住宅修理)


ServiceTitanは水道や電気などの住宅修理を提供する企業です。米国では住宅修理を事業とする企業が数多くある一方、その多くはシステム化されていません。その結果顧客とのやり取りや修理を行う従業員をうまく管理できず、時間通りに業者が来ないなどといったサービス低下に繋がっていました。ServiceTitanではそれらをシステム化することで高品質なサービスを提供することを実現し、現在急成長しています。2021年6月にSeauoia CapitalやBessemer Ventureなどから$200Mの調達に成功しました。


9 Checkout.com(フィンテック)


英国で創業したCheckout.comは決済機能をAPIで提供する企業です。本ランキング1位のStripeとは競合の位置付けになりますが、Stripeのターゲットが大企業から個人まで幅広いのに対し、Checkout.comは大手企業に特化している点が異なります。2021年1月にTiger Global Managementリードの下$450Mを調達したCheckout.comはEMEAだけでなく米国にも進出しています。


10 Freshworks(CRM)


FreshworksはCRM(顧客関係管理)、ヘルプデスク、ITマネジメント、クラウド型PBX、メッセージングの5つの製品を提供しています。2010年にインドで設立後、2014年にカリフォルニア州へ本社を移転しました。日本ではOrangeOneと代理店契約を締結して市場開拓を進めています。


11 GitLab(ソースコード管理)


GitLabはGit(プログラムのソースコードなどの変更履歴を管理するシステム)のホスティングサービスを提供します。コードレビュー、バグ管理、検証機能など開発者向けに様々な機能を備えています。


12 Attentive(SNSマーケティング)


Attentiveが提供するのはSNSメッセージを利用したマーケティングツールです。Eメールを活用したマーケティングツールが多数存在する中、AIを活用してユーザー毎にパーソナライズされたテキストメッセージを送ることで開封率、コンバージョン率の向上を実現します。主に小売業などの新製品のお知らせやキャンペーン案内などに使われています。


13 Zapier(ワークフローオートメーション)


ZapierはGmailやSlackなどのクラウドサービス同士をノーコードで連携させる自動化ツールです。例えば、Google CalendarやTwitterの更新をSlackで通知するなどの連携をコーティングなしで実現することができます。2021年3月にノーコードに特化したオンラインスクールのMakerpadを買収しました。


14 Mailchimp(Eメールマーケティング)


Mailchimpはメルマガ作成から配信、分析、WordPressやGoogle Analystなど他ツールとの連携機能などを備えたEメールマーケティングプラットフォームを提供します。A/Bテストやアンケート機能などの機能を初心者でも簡単に使える構造が特徴です。


15 Klaviyo(Eコマース向けEメールマーケティング)


KlaviyoはEコマース向けにEメールマーケティングのプラットフォームを提供します。パーソナライズされたクーポンメールを自動配信したり、在庫切れの商品を見たユーザーに対して商品入荷の連絡メールを自動で配信したりすることで、Eコマースの売上アップに貢献することを目指しています。


注目ポイント


この15社のうち最も興味深かったのは住宅修理のServiceTitanです。私の住んでいるアパート含め、ベイエリアの住宅は古い物件がとても多く、何かしらの修理を依頼する機会が定期的にあります。しかしウェブから依頼しても反応が遅かったり、電話で依頼したあとのステータスが可視化されておらずどのような状態がよく分からなかったり、更に約束の時間に作業員が来なかったりと修理依頼にはとてもストレスがかかっていました。Servuce Titanだけでなく、こうした昔ながらの業界における顧客体験を改善するテクノロジーは今後も注目していきたいと思います。

お読みいただきありがとうございました!

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