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イヌさんをディスるわけではないですが、その2

人類最後の闘いに、ホモ・サピエンスはどう打ち勝ったのでしょうか。イヌが果たした役割とは。少々の猫自慢とともに記します

イヌもネコと同様、もともとは野生。ある時点で家畜化されたんです。年代は、結構幅が広くて、1万年~4万年前だそうです。人類がベーリング陸橋を渡ってアメリカ大陸に到達したのが2万年ほど前とされ、その際はイヌを伴っていますから、遅くともそのころまでにはヒトと一緒に暮らすようになっていたのでしょう。

ヒトの食べ残しで

そもそもどんなきっかけで、関係が密になったのでしょうか。

たとえばこんなストーリーが考えられます。

ヒトが集住し、大きな集落をつくるようになれば、多くの残飯がでます。そばにいたら食うに困らないじゃん。そう気づいたオオカミ(注)がいたんですね、きっと。人家の周りをうろうろするようになりました。

ファーストオオカミはおとなしかったんでしょう。ほえたり、かみついたりしていたら追い払われますものね。そのうちヒトを恐れることもなくなったのではないですか。

子どもも生まれます。ヒトは好奇心が旺盛ですから、オオカミの子に餌をやったりしたんでしょう。オオカミの習性からすれば「おお、これは我らのリーダーに違いねえ」というわけです。家畜化された後は、ヒトの都合のいい性質の個体がさらに選別されて、いよいよイヌとなっていったようです。

なんだよ、最初はおこぼれ狙いかよ、というのはネズミを追っかけていてヒトとの関係が深まったネコの嫌みです。

狩猟の革新

オオカミさん、猟のお供に、番犬に、とイヌになってからはこれでもかというほど尽くします。隠れた獲物を見つけ出し、逃げ足の速い大型動物にも追いつき、倒す。外敵が来たら警報を発し、襲いかかります。

飼いならせたのは、ホモ・サピエンスだけなんだそうなんですね。ネアンデルタール人は狩猟採集オンリーで、家畜を飼うなんて発想はなかったようです。身体能力はホモ・サピエンスを上回っていたといいますから、これがあだとなり、新たな工夫を怠ったのかもしれません。

ホモ・サピエンスがアフリカ大陸から北上し、生活域が重なり始めると、ネアンデルタール人は圧倒されてしまいます。イヌを引き連れた狩猟法はそれほど革命的だった、といえるのです。

共存の文化があれば

気候変動の影響もあってネアンデルタール人は舞台を去りました。互いに共存の文化を持っていれば、生き残るチャンスもあったのでしょうが、そうではありませんでした。一部の例外を除いて交雑も起きていません。同じホモ属でも、ライオンとトラぐらいの違いがあったのでしょう。

共同してネアンデルタール人を滅ぼした、と言ってもいいほどイヌが深く関与していたかどうか。そこまでの確証はないけれども、生命樹の一本の枝がそぎ落とされていく現場に、イヌが立ち会っていたことはだけは間違いのない事実ではないでしょうか。

我らネコが現れる、ずっと前の話です。

(注)諸説ありますが、ここでは最も一般的なオオカミとしました


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