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「ワタリドリにはホームが必要だ」コロナ禍で完全オンラインに移行し、全国から仲間集めに成功した企業が見出した「場の力」とは

働き手が自らのイニシアチブで、自由に働き方を選び・つくる「働き方解放区」というコンセプトを提唱し、これまでにない働き方の可能性を追求してきたシェアードワークプレイス「co-ba ebisu」。4月から、その可能性をさらに広げようと、co-ba ebisuを拠点にしながら、各地のシェアスペースやワークプレイスの利用が可能となる新プラン「ワタリドリ」を本格運用します。

「ワタリドリ」を利用するのは、“渡り鳥”のように全国各地を飛び回り、組織の壁を超えた「働き方解放」を行うプレーヤーたち。独自の手法で「働き方解放」を行ってきた先駆者たちに、co-ba ebisuの新プラン「ワタリドリ」のトライアルに参加してもらい、次の時代の「働き方解放」について語ってもらいました。

トップバッターは、合同会社イーストタイムズ代表社員CEOの中野宏一さん(36)です。大手新聞社やWEB媒体における記者経験を基に、2015年、宮城県仙台市で、情報発信を通じた魅力発掘発信を行う会社を創業した中野さんは、昨年1月に東京進出を果たし、「co-ba ebisu」を拠点に、全国で活動を始めました。全国各地を飛び回る日々を送っている中野さんが発見した、「オンライン時代の『場の力』」とは?

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「オンラインなんて嫌いだった」にも関わらず、緊急事態宣言で完全リモート勤務に

「コロナ禍以前は、オンラインでコミュニケーションをとって仕事をするなんて、すごく嫌だと思っていました。人と人が直接会って顔を突き合わせて話すことができる『場が持つ力』を信じていたからです。でも最近では、そのオンラインにも慣れましたね」

中野さん率いるイーストタイムズが仙台から東京に拠点を移した昨年1月は、くしくも、新型コロナウイルスが猛威を振るい始めるタイミングでした。翌2月、多くの感染者を出すことになるクルーズ船が日本に入港。3月には、感染対策のための「緊急事態宣言」を発出される見込みが強まり、4月7日に発出されました。

東京進出の出鼻をくじかれる形となった中野さん。co-ba ebisuのプライベート個室を契約していましたが、宣言を受け、「仲間の安全確保が最優先だ」として、自分を含めたメンバー4人全員のオフィスへの出勤を停止しました。メンバーを通勤や商談での感染リスクにさらすことはできないという判断からでした。この時から、中野さんの会社は、co-ba ebisuを会社の所在地として残しつつ、メンバーそれぞれの自宅をオフィスとする、現在の働き方が始まりました。

完全オンラインで、同じオフィスで働いているような仕事環境を実現

そもそもコロナ禍によって「zoomを初めて使った」という中野さん。メンバー全員で気軽なコミュニケーションを行う毎週月曜朝の定例会議も、進捗中の案件確認も、対外的な営業もすべて、「zoom」を使って行いました。

クライアント向けの資料やプレスリリースなどを社内で制作する際は、「zoom」を数名が繋ぎ合い、googleのドキュメントやスライドの同時編集機能を活用して、同一画面を参加者全員が映し出しながら、メンバーが一緒に入力・コメントを加えていきました。オンラインで仕事が完結するように、全ての社内データを電子化してクラウド上に格納しました。郵送物は全て中野さんの自宅に転送し、届いた書類を片っ端からスキャンしていったといいます。

他にも、googleカレンダーやチャットツール「slack」、それにクラウドガントチャート「sharegantt」などの業務管理ツールを導入することで、離れた場所にいるメンバー同士が、まるで同じオフィスで働いているような仕事環境を、オンライン上に構築していきました。出勤停止を決めてから1か月でオンラインに完全移行した時にはすでに、中野さんのオンラインへの抵抗感はなくなっていました。

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(イーストタイムズ社のオンライン飲み会の様子)

「働き方解放」で全国のローカルからメンバーを集め、急成長

こうして、自分たちに最適なオンラインツールを駆使し、業務をオンラインへと移行することに成功した中野さん。co-ba ebisuの契約を個室プランからフリーアドレスプランに変更した後、ワタリドリのトライアルが開始されると早速参加し、場所に縛られない働き方がもたらす可能性をさらに追求していきます。

「これは、働き方を解放するチャンスだと思いました。オンラインでの業務が当たり前になったことで、イーストタイムズのメンバーが世界中どこにいても働ける環境が整ったのですから。そこで、『いつか一緒に仕事をしたいね』と話していた全国にいる友人たちに、仕事のオファーを出してみたんですよね」

中野さんは、東北や関西など全国各地の自治体で、その地域の魅力を住民自らが発掘・発見し、外に向けて情報発信するスキルを身につける講座を開いてきました。その受講者はこれまで1600名以上。活動を通じて、各地の魅力的な人たちと多くつながっていましたが、「一緒に仕事をしたいと思っても、離れた場所に住んでいるため」、願いはかないませんでした。それが、コロナ禍によってもたらされた「働き方解放」で可能となったのです。

中野さんは、秋田、宮城、京都、和歌山に住む友人たちを次々と仲間に引き入れていき、メンバーをそれまでの3倍の13人に増やしました。特筆すべきは、このうち半数以上が副業で参画していること。「場所に縛られた働き方から解放されると、地方における副業の可能性が広がる」。イーストタイムズがオンラインに適応した先で達成した、次なる「働き方解放」でした。

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(海を見ながら仕事もできる、働く環境選びが自由になった。)
(※写真は宮城県気仙沼市)

「働き方解放」は、場所と時間の制約から働き手を自由にし、「能力の解放」を実現した

「世界遺産の秋田・白神山地と、和歌山・熊野古道に住んでいる人同士が、同時にイーストタイムズで同じ仕事に関わっているなんて、すごくないですか?」

興奮を抑えられない様子で話す中野さん。さらに、「京都のメンバーは百貨店で高級チョコを売るのが本業で……」「仙台のメンバーは旅の達人で……」と、仲間のエピソードが止まりません。全国に散らばっているからこそ、普段は会えない相手への思いやりや気配りが生まれ、コミュニケーションが円滑になっていると中野さんは感じています。

メンバーはそれぞれ、取材や執筆、デザインなどの得意な技能を生かしてイーストタイムズの事業に貢献しています。中野さんは「全国から優秀な人材を集められたことで事業が拡大し、売り上げはコロナ禍以前の約6倍に増える見込みです。東京だけに優秀な人材がいるわけではありません」と話します。

「能力だけで言えば、東京にいる人と地方にいる人に、さほど差はありません。ただ、地方にいる人は、場所と時間と機会が限定されていたのです。それを業務の完全オンライン化と副業という手段で解放したらどうなるか、実験してみたかった」

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事業拡大だけでなく、ローカルに住む仲間の活躍の場を広げることにもつながったイーストタイムズの「働き方解放」は、仲間たちの「能力の解放」をも引き起こしました。働き方が解放されていなければ、仲間の能力は埋もれたままだったかもしれません。

イーストタイムズでは現在も、オフィスに集まらずにオンライン上で業務のやりとりをする状態が続いています。しかし中野さんは、コロナ禍以前にco-ba ebisuで感じていた「場の力」をできる限り再現しようとさまざまな手を打っています。メンバーとの対面のコミュニケーションの機会として、合宿旅行に全員で出かけたり、月に1度のオンライン懇親会で、中野さんが「社長デリバリー」と称して、全員に食事を振る舞ったりしているそうです。「『場の力』をいかに維持するかが、オンライン業務においても鍵だ」と中野さんはいいます。

「『ワタリドリ』にはホームが必要だ」

co-ba ebisuの新プラン「ワタリドリ」が提唱する「働く場所さえも解放する」という考え方を、中野さんは自分たちのやり方で独自展開してきました。それは「その人が暮らす場所がオフィスになる」という考え方です。中野さんは、地方に住んでいたり家庭を優先したりして「場所に縛られざるを得ない人」でも、力を存分に発揮して働ける環境を目指してきました。「『ワタリドリ』を、より多くの人や企業が利用すれば、きっとさらに多くの人の働き方を解放できるはずだ」と考えています。

同時に中野さんは、「『ワタリドリ』にはホームが必要だ」とも考えます。中野さんがホームと考える場所は、安心感を得る拠りどころのことです。全国各地を転々としながら活動する中野さんは「ホームと思える場所、戻ってきてもいいと思える場所が必要だ」と強く思うようになりました。もちろん全国に散らばる仲間は中野さんのホームです。でも「『場の力』を持つホームが欲しい」と思っていたそうです。

「これまでのイーストタイムズの活動は、全国各地に出向いて各地の人たちと交流し、『ここは自分が戻ってきてもいい場所だ』と、ホーム、帰る場所を見つける旅のようなものでした。そして仙台から東京に戻ってくるにあたって、新たなホームとして見つけたのが、co-ba ebisuでした」

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(月に1回は集まれるメンバーでco-baに集まり、一緒にランチを行っている)

「場所や時間から解放されると、人とのつながりを求めるようになる」

「働き方を解放した未来にある姿は、全国、場合によっては全世界で、仲間同士が、場所や時間にとらわれない働き方をしている姿だと思います。だからこそ、人や会社には『ホーム』が必要だと思うのです」と中野さんは強調します。

コロナ禍で緊急事態宣言のさなか、先行きの見えない不安感の中で、中野さんはco-ba ebisuのオンラインコミュニティに力づけられたといいます。

「co-ba ebisuでオンラインラジオをやっていて、そこに登壇したことがあったんです。自分はこういう考え方で仕事をしているみたいなことを話したんですが、そうしたら聞いてくれていた入居者がその後連絡をくれて、とても嬉しかったのを覚えています」

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(ラジオのタイムライン。当日の様子はこちらからご視聴頂けます。)

場所や時間から解放されると、逆説的に、人は人とのつながりを強く求めるようになると中野さんはいいます。

「co-ba ebisuは、単なる場所としてのシェアオフィスではありません。単なる場所であれば、私たちは必要としないでしょう。co-ba ebisuには、コミュニティとコミュニティマネージャーがおり、私たちがどこから来ても、帰るといつでも迎えてくれます。その意味で、co-ba ebisuは、僕たちが『帰る場所』なんですよね」

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いつか和歌山や秋田の仲間もco-ba ebisuに連れてきたいという中野さん。一羽で飛び立ったワタリドリは、いつか仲間を引き連れ、co-ba ebisuというホームに戻ってきては、また旅に出るのでしょう。​

co-ba ebisuとは
全国各地に広がる「あらゆるチャレンジを応援する」をコンセプトにしたシェアードワークプレイス。co-ba ebisuは、「働き方改革」が叫ばれる中、企業側ではなく、働き手が自らのイニシアチブで自由に働き方を選べる『働き方解放区』を目指しています。
ワタリドリ の申し込み:こちらのフォームよりお申し込みください
HP:https://co-ba.net/ebisu/
note:https://note.com/coba_ebisu



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