社長になった途端に、社員にキレちゃう件について
「僕、そんなに怒るタイプじゃなかったんだけど、社長になったら1年間で6回も怒鳴っちゃったよ。今年は怒らずに人心掌握する…というのがテーマだなぁ。」
アトツギ仲間のTさんと新年ランチを一緒にしていた時の話。彼は見た目も中身も温厚で、彼を知る人がこの発言を聞いたらきっと驚くだろう。
ちなみに、Tさんは一年前に社長に就任したのだけれど、その前に家業で下積みを7〜8年くらいしていたと思う。彼はこう続けた。
「社長じゃなかった頃は、先代が社員を叱っているのを『あー、やっちゃってるなぁ〜』と、どこか他人事として見てたんだよね。それが自分が社長になった途端に『自分がしっかりしなきゃ!』と思うようになってさ。そしたら社員の一つ一つの行動に怒れてきちゃって…」
★★★
僕も、社長になった10年前は、社員にキレてしまったことがある。
さすがに直接の暴力は振るわなかったけれど、大勢の会議で個人に向かって「なんでわからないんだよ!」と大声を出して、机を叩いたこともあった。
誰もがそうであるとは思わないけれど、「社長というポジションに対する責任感」が暴走しちゃうんだろうと思う。
ただ、どんな理由があれ、現代において「社長がキレる」というのは完全にアウトだ。一回だけでは法的にはパワハラ認定はされないかもしれないが、すぐに反省し、公的に謝罪すべき。もし継続的に社員にキレているとしたら、根本的に歯車がうまく噛み合っていないので、信頼できる誰かに相談することをオススメする。
★★★
Tさんに対しては、2つのアドバイスをした。
一つは、「怒ったら500円貯金箱」を自分のデスクに置くこと。溜まった分はお菓子でも買って社内で配るとかが良いかもしれない。「社長も怒りたくて怒っているわけじゃないんだ」という気持ちを、社員にライトな雰囲気で伝えるのだ。
もう一つは、「怒らないこと」という本を読むこと。実はこれ、10年前に父親に渡された本。その時は「はいはい」という感じでスルーしていたが、その後なんとなく手にとって見ると、「怒り」という感情の捉え方がとても腑に落ちた。
曰く、だいたい怒っている時は「自分は正しい。相手は間違っている。」という気持ちなことが多い。でも、どんな理由があっても怒ることに正当性なんかないのだ。仏教の本だけど、宗教というよりは感情との付き合い方みたいな本。
★★★
ちなみに、上記のおかげか、僕はもう何年も社員に対して怒鳴ったことはないし、もちろん机も叩いたことはない(はず…)。
感情は昔以上に溢れ出ていると思うけれど、それは怒りというよりは情熱みたいなものだと思う。
でも、油断は禁物。
持って他山の石とせよ。
もう一度、自分自身の有り様を見つめ直したいと思う。
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