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Vol.10 やって終わりにしない為に…レガシーの残し方〜「クラフトツーリズム」持続可能な地方創生〜

【はじめのご挨拶】

ひつじサミット尾州2021の発起人/実行委員会代表の岩田真吾です🐑

2021年10月30日(土)〜31日(日)に開催した「ひつじサミット尾州」というクラフトツーリズム・イベントの舞台裏について、

「クラフトツーリズム」持続可能な地方創生
〜ひつじサミット尾州の紡ぎ方〜

と題してnoteを10回連載しています!

【連載目次】
01. クラフトツーリズムって何?ひつじサミット尾州のケース
02. 始まりはいつも誰かに想いを伝えるところから
03. 類は友を呼ぶ…実行委員会の作り方
04. 回り道をしながら繋がっていく…参加事業者の集め方
05. 夢を語ると助けてくれる人が現れる…協賛&協力者の集め方
06. 時流のどこに位置づけるか…メディアを仲間化する方法
07. 工場を「人」に変える…インフルエンサーの活かし方
08. わかりやすさと奥深さの両立…デザインのチカラ
09. 堅い後援を入れることでしっかりと…コロナ対策
10. やって終わりにしない為に…レガシーの残し方◀︎今回の記事

今回はいよいよ最終回です。ここまでの9回を数えてみたら25,051文字の大作…この回のタイトルにもあるように「やって終わりにしない為に」頑張って書いてきました!読んでくださった皆さん、ありがとうございました。「スキ」を押してくださった皆さん、大好きです(笑)

さぁ、それではひつじサミット尾州2021最終章、ぜひご笑覧ください🐑

Ⅰ. ひつじサミット2021の振り返り

まずはひつじサミット尾州2021をちゃんと振り返り、良かったところや改善点の棚卸しをしたいと思います。

当日の様子をミュージックビデオ風に

当日のイベントの様子を誰かに伝えるのに、文章では限界があります。一方で、単なる記録動画では何分も見てもらうのは至難の業です。

そこでアンバサダーSEAMOさんに作ってもらったオリジナルソング「紡ぐ」を活用し、当日の様子を伝えるミュージックビデオ風のオフィシャルムービーを作成しました。歌詞をエフェクトで入れることで、今風の見やすい動画に仕上げることを意識しました。(良かったらイイネ!お願いしますw)

https://youtu.be/Tvql5xOSYzE

企画当初に立てた5つの目標に沿って振り返ると…

①産業観光
4日間で15,381人(内、オンライン3,311人)のゲスト(使い手)が参加してくれて、37ヶ所77イベントを通して参加事業者(作り手)と直接繋がってくれました。これを成功と言わなかったら欲張りすぎですよね(笑)アンケート結果によると、地元5割、東海3県4割、全国1割ということで、内輪ウケのイベントにならなかったのも良かったです。

また、ポップアップも含めて1,337万円の売上が上がったのも、単に集客しただけでなく、モノを通した継続的な繋がりを作れたんじゃないかなと思います。多くの作り手がひつじサミットを機にファクトリーブランドを立ち上げてくれたのも誇らしいです。

ただ、まだまだファクトリーブランドで食べていけるような規模にはなっていない会社が多いので、今回見つけた課題を精査して、来年以降の改善に繋げる必要があると考えています。

②地域共創
初年度ながら参加事業者53(繊維29、飲食11、その他13)、 協賛/協力事業者39、後援7団体と、本当に多くの方々と共にイベントを創り上げることができました!
もともと、尾州で最近元気がある活動としては、

  • ツイードファッションで着飾って街をサイクリング「ツイードラン尾州」

  • 尾西繊維協会ビルをリノベした商業ビル「Re-tail(リテイル)」

  • 繊維企業の中堅若手サークル「尾州のカレント」

  • 一宮せんい団地の古いビルを再解釈した散策イベント「渋ビルさんぽ」

  • のこぎり屋根をリノベしたアートスペース「のこぎりニ / エキノコ玉ノ井」

  • 長谷川商店さんの「シルクマーケット」

などなどたくさんあるのですが、今回のひつじサミット尾州では上記全てが初めて一緒になって、点ではなく面で発信ができました。これって何気にすごいことだなって感じています。

また、バドミントンの小椋久美子さんをゲストに迎えた親子イベント「スミセイ“Vitality Action”」を住友生命✖️神山小学校で開催できたのも、教育や健康と繊維産業の新しい繋がりができた、ひつじサミット尾州らしい地域共創の事例だと感じています。

③持続可能性
参加したゲストの多くから「ウールがこんなに環境に優しい素材とは知らなかった!」という声をいただきました。ものづくりの背景を知って、「服をもっと大切にしようと思います」という方も…本当に嬉しい成果です。

またトヨタMIRAIや電動モビリティFUTURE GOGO、中部電力さん、チェリオさんなどのおかげで、ウールだけでなく、SDGs全般について楽しく知る機会になったんじゃないかと思います。

「持続可能性を中心に据えた産業観光」というのもこれまでなかったので、他産地にも広がっていけば良いなと思います。

④事業承継
ひつじサミット尾州実行委員会の半分はアトツギでした。彼らにとって自社や産地を見直す、とても良い機会になったと思います。僕はすでに社長になっていますが、専務や平取締役、はたまた現場で頑張っているアトツギもいて、将来社長になった時のイメージも湧いたんじゃないかなと思います。

また、メディアにも事業承継文脈で多く発信いただき、来年も地元で地域活性化✖️事業承継をテーマに講演会も予定されています。このような活動を通して、跡を継ぐということが「かっこわるい / 親の七光り / 借金を継いで損をする」じゃなくて「意義がある / アトツギならではのリーダーシップ / 物語を継承する」というムードに変わってきているのを実感しています。

ちなみに、ひつじサミットとの関係は不明ですが、何人かは来年昇進もするみたいです(笑)

⑤担い手育成
ここが一番、次回以降への期待値があるところです。

まず既に働いている職人については、自分の仕事の社会的価値を改めて感じとれる良い機会になったようです。また、他社のこと、他部署のことを知ることでより専門知識が深まったという声も多くありました。

一方、新たな採用/就職という点では、15,000人のゲストの内、何人かは「働く場」として尾州を捉えてくれたとは思いますが、まだまだ形にはなっていないのが実情でしょう。ただ、就職検討中の人が家族も連れて現場を見に来てくれた…というエピソードも参加事業者から聴こえてきたので、継続していくことでカタチになると思います!


アンケート結果なども載せた後援/協賛向けの開催レポートもせっかくなので載せておきます!参考にしていただければ嬉しいです🐑

Ⅱ. ひつじサミット2022の展望

ゲスト/参加事業者の声を受け、来年の開催を決意

「来年もやるか否か?」が決まっていない軽やかさが、ひつじサミット尾州の良いところでした。

一度やってみて良かったら来年もやる。
良くなかったらやめた方がいい。
一度もやっていないのに、継続することを前提にはしない。
今日僕は結婚してくださいとお願いに来たわけではありません。
なんなら、付き合ってくださいとも言っていません。
一回でいいから、デートしてくれませんか?と誘いに来たのです。
楽しいデートにするようがんばるので、ぜひお願いします(笑)

そう言って、参加/協賛/協力事業者を口説いた手前、僕が一人で「良い感じだったので来年もやりまーす」というのは絶対にしたくありませんでした。

終了後2週間経った時点(コロナ感染がなかった確認日)で、実行委員会のオンラインミーティングを開催しました。ざっくりとしたアンケート結果を実行委員会のみんなで紹介した上で、

「さて、来年、どうする〜?」

と聞いてみると…みんなから「やりたい」という声が。

であるならば、やろう。
でも、同じ形でやっても進歩がない。
悩んだ末、やりたいと言ってくれた実行委員会のみんなに、一つだけ条件を出しました。

代表=「成長の機会」を独り占めしない

それは、次の代表を僕以外にすること、です。

この1年間、自分の会社ではない新しい組織で、多くの人と共に、誰も経験したことのないイベントを、ゼロから創り上げてきました。

これまでの経験が活きることもあれば、行政との折衝やアーティストとのギャラ交渉など全く未知の領域も含めて、自分が最後の砦となって、全ての企画を進めてきました。

それは、「アトツギ」という恵まれた立場を離れ、自分個人のリーダーシップが試される、貴重な機会だったと言えます。

ひつじサミット尾州を通して成長したのは、誰よりも代表である自分自身。
これだけは胸を張って言えること
でした。

この成長機会を、僕が独り占めしてはいけない。ひつじサミットの目標の一つは「事業承継」であるならば、代表という成長機会はできるだけ多くの人が挑み、経験すべきであると考えたのです。

この、僕のワガママとも言える条件に対して、ジンギスカン屋の夜を共にした伴染工・伴昌宗さん、宮田毛織・宮田貴史さんが共同代表という形で受けてくれました。ありがとう!!

伴染工・伴昌宗さん
宮田毛織・宮田貴史さん

そして、物語は紡がれていく

ほっとしたのと同時に、ちょっとさみしい気持ちになったのも事実です。
ただ、繰り返しになりますが、この軽やかさがひつじサミット尾州の良いところなんだと思います。これからの時代の空気感って、こういう風が吹いてますよね。

もちろん僕も三星毛糸も、ひつじサミット尾州2022には参加します。
「副代表」という肩書きも頂戴しちゃったんですが、自分的には「特攻隊長」として、新しい取り組みに積極的にチャレンジしたいと思っています。すでにいくつか仕込みもスタートしているので、乞うご期待です!

実行委員会打ち上げ
参加事業者打ち上げ
アンバサダー打ち上げ

今回も4,000字を超える駄文となってしまいましたが、読んでくださった一人ひとりの「あなた」に感謝です。

また尾州でお会いできる日を楽しみにしています🐑

岩田 真吾


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