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【小噺】友人のデザイナーが親戚から烏骨鶏の品種改良を勧められたこと

 友達のデザイナーの話なんですが、デザイナーというと今でも田舎では、雲をつかむような仕事といいますか、何だか良くわからない仕事だと思われています。その友達は鳥取の出身で、実家は相当な山奥で農家をやっているそうで、家族や親戚の、特に年配の人からは、「なんか東京でよくわからない仕事をやっている」と思われているそうです。僕の実家の秋田県の半農半漁の町でもそんな感じです。いやそんなことないでしょ、と思う方は本当の田舎というものをご存知でない。

 2020年のある時、彼の親戚のおじさんが用事があって東京に出てきて、その合間に彼と二人で食事に行きました。おじさんはもう60歳を超えています。おじさんは彼がデザイナーをやっていることを知っているのですが、彼にこんな話をしたそうです。

 お前のじいさんはうちの田舎で農業の新しいやり方を導入したり、烏骨鶏の飼育を始めたりして、あの辺の地域の産業にかなり貢献した、偉い人じゃった。にもかかわらずお前は、東京でデザイナーなんて良くわからん水商売みたいなことをしとる。

 続けてこう言いいました。

「お前もなあ、いつまでも東京でふらふらしてないで、実家に戻って烏骨鶏の品種改良でもやったらどうなんだ!」

 わりと切れ気味だったそうな。嘘だと思うかもしれませんが、本当の話です。そしてこのおじさんは、至って真面目なのです。友達も絶句したとのこと。

 お笑い芸人の方はこれをネタに使ってくれても全然構いません。むしろ使われたら嬉しい。

 

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