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「無料だと続けられなかった」 オモコロ・永田智さんが有料で日記を書く理由

人気のWebメディア「オモコロ」で記事を書いたり、動画に出たりと活躍中の永田智さんは、noteでも「永田智の『ふぁんふぁんハニーランド』」という有料記事の連載をしています。

月300円で読めるのは、いわゆる日記。永田さんの日常やそのとき思ったことなどが3年ものあいだ毎日更新されています。

永田さんの定期購読マガジン
永田智の「ふぁんふぁんハニーランド」

ライターとして働きながら、なぜ有料で日記を書いているのか、noteを書くメリットとは。バーグハンバーグバーグ副社長の永田さんに聞きました。

有料だからこそ書き続けられている。

ーーnoteをはじめられたのは2020年1月ですね。どうしてnoteで発信することにしたんですか。

永田智さん(以下、永田):バーグハンバーグバーグの同僚のダ・ヴィンチ・恐山(品田遊さん)が、有料noteを毎日更新していて、「めっちゃいいなぁ」って読んでました。それを真似して僕もはじめてみたんです。

もともとブログとかで自分の発信をしたいと思ってはいましたが、いつも2つくらい記事を書いたらやめちゃっていました。

ブログサービスの上位プランみたいなものを契約したりとか、自分に負荷をかけてみても、やっぱり自分がお金を払うだけだと損にも慣れてきて「まあ別にやらなくていいか」となってしまって続かない。

それでnoteで有料の定期購読マガジンをやってみたら、苦手な僕でも続けることができました!なんか進研ゼミの漫画みたいなこと言ってすみません。でも素直にそう思ってます。

ーー書くことを継続するための仕掛けとしてはじめたということですね。

永田:はい、それがなかったら、たぶん続けられなかったと思います。読者の方からお金をもらっていたら、それはちゃんと更新しないとだめじゃないですか。毎日記事が出ることを期待してお金を払ってもらっているので。

あとはわざわざ課金をしてくれている、ある種ディープな読者層の方が集まってくれていると思うので、あまり表では言えないようなことも書けるというのは有料コンテンツのよいところかもしれません。

別に何かを暴露したりするわけじゃないですけど、自分の心情とか「こんなコンテンツをつくったけど、こういう気持ちだったよ」とか、あるいはちょっとした反省とかを出す場としても機能しています。反省って甘美な毒なので……。

箇条書きで書く、独特のスタイルの日記

ーー毎日書かれている日記のスタイル、かなり独特ですよね。箇条書きのようにつづられています。

永田:記事の書き方、文の頭に中黒の点(・)をつける箇条書きみたいなスタイルも恐山と同じです。スタイルごとパクってもいいか本人に許可を取りました。

永田さんのnote記事
相対的にカレーが嫌い ―2020年1月7日|永田 より

実際には箇条書きではなく、ただ普通の文章になっちゃってますけど、この中黒が最初にあるだけで書き手側としてはすごく気持ちが楽になるんです。

そんなにちゃんと文章が繋がってなくても、「いやこれは箇条書きだからね」みたいな感じでどんどん書ける。とにかくなんでも書きやすい形式だと思います。

上手い文章を書かなければ、みたいな空気がなくなるので自分に合ってるなと思っています。まあぜんぶ恐山が考えた形式なんですけど。いずれ自分が考えたということにしてやろうと思ってます。

自分について少し深い部分を語れる場所

ーー毎日noteを書いてきて、よかったことはありますか。

永田:自分がそのときにどう思っていたかを残しておくのはおもしろいですよ。書いてるうちに自分の考えや思っていることをうまく言語化できて、「あ、俺ってこういうやつなんだ」みたいなことがわかる瞬間もあったりします。

どういうときに自分がテンション上がったり、下がったりするのかって、意外とわからないものです。「なんで俺この瞬間イラッとしたんだろう」とか、「なんで嬉しかったんだろう」って、よくよく考えると、たいしたことなかったり。

そういったことを書き散らかしてみると、意外と答えに近づいたりもします。そこもたのしいなと自分でnoteを書いてみて思いました。

そんなに自分の日記を読み返したりはしないですけど、書くだけで自分の中でちょっとした気づきが出てきます。それこそセラピー的な使い方をしているのかもしれません。

最近までネットで自分の話をするのがけっこう恥ずかしかったんです。僕、マージャンが趣味なんですけど、Twitterとかでいきなりマージャンの話をしはじめても、みんな「知らねえよ」ってなるじゃないですか。

でもnoteだったら、ほかのSNSよりもう少し深い部分を語れる場所だし、その人の何かを読みたいと思ってもらえる場なので、そこでなら、自分の話をしたり、趣味のことも話したりしてもいいんじゃないかと思って書いています。

1回書いたら自分の中で「言っても大丈夫なこと」になって、趣味の話を表でもできるようになりました。それが結果としていろいろな仕事にも繋がってるのでマジ感謝です。noteさん、あざーーーーーーーっっす!!!!!

ーーオモコロにはnoteを書いている方も多いと思うんですけど、ライターとしてnoteを書くのはおすすめなんでしょうか。

永田:めちゃくちゃみんなにやってほしいなと思っています。単純に僕が読みたいので。知っている人の日記を読むのってたのしいじゃないですか。

「ああ、こんなことを考えてたんだ」って、あとからちょっとした答え合わせみたいにわかったりすることもあるので、近しい人の日記を読みたいっていう気持ちはありますね。

でも、やっぱりちょっとだけ書いてすぐやめちゃう人が多いですね。オモコロには僕と同じように言い訳がましい人間が多いので、有料化して「毎日更新を約束しちゃったんだからしょうがないじゃん」という気持ちで妥協しながら書いてもらいたいです。

ハードルを下げる練習にもなるというか。自分の中での理想が高すぎると身動き取れなくなっちゃうので。「日記だったら何書いてもいいじゃん!」の気持ちで。「読んでんじゃねえ!!」の気持ちで。書こう!!! みんな!!

やっぱり「日記」はおもしろい。

ーー日記っていいですよね。どんな人でも毎日おもしろいことが起きてますから、誰でも書きやすいと思います。

永田:そうですね。その日の出来事を書いてもいいし、食べたものでもいいし。

そういった生活のログみたいな使い方もいいと思うんですけど、その人が何を考えているのかみたいな、「思考」についても残しておいたほうがおもしろいんじゃないかと思います。

10年、20年も経つと考え方が本当にもう別人になるので、昔の自分の言っていたこと、考えていたこと、知りたくなるじゃないですか。それをあとで読み返したら絶対におもしろいだろうなって。20年前の自分の気持ちっていまの自分は全然理解できないですからね。

でもその機会は、いまから残しておかない限り永久に失われるわけで。もはや老後の楽しみのためにいま書いてるのかもしれません。「こいつやべ~~~」って早く思いたい。「的外れなこと考えてる~~~!」って。「でも、見どころのあるやつだな……」って思いたい。「彼みたいな若者がいるなら日本は安泰だ」って思いたい。いや、そこまでは無理か。

とにかく「日記はおもしろいんだよ」っていうのは、みんなにも伝えたいです。そういう、人の日記を読むマニアみたいな界隈ができたらいいなぁと思っています。みんなで書いて、そして読み合おう。

永田智さん
note:https://note.com/nagata0215
Twitter:https://twitter.com/NagataBros



参考記事

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