家族を守る覚悟

無口な親父が死ぬ前に遺した言葉

「母ちゃん、泣かせんなよ」

10歳のおれには、それがどれだけ重い言葉なのか理解できなかった。

子供ながらに努力はした。母さんの教えに逆らったことはないし、いわゆる"親孝行"とよばれることはしてきたつもりだ。

親父は母さんのことが本当に大切だったのだろう。

親父がおれに遺した言葉は、おれに人生の目標を与えてくれた。


25歳の現在、おれには一生かけて守りたい人がいる。


親父が母さんを大事にしていたように、おれも彼女を世界一幸せな女性にしたいと思う。


結婚式の日、彼女に尋ねた

「どうしておれを選んでくれたの?」

彼女はまっすぐこちらを見て言った。

「マコトは私のこと、絶対に泣かせないと思うから」

あぁ、とことん親父には頭が上がらない。母さんだけじゃなく、おれの未来も守ってくれたんだな。

ありがとう。親父の分まで精一杯生きるよ。

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