反脆弱性という考え方

ナシーム・ニコラス・タレブ氏の考え方として、

反脆弱性という考え方があるようです。

調べれば出てきますし、直接本を読んだわけではないのですが、
可変性のある人間、あるいは生物として、
失敗であったり、何らかの危険を経験することで、
より良い選択や、より強固なシステムを組むことができる、
というようなことらしいです。

つい最近まで、「成功」とか「勝利」といった本が、
本屋さんに行くと並んでいましたが、
「失敗」について書かれている本が少しづつ増えてきたような感じでしょうか。

成功や勝利といったものは、
もちろん努力やその人の資質ももちろんですが、
さらに多くの部分を運であったり、時代、環境に左右されます。

そもそも成功や勝利といった本を読んで、その通りにするだけで良いなら、
本を読んだすべての人が成功できるわけで、
例えば勝つという概念は、負けに対する概念であって、
誰かが勝っているといった場合裏には負けている人もいるわけで、
残念ながら全員勝利、成功できるなんてことにはならないです。

しかしですが、物事においてより良く、優れた状態になろうと考えたときに通常忌避されるべき失敗というものが、
非常に重要であるという事が、少しづつ認識されてきたようです。


哲学においてその祖とされる、ソクラテスは、
「無知の知」という私は何も知らない、という事を知っている、
という事によって、同時代のだれよりも優れていると、考えられています。

何も知らないから、色々なことを知りたいと考えるものです。
色々なことを知らないから、本を読んで勉強したりします。
スポーツにおいて、格闘技において、弱いと思うから、まだまだだと思うから練習します。

できないからやろうとするのであって、
できないと思うから何とか頑張ってやろうと思うのであって、
できることは、できるんだからやったり、頑張ったりする必要はないのです。

もちろん現状に満足していて、これ以上良くなる必要がなければ、
そのままでももちろん問題はないかもしれませんが、
日本の昔からの考え方としてこの世が
「諸行無常」であり、
実際に約20年前に携帯が普及し、10年前にスマホが普及し、
今年は多くの人の生活環境がガラッと変わってしまい
刻一刻と時代が変わっていることを考えると、

このままでいいと居付いてしまうという事は、
時代に対して、同じように動く事ではなく、
進む時代に対して、後退している、という風にも考えられます。


失敗であったり知らないことを知らないと認める事や、自身の弱さというものを自覚することで、
それを乗り越えるために、新しい行動というものが生まれてきます。

体の動かし方がそうなのですが、成功すると、できるようになっているとなぜそうなっているのかがわかりません。
何かスポーツでうまい人に、それってどうやってるの?と聞いても、
体の動かし方は非常に個人的なものですし、
できるものは考えなくてもできるので、
どうやってやっているかと考えてやっているのではないので説明はできないことが多いです。

ですができなかった人が、その行為を練習であったり、失敗から学んでできるようになると、
他の人に説明できたりします。

失敗を経験してから成功すると、自身の経験として、
失敗と成功の違いを比較できるので、
また失敗から成功にまで持ってくるという経験をしていることで、
新たな行動をした時にも、応用がききやすくなります。

自身の経験として、成功そのものより、失敗そのものの方が、
より良い経験を与えてくれるようです。
実際失敗したと考えるより、より良くなるために機会を得た、
という風に考える、というより、そうなっているとまで言えるかもしれません。

虫の中には殺虫剤などを使うと、生き残る個体がいます。
その個体が残ってうまく増殖できれば、その殺虫剤に対して弱い個体でなく、強い個体が残ります。
生物は大概、世界というのは危険であるのが当たり前なので、
危機を経験すること自体を織り込んで出来ているので、
絶滅しない様に、ある種の多様性を確保しています。
そうしてより環境に適応した個体が残っていきます。


現代というのは情報がすぐに手に入るので、
個人で新しい事をやらなくても誰かがやっているのを見ることで、
やらなくてもやったような気になりやすいです。
youtubeで他人がうまくやっている動画を見て、
簡単にやっているように見えるので、自分でもすぐできるなんて思ったりもしますが、
当たり前ですが、練習してできた等、隠れた部分ではなく
見栄えのいいものを動画にあげるので、
実際に経験するという事が重要だと思います。


簡単にできるだろと思ってやらない事や、
知っているから別にいいやではなく、

自分ではできないからやってみよう、とか、
自分は知らないから経験してみよう、
といういわゆる自身を謙って考えることで、
成功や勝利ではなく、失敗から考えることで、
変わっていく世の中でうまく色々なことに適応できるようになるのではないでしょうか。

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