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#美容男子 という違和感。

「美容男子」という言葉、最近よく聞くようになった。

私は、化粧品を使うのが好きだ。お肌をケアして良い状態にしたり、眉の形を整えて印象を変えてみたり、アイシャドウをつけて今までにない自分に出会えるのが、とても楽しい。ブランド各社が工夫を凝らした、おしゃれなパッケージや世界観を見ているだけでも、心が踊る。

化粧品を使うことの醍醐味や理由は人それぞれだと思う。私にとってのそれは、今までにない自分に出会えるから、ちょっと勇気が持てるから、コンプレックスを隠せるから、だ。

大学生の頃は、化粧品はそんなに身近な存在ではなかった。はじめてアイブロウを描いてみたのは、当時カットをお願いしていた美容師さんに眉を整えてもらったら、思いの外細くて薄い眉になってしまって、それをどうにか隠そうとトライしたのが始まりだった。(その頃の眉、今思うとすごく不自然な眉だと思う。笑 恥ずかしくてあまり当時の写真は見たくない笑)

でも、メイクをすることの楽しさを教えてくれたのは、何年か前、THREEがメンズラインを出すと知って訪れた、伊勢丹新宿のファイブイズムのスタッフさん。メンズ向けのスキンケアは既にあったけど、今回のブランドはカラーメイクアイテムも出すという。当時は珍しかった。「メンズのカラーメイク?どんな感じになるんだろう。?でも、見てみたいな。」THREEの掲げているメッセージはdiversityに理解のある内容で、とても興味が沸いた。

そこで訪れたTHREEで、はじめて「百貨店でメイクをしてもらう」という経験をした。インライン、アイシャドウ、ファンデーション、シェーディング、、などなど、どれも初めてのことばかり。鏡を見た瞬間、見たことのない自分がいて、とても楽しくて嬉しかったのを覚えている。

多分、「メイクは男性のあなたには関係ない、してはいけない」という思い込みを持っていたところ、「メイクに性別は関係ないし、あなたもしていいんだよ」と肯定してもらった気がしたんだと思う。それだけのことだったんだけど、私にとっては大きな出来事だった。その日から、私はメイクに興味を持つようになった。きれいになることに素直になった。考え方が変わるきっかけは、割とそんなことなのかもしれない。

ある日、「美容男子」という言葉を耳にするようになった。先日もテレビ番組で美容男子特集をしていた。わざわざ母がLINEで知らせてくれた。

母は親切に、私が美容男子だから、美容男子特集を観たいだろうと教えてくれたのだと思う。確かに、「あなたは美容男子でしょ」と言われればそうなんだけど。。なんだかこの言葉には違和感がある。「この言葉には違和感を感じる。」と母に伝えたら、「わかりやすいネーミングだからでしょ。」と言っていた。そうだね、テレビみたいに多くの人に向けたメディアは、少しでもわかりやすくキャッチーな言葉を使ったほうがいいよね。でも。。

そもそも、美容に性別はあるんだろうか。いや、ないだろう。「きれいな人」と言われてイメージするのは、必ずしも女性・女性的な人である必要はないし、美しさの定義ってもっとたくさんあっていいはずだ。

性別欄に「男」「女」しかないとき、決まって窮屈に感じる。「この機関・団体は考え方が古いな、配慮が足りないな。でも、この人たちに取っては、事務的に私の性別が必要なだけなのかも。だから、あんまり気にしないでおこう。」と頭の中で考えて、丸をつける。

美容男子の文脈で、私が自分を形容するとすれば、a person who loves to be beautiful(美しくなることが好きな一人の人)くらいがいい。自分を「コスメオタク」とまで呼んでいいのかはわからないけど、「美容好き」まで抽象化されていれば、そこには入るかな。

「美容女子」という言葉がもしあるなら、この言葉に違和感を感じるのもそもそもおかしいのだろう。美容に興味のない女性たちだって多いはずだ。

ただ、美容男子たちは存在しているのは確かだ。実際、私の友人の美容男子たちは、美容男子Youtuberの動画をよく観ているみたい。しかし、私はあまり「美容男子」と呼ばれるYoutube動画はあまり観たことがない。見るのはもっぱら女性の美容Youtuberなのだ。

だから、結論、私は「美容男子」なんだけど、そうではないのだ。結局のところ、「あなたは美容男子でしょ」と言われることに私が違和感を感じるのは「男子でしょ」の部分なんだと思う。そうなんだけど。そうじゃなくて。こういう風に考える人、ほかにもいるのかな。

最近好きになったブランドで、「ジェンダーレス」を謳ったものがある。韓国のLAKAというブランド。6月のQoo10のメガ割で眉マスカラを買ったところ、箱には「Beauty is meant to be for everyone」(美しさは、全てのひとのためのものだ。)の言葉が。

ありがとう、LAKA。私もそう思う。性別と美容は必ずしも関係ないはずだ。美容に関するもやもやから、一人でも多くの人が開放されますように。

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