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【詳細版】バイバイレイニー歌詞考察~1番Bメロ~



はじめに


こんばんは,えんでぃーです。
Aメロの記事公開から1か月半も経ってしまいました。
申し訳ありません。
時間が空いてしまったので,
前回分もぜひチェックしてみてください。

まずは,バイバイレイニーのMVをどうぞ

バイバイレイニーはこの雰囲気が好き
2ndアルバムSpecterでいうと,「褪せたハナミドリ」とか同じ雰囲気を感じて好きです。

あと,このシリーズの名前は【詳細版】としました。
1年前のツイートの内容から考え直した部分が多いので「再構成」ってのもしっくりこないと思いまして「詳細版」にしました。
いちおう,比較も出来るよう昔のツイートも貼っておきます。


では,本題に入ります。
今回はちょっと長くて難しいので覚悟してください。

※サムネは上記MVのスクショを加工して使用させていただきました。

Bメロの背景,状況


まずは,Bメロの前提条件や状況を確認します。
・主人公と君の関係は口論で終わった。
・Aメロでは,主人公は吹っ切れられない感情をどうにかしたくて,何も考えなくて済むよう遊びに出かけている
ということで,Bメロ開始時点で主人公は外に出かけています。

更にBメロの歌詞を読むと詳しい状況が分かります。
Bメロ出だし「どうでもいい朝」より,時間帯は朝
Bメロ最後の「街往く余所者」より,舞台は「街」
「傘は持ってない」という発言が出るという事は
雨が降っているor今にも雨が降り出しそう
という状況だと分かります。

続いて歌詞を細かく見ていきます。

「どうでもいい朝に慣れ過ぎて傘は持ってない」


複雑かつ意味がパッと分からないので,
分かりやすい「傘は持ってない」を軸に考えていきます。

なぜ「傘は持ってない」のか
直前の「慣れ過ぎて」の「て」に注目します。
この「て」は原因理由を表す”て形接続”と呼ばれます。
例:頭が痛く「て」,目が覚めた
のように後ろの文とその理由を表す前の文を接続して1つの文にする役割があります。

※(難しいので気になる人だけ)て形接続の原因理由を意志動詞に使うのは誤用であり,継起が正しいという説があるようなので,詳しく書きます。「慣れ過ぎる」は個人的に無意志動詞(主語がコントロールできない動詞)だと考えます。慣れ過ぎてしまうという状態は一種の依存状態であり,実際主人公はそのせいで傘を忘れています。自分の意志では制御できない無意志動詞であり,今回の「て」は原因理由の用法だと考えます。

このことから
「傘は持ってない」の理由は
文法的には,直前の「て」で接続される
「どうでもいい朝に慣れ過ぎて」となります。

文法的にはそうなのですが,意味としては理解できません。
「どうでもいい朝に慣れ過ぎる」とはどういうことなのか詳しく見ていきます。
「どうでもいい朝」に慣れているという状況を詳しく考えると
・今までは「どうでもいい朝」が多かった
・今日は「どうでもいい朝」ではない
と考えられます。
今までと今日とで違う所は「君」がいるかどうか
「君」がいると傘が無くても問題なかった
「どうでもいい」とは,雨が降っていようと,
「君」がいれば貸してくれる(入れてくれる)から
傘を持っているかどうかは「どうでもいい」よかった

と解釈できます。

つまり,「どうでもいい朝に慣れ過ぎて傘は持ってない」は
傘を持っているかなんて「どうでもいい」朝に慣れ過ぎたので,「傘は持ってない」
と考えられます。

また,「慣れて」ではなく「慣れ過ぎて」としていることから,
主人公は君に頼り切っていた日常を長い事過ごしていたことが伺えます。

「傘は持ってない借りてた未来」

「借りてた」は
「傘」に対しても「未来」に対しても使われる動詞のため
「傘」と「未来」両方にかかっているように読めます。

「傘を借りてた」は,分かりやすく
以前は「君」から傘を借りていた,だから傘は持ってない
という風に読み取れます。

「未来を借りてた」は少し複雑です。
読み解くために続きの歌詞を見ます。
「返しきれず」は「借りてた」に対応する言葉です。
傘を返しきれず,というのはおかしいです。
傘を借りパクして家に何十本もあるというわけではないでしょう。
物として借りたのは「傘」ですが,本質的には「恩」を借りていたという事だと思います。
「恩(借り)」は将来的に返さなくてはなりません。
つまり,傘を借りるとは未来に返さなくてはいけない「借り」を作っているという事。
未来の自分に,自分が「君」に「借り」を返すという「未来を借りていた」という風にも考えられます。

例えば,家を買いたくて銀行にお金を借りたとします。
将来的に銀行に返すことになりますが,将来の自分に払ってもらうという事になります。
将来の自分にお金を借りているともいえるわけです。
借りた相手だけでなく,未来の自分にも借りを作っているのです。

「借りてた」は「傘」と「未来」の2つにかかっていると書きましたが,結局のところ同じ意味で,
「傘」を「君」に借りて,
「未来」に返さなくてはならない
「借り」を作っていた

という事だと考えます。

「返しきれず 躱しきれず からがら」


「返しきれず」は借り・恩のこと,「君」に返しきれなかった
「躱しきれず」は自分に向かってくるもの,ここでは雨を連想します。
しかし,降る雨を躱しきれる人はいません。
また,今雨が降っているか確定していない状態です。
この「雨を躱しきれない」というのは何かの比喩ではないかと考えます。
「主人公」は,「君」のことを考えたく無くて外に出たにも関わらず,雨・傘をきっかけにまた「君」の事を考えてしまっています。
躱しきれていないのはこの考えの事ではないか,「雨」は,躱しきれないものという意味で「君のことを考えてしまうこと」の比喩と解釈します。
「借り」を返せなかった罪悪感や気持ち悪さからも逃れたいのかもしれません。

自分の心がレイニー(雨模様)であり,傘を持ってない限り,躱しきれず必ず雨に降られてしまう。
という事です。
また,「からがら」は命からがらの意味だと思います。

つまり,「返しきれず 躱しきれず からがら」は
「主人公」は,そんな「君」に関わる負の感情を躱そう逃げようとしながら
なんとか,からがら街を歩いているそんな主人公の感情を表した表現
だと考えます。
(Aメロの「ガラガラスケーター」の音にかけているかもしれません。)

「街往く余所者」


Bメロ締めのこの部分は,
サビの「ねえねえ独りだ」に繋がる言葉です。
主人公は,その街の人間ではない余所者であり,
その疎外感と「君」がいないという二つの「独り」をサビで表現するための下準備です。
また,状況を具体的に書くことで,聞いている人に情景を思い浮かべやすくさせているとも考えられます。


リズム・韻


最後に,Bメロの音、韻、リズムに注目していきます。

「傘は持ってない」「借りてた未来」
リズムがよく感じられます
その理由は「持ってない(nai)」「未来(rai)」で
どちらも「ai」で韻を踏んでいるからです。
その後畳み掛けるように、「返しきれず」「躱しきれず」で、「かわし」と「かえし」だけの違い(「わ」と「え」だけの違い)の言葉を重ねてさらに強い韻を踏んでいます。この間ドラムの音もどんどん早くなっていき、サビに繋がっていきます。
Bメロは段々と韻を踏みながらリズムを早くして、
サビに向けて盛り上げて行くパート
でもあると分かります。

まとめ


Bメロは,サビの準備(韻とリズムで徐々に盛り上げる&状況の説明)

雨や傘を通して主人公と君の関係性が見えてくるパートです。

主人公は,いつも君に傘を借りていた=傘を持っているかなんて「どうでもいい」朝に慣れ過ぎたので,「傘は持ってない」
でも「傘」を「君」に借りるという事は,「未来」に返さなくてはならない「借り」を作っていたということであり,返せなくなった今
その罪悪感・気持ち悪さやまた「君」の事を考えている状況からなんとか逃げようとしながら街を歩いている。

という意味だと考えます。

文法的に解釈すると上のまとめとなりますが,
それをもとに私がBメロから解釈したものを以下に書き連ねます。

この主人公は「君」を考えたく無くて外に出たはずなのに,また考えてしまっています。「君」がいかに主人公の頭を支配しているか伺えます。
また,傘は外敵に守ってもらうという意味もあります。(核の傘に守られるなど)
傘を借りるとは,「君」に守ってもらっていたという表現とも解釈できます。
更に,未来を借りていたというのも,傘だけの話ではなく,自分の将来も「君」ありきで設計していたとも考えられます。

つまり,主人公は「君」に依存して生きていた。
バイバイレイニーは「君」から自立して,過去の自分にバイバイする

そんな楽曲ではないかと考えます。

また,主人公が自立すべき「君」については楽曲内で詳しい説明がないため断定すべきではないと思います。

ストレートに読めば恋人ですが,過去の自分,友人,夢など様々な比喩としても成立します。
この楽曲では「君」が誰なのかは特段重要ではなく
自立する,バイバイレイニーすることが重要なのだと考えます。



雑記
長い
3800文字くらいある長い
この調子だと1曲で卒論くらいの文量になってしまう。

1年前の考察が今読むと全然ダメだったのでほぼ考え直しました。
1年でそれだけ違うことを考えられるようになったという事でいいのですが,考察はやはり難しいなと。
1年前の考察だって,主観的にならないよう,独りよがりにならないよう,書いて1週間は眠らせて再度チェックして書いていたのに結局ズレていたので,もう毎年見るか他人にチェックしてもらうしかないなと今回痛感しました。

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