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本を朗読してもらえるということは素晴らしい

Kindleで日本語の本を読む機会はまだ少ないのですが、自分は明朝だとコントラストがきつく感じるのでフォントをゴシックに変えたり(UDフォントが選べないのは残念)、サイズはもちろん背景色も変えられるのは、特にLDの認知特性について知った後なので非常に感慨深い。リーディングトラッカーまである。

自分は試したり調べたりしていなくて知らないだけと思いますが、おそらく何らかの方法で読み上げも出来るんだろう。視覚的な障害のある人だけではなく、認知特性の問題で文字が読めない、読めるけどエネルギーが必要といった人(うちの息子はこのケースだった)が、本や文章にアクセスしやすくなるというのは画期的な事だったんだなあ。

しかも読み上げも誰かに頼むのではなくAIの合成音声なら、何度も繰り返して聞きやすい。文学作品は正確性や情緒の点で朗読の方がいいかもですが。 正直自分も年齢のせいか文章を読むのがかなり億劫になって来た。今はまだ何とか大丈夫だけど、そのうちに携帯やPCの画面の文字を判別するのが困難になって来るだろうとひしひしと感じている。

気兼ねなく本を読んでもらうことが出来るという技術や支援が広まるということは、視力の悪い人に眼鏡がもたらされたのと同じ様な意味を持つのかも知れない。社会に理解を訴え、実現に尽力し続けてきた人達のことを思うと本当に頭が下がるし、その陰に苦悩や困難を抱えて失意のままに過ごしていった多数の人達がいたことを思うと心が痛む。

ふっと脳裏にハイジに出てくるペーターのおばあさんが浮かんだ。目が悪くなってしまい、誰かに本を読んでもらいたいけれど、ペーターも彼のお母さんも文字があまり読めない。フランクフルトからハイジが山に戻ってきた後で、ハイジがペーターの家に放置されていた本を読んでおばあさんがびっくりするエピソードがある。ハイジの朗読の声と親切になったおじいさんの姿が山の夕暮れの美しい光と重なって、何遍見ても胸を打たれる。次に見たときはまた別の思いが重なって、また新しい発見がある様な、そんな気がしている。

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こんな思いを抱く様になったのは、Twitterで知ったぴーたんさん(@dekobokob)の書籍をKindle読んだことがきっかけ。タイプの異なる2人の息子さんの読み書き障害への対応や学校での合理的配慮申請の実践エピソードが分かりやすく記録されていて、本当に読んでよかったと思いました。


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