高次脳機能障害者の家族
今外来で、基本的に高次脳機能障害者の就労支援や運転支援を行っています。
その中で、家族とも関らせていただくことが多いのですが、リハビリをしている中で感じることがあります。
◯ 病前とのギャップ
高次脳機能障害になると、注意が散漫になったり記憶力が低下したり、計画性がなくなったります。
また人によっては感情のコントロールが困難になり、家族にきつく当たってしまう人もいます。
そんな中でも家族は、本人と向き合いなんとか元の生活を取り戻そうとします。
「本人と向き合う」一見当たり前のように聞こえますが、障害を負った後一番ダメージを受けるのは、「性格変化」だと思います。
・前は優しい夫だったのに
・自分に対して、お前なんていう人ではなかったのに
・計画的に物事を進められるところが尊敬していたのに
・周りの人たちとの関わり方がとても丁寧だったのに
これだけではありませんが、以前の姿がなくなってしまったかのような状態になります。
しかし、見た目は昔のまま。このギャップがすごく苦しいのだとリハビリをさせていただく中で感じます。
◯ 不安は尽きない
また、性格変化だけでなく、収入の面も大きな不安要素となります。
基本的には、傷病手当と障害年金がありますが、十分ではありません。
若くして、脳卒中になると子供の学費であったり、家のローンなど大きく負担が乗り掛かってきます。
特に自営の方達は本当の大変そうで、夫の発病をきっかけに妻が仕事を始めるケースもよくあります。
◯ 家族関係
本人の態度が変わってしまったり生活が不安定になることで、家族の関係性にも変化が出ることもあります。
夫婦もそうですが、子供が父親のギャップに耐えられず関わりを持たなくなってしまうこともあります。
外来リハビリ中に相談等も受けますが、リハビリの関わりとしては非常に難しく、対応に苦慮しています。
◯ それでも前を向く
本日記載した以外にも、家族の不安はたくさんあると思います。
しかし、皆さんに共通しているのは、様々な不安や不満がありながらも一生懸命前を向いていこうとする姿勢が見えることです。
この仕事をしていても、自分もの身に置き換えるとなかなかできることではないなと常々思います。
それでも毎回、一緒にリハビリに来て、お伝えしたことは全てメモを取り(本当は本人に取ってもらいたいですが・・・。)なんとかして本人によくなってもらいたいと思っている姿は家族の強さを感じます。
◯ 作業療法士として
医療機関での作業療法士ができることは本当に限られています。
しかし、そのできることの中で最大限に支援をしていく必要があります。
「家族に対して医療機関のOTが何ができるのか」
これは今の、そしてこれからの私のテーマでもあります。
一人でも多くの方が前を向いて進めるように引き続き努力していきたいと思います。
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