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次は君に来る「チャンスの順番」歌詞考察 AKB48

お久しぶりです。

今回は、秋元康さんが作詞したAKB48の「チャンスの順番」という曲の歌詞考察をしていきます。

秋元康さんの歌詞の大部分は直接的な表現なので歌詞を見れば意味が伝わってきますが、歌詞を流して曲を聞くこともあるかと思うので、今一度歌詞をじっくり味わってもらえると新たな気づきがあると思います。

彼の歌詞は普段私たちが感じているはずだけど意識することのない感情、言葉にしたいけどうまく言い表すことのできないモヤモヤした感情を巧みな表現で言葉にされているので歌詞として曲に注目しても楽しめるかと思います。

それでは歌詞考察をどうぞ!

歌詞考察

〈1番〉
チャンスの順番 次は君に来る
どんなに負けてても 今度は勝ちにいこう
諦めなければ 夢は叶うんだ
ずっと頑張ってきた 君の努力報われるように

この曲は現状に満足できず、悩んでいる人に向けたエールの歌。
つまり、歌詞はエールの言葉を贈る目線で書かれています。

冒頭の言葉を見てみると、少し強めの言葉で聞き手を説得させるような表現だなという印象を持ちました。

「大丈夫、次はきっとできる。」

一見するとありきたりな言葉のように見えます。
しかし、「ずっと頑張ってきた君の努力報われるように」からは、

「あなたが頑張る姿をずっと見ていたよ」

というような見守ってくれている、包容力を感じます。

この優しい表現、包容力がこれからの歌詞で沢山現れ、悩んでいる人の心をゆっくり紐解いていきます。

空を流れる白い雲たちの
どれが早いかなんて意味がないと思う
昨日の君が出遅れていても
そのうち風の向きも変わり始める

空を流れる雲の早さを比べるという歌詞は、優劣を比べてしまう人間のありさまを表現していると思います。

自分は不器用だから、周りからはよく思われないし風当たりも強く感じてしまう。

「だけど、風向きがずっと同じじゃないように、あなたへの風向きもきっと変わるんだよ」

ここの表現、すごい綺麗ですよね。

私たちが抱えてしまう悩みや感情を、雲と風という自然現象で分かりやすく表現されています。

イメージしやすいし心情も捉えられていて、好きな表現の一つです。

自分には何が足りないのだろう
一人悩んだ時もあった
だけど立ち止まっていてもしょうがない

悩んでいる姿を表している歌詞。

「だけど悩んでも立ち止まってるだけだよ、また頑張ってみよう!」

そんな意味が込められたサビへの導入といった役割が、この歌詞にはあります。

〈サビ〉
じゃんけんみたいに 運は巡るもの
今までついてなかった 今度は君の番だ
挫けちゃいけない 泣いてちゃいけない
長い冬の後には 君の春がすぐそこに来てる

「私は頑張っている姿を見ているし、今は運がないだけ。頑張ってるんだから、次はきっと大丈夫だよ」

こんな気持ちを、じゃんけんで表現しています。

ここで注目して欲しい歌詞が、「長い冬の後には君の春がすぐそこに来てる」です。

ここを恋愛という視点で見ると、「今まで長い間恋人に振り向いてもらえなかったけど、きっとあなたの春が、青春がやってくるよ」と捉えることができます。

恋が結ばれることを「春が来る」と言うこともあり、つらい時期を冬として表現して春に繋げてくるセンスがおしゃれで素敵だなと聞くたびに感じます。

〈2番〉
周りの友は一人また一人
夢に続く階段登っていったよ
たとえビリでも焦ることないさ
どこかで風が吹いたら追いつき追い越せる

自分の周りの人たちは努力が身を結び、自分の先を歩いていってしまった。

夢を叶えて、楽しそうにしてる。

自分だけまだ取り残されている。

そんな苦悶に取り憑かれている姿と、それに対して焦らなくていいんだよと諭す歌詞が添えられています。

途中で誰かと比べるよりも
未来の自分信じるんだ
君のペースでゴールまで走り抜けろ

「人にはそれぞれペースがあるんだから、他人と比べないで自分のペースでいいんだよ。他人より努力できている自分を信じて、最後まで諦めないで」

こうやって、自分のペースでいいんだよっていう言葉を伝えてくれるのは悩んでいる身としては本当に安心する言葉になり得ます。

夢の方からは そっぽ向かないよ
勝手にこっちから 背を向けてしまうもの
何があったって その手伸ばすんだ
運はがむしゃらの味方 君にできる全てのことをやれ

ここが筆者の1番好きな歌詞。

「夢は逃げていかない。自分が逃げただけ。」

これこそが自明なことでありつつも、意識されることはなく言葉で表現しにくい感情。

「チャンスの順番」では比喩を多用するというよりは、感情をダイレクトに表現する歌詞が多い曲なんですよね。

この場面を何かに例えるならば「富士山3合目で引き返す僕ら」のようにぼかす表現もできるかと思います。

でも、悩んでいる人には寄り添う姿勢と自分の気持ちに気がつける言葉が必要。

だからこそ、ひねりのない直接的な表現が心を射止めるのです。

「夢は逃げないからこそ、諦めなければ夢は叶うんだよ。だからがむしゃらに手を伸ばして、今までみたいに頑張る姿を見せて」

包容力の塊のような歌詞ですね。

チャンスの順番 いつかきっと来る
まだ先のようでも 確かに近づいてる
声がかかるまで 光当たるまで
君は今まで以上に どんな時も輝いていよう

「今はまだ訪れなくてつらいかもしれないけど、あなたが活躍したり報われる日っていうのはきっと来る。だから、それを信じて、あなたの存在に気づいてもらえるに沢山頑張ろう。それだけ頑張ればきっと報われる。頑張れ!」

そんなメッセージが最後の歌詞には込められていると思います。


ここまで歌詞を見てきたのですが、最初の歌詞と最後の歌詞を比較してみます。

チャンスの順番 次は君に来る
どんなに負けてても 今度は勝ちにいこう
諦めなければ 夢は叶うんだ
ずっと頑張ってきた 君の努力報われるように
チャンスの順番 いつかきっと来る
まだ先のようでも 確かに近づいてる
声がかかるまで 光当たるまで
君は今まで以上に どんな時も輝いていよう

冒頭にも少し述べましたが、序盤の歌詞は断言するかのような言葉遣いですが、終盤は聞き手に寄り添うような柔らかい言葉で構成されています。

あなたは大丈夫なんだよ!と最初に言い切って、他人と比べちゃいけないとか自分のペースで頑張ればいいんだと包容力で心のうちを紐解き、背中を押すような歌詞で曲を締めているなと感じました。

あたかも一種の相談をしてもらったかのように深みのある、没入できる歌詞ですね。

このように「チャンスの順番」は、頑張っている人たちへ向けられたエールみたいな包容力のある歌だと私は考えました。

気になった人はぜひ、こちらからお聞きください!


言葉としての歌詞

歌詞考察はここで終わりですが、ここでは歌詞について自身が感じていることを少し話そうかなと。

私が友達とカラオケに行った時や趣味の話をする際にJ-POPの話をよくするんですが、歌詞に注目して聞いている人がそこまで多くないなという印象を持ったりします。

歌詞に注目してるから偉いというわけではないし、メロディーも大事だと思う。

それ故に、歌詞ってメロディーに内包されることが多いのかなって感じます。

それこそカラオケなんかはメロディーに合わせて声を発するわけで、要するに歌詞を日本語という言葉として発声しているのではないということ。

楽しみ方は自分次第なんだけど、ちょっと勿体無いなって感じなくもない。

歌詞って、その人へ向けられた言葉でもあるし作詞者が伝えたいことが凝縮されている。

だから、歌詞に注目するともっと曲を楽しむことができる。

先ほども考察したように、秋元康さんはとても言葉にパワーが込められた歌詞を綴っているので刺さる言葉に沢山出会える。

さて、そんな言葉を可愛い女の子や気になっている子から向けられたらどうだろう。

考えてみてほしい。

努力しているのにも報われず、自分が一人で悩んでいる時。

挫けちゃいけない 泣いてちゃいけない
長い冬の後には 君の春がすぐそこに来てる

そう言われたら、もう嬉しくなるじゃん(語彙力)

それくらい言葉って刺さるし、言われて嬉しい人から言われるともっと嬉しい。

そんな歌詞の曲をAKB48という可愛い女の子たちが歌ってるんですよ。

めちゃくちゃエールに聞こえるし、頑張れそうな気がしない??

だからこそ、AKB48ってリリースした曲としても人気が留まらなかったんだと思う。

何が言いたいかっていうと、アイドル(AKB48、坂道)って個人を推していくのもいいことだと思うけど、歌詞として注目すると歌詞が歌い手の言葉として聞き手に届くから、そこにはすごいパワーがあって素敵なことだと思う。

そんな曲の歌詞を書くことができる秋元康さんのことを、これからも分析してみたいと思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

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