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あきるの市田んぼ部の田植えイベントに参加して気づいたこと

雑草を抜いたばかりなのにこの9年で初めて見た謎の追い生えを果たした雑草たちと出くわして、主催者は驚くばかりであった。

田植えイベントなので参加者は田植えに来ている。
しかしこの日は抜いたはずの雑草がまた生えている現象のおかげで、雑草取りからスタートした。

私としては初めての田んぼだったこともあり、雑草取りが体験できたのはむしろありがたかった。その後の田植えも充実していた。

持っていたイメージとかなり違っていて、この田植え体験が今後の自分に大きな影響を与えそうなことはなんとなくわかった。


見えているもの

田んぼの中には多くの虫がいた。
アメンボとオタマジャクシが特に目立った。
その他にもダニのような、ノミのようなものがたくさん泳いでいて、田んぼがどれだけ居心地のいい場所かわかった。

「田んぼにはよく見るとこんなにも多くの生き物がいるんですね」

隣で田植えをしていた何度も来ている常連さんに聞くと、「アメンボとオタマジャクシばっかりだけどね」と言った。

そんなはずはない、様々な生き物がいる。
どうやらこの方には見えていないらしい。

後日、神道や古武術に詳しい友人に話してみたところ、「それはゾーンに入って視野が変わったからだ」ということだった。
確かに暑さやしんどさよりも、田んぼという世界の神秘さに魅了され、取りつかれたように夢中になって雑草取りと田植えをしていた。

ある意味、田んぼの素晴らしさはそこにあるかもしれないと思った。
夢中になれることはたくさんあるが、ゾーンに入ることはバスケットをやっている時しか自覚がなかった。


苦労した後の労い

主催者の用意した豚汁がとてつもなくおいしかった。
本当に味がおいしいのはもちろんだが、どうやら身体を酷使した後に得るご褒美としてのそれが、私の身体を喜ばせたらしい。

家族で来ている人も多く、テントで賑やかに話す子どもたちの主役として豚汁が輝いていた。こういうときのおにぎりも、運動会ですっかり知られているように、主役に躍り出る。

田んぼは疲れる。
疲れるが、この上ないものをくれる。
一時の作業でこれなのだ。
収穫まで一巡した際には、より多くの感動が待っていることが想像できる。


田んぼからもらっているもの

ただの稲でしかなかったものがいつも見ている米となる。
育てたものを食す。
そんな当たり前のことを「わざわざ」やることで、活力を得ることに繋がる。

田んぼは稲を育てるだけでなく、私たち生き物にとって大きな役割を果たしている。

田んぼはイネを育てるだけでなく、
人や環境、様々な生き物に対してとても役に立つ働きをしています。

まず、洪水(こうずい)や土砂崩れ(どしゃくずれ)を防ぐ役割があります。
大雨のときに雨水を田んぼに一時的にため、
その後ゆっくりと川に流すこと(田んぼダムの取組として注目されています)で、
洪水を防ぎ、雨や風が直接「土」に当たらないことで、土砂崩れを防ぎます。

また、私たちの生活に欠かせない水をきれいにする役割があります。
田んぼにためられた水の一部が、田んぼの地下へしみ出るときに、
飲み水に不向きな成分が取り除かれます。

さらに、田んぼの水面やイネから水分を発散することで空気を冷やしたり、
メダカやカエル、ザリガニなどの様々な生き物のすみかにもなったりしています。

農林水産省HPより


ただ通り過ぎるだけだった田んぼが、いざ触れてみると途端に身近になり、なんなら愛らしくなる。

いつも当たり前に側にいる親になかなか感謝できないように、田んぼへの感謝も足りなかったように思う。守ってくれていてありがとう。

数年に一度、当たり前のように田んぼが開拓され商業施設ができる。
商業施設ができると人が集まるし、雇用も生まれる。何もない場所であればわざわざ離れた場所に行かずとも買い物ができるようになる。

ただ、田んぼに住んでいた生き物や、その場所に田んぼがあったおかげで澄んでいた水、行き帰りの景色、遊んでいた子どもたちはどこに行くのだろうか。

田んぼから何をもらっているのかを考える機会となった。
次はまた雑草取りをすることになると思う。
再び田んぼと戯れ、会話をしてみたい。


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