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マリオカートとぼくのはなし 〜交わることのない、誰かと巡り会う〜


はじめに

「ゲームやってて楽しいのか」 「楽しいです」

これは僕と大学の教授が授業中に交わした会話である。


教授の聞き方からすれば、ゲームなんかして何の役に立つんだという考えもあったんだと思う。


今の社会ではe-sportsが普及してきてプロゲーマーという職も台頭しつつあるが、少なくともゲームを極めたところで評価されるのはそのゲームの界隈だけであって、万人の評価に値するものではないだろうから役に立つ訳ではないんだと思う。

だけど、僕は胸を張って言える。

ゲームをすることは無意味じゃないし、趣味の一つとして誇ってもいい。

このことを僕はマリオカートを通じて学んだ。

実際、マリオカートを始めたことがきっかけで僕の人間関係の幅は広がった。

この記事では、僕がマリオカートを通じて得たものを話していきたい。


ゲームを通じて知り合えた人との関わり

僕の経験を話していくにあたって、マリオカートが界隈ではどのように遊ばれているのかということについて話さなければいけない。


界隈には交流戦というものが存在する。

交流戦とは、6vs6でレースを行い、チームの合計得点を競うというものである。

このチーム戦を行うにあたって、マリオカート界隈には数多くのチームが存在しており、自身もいくつかチームに所属している。

交流戦で勝つためにはチームメイトとの連携が必要なため、通話をしながらレースをするのが界隈では一般的である。

今出てきた「通話」が、今回の内容を話すうえで大事なこと。


ここからは、僕のチーム内通話での経験を話していく。


このように、交流戦では味方と連携を取るために通話をしている。

そして、終わった後には軽く雑談することもある。


その通話では、将来の話をすることがある。

自分は就活についての知識もないし、どういう風に進めたらいいかっていうイメージもまだ湧いてないから、実際に就活を終えた大学4年生の人だったり社会人の方から話をよく聞いている。

先輩や社会人の方のアドバイスはいつも参考になっていて、自分の将来を考える手助けにもきっかけにもなる。

大体は自分の話を聞いてもらうことが多いけど、もちろん自分が聞き役になることもある。関わっている人には受験を控えている人もいて、その人とは進路の話をしたり自分が経験したことを参考程度に話したりしている。

こんな風に、最初はゲームがきっかけで知り合った人とでも自身のことを話す間柄になることがある。通話がしやすい環境があるからこそ、自分がつらいことや嫌なこと、相談したいなって思うことがあるとチームの人と通話して意見を聞いてみたいなって真っ先に思う。


自分が過去に経験したことを聞いてもらったり、大学生活での悩み相談を受けてくれること。その中で自分の性格を理解してくれたり肯定してくれたりするから、すごい気持ちが楽になるし、ありがたいなって感じる。


自分は以前から病むことがあって、夜に色々と考え事をして眠れなくなる日々が多かった。だけど、思い返してみるとチームの人と通話をしながら遊び始めてから病むことは結構減った気がする。

そんな感じでチームの人に話を聞いてもらっていて、僕はこんなにも自分にとっていい影響を与えてもらっている。


コミュニティのもつ力

僕がチームに所属し始めたのは2020年の夏のこと。大学一年生だった当時の僕は、新型コロナウイルスの流行によって大学がオンライン授業を実施されている状況に劣等感を抱いていた。

なんで僕らの学年だけが例年通りの大学生活を過ごせないんだろう。

サークルに入って先輩や同級生と関わって、授業とか就活について相談してみたいなと思ってたのに、学校に行けないならできないじゃん。

今もその感情が無くなった訳じゃないし、自分らの世代にしか感じられないものだから忘れようともしていない。ただの自己憐憫なのかもしれないけど、少なくとも僕は人との関わりというものを求めていた。

そんな感情はマリオカートで知り合った人たちのおかげで解消された。

不思議なことだと思う。

コロナによって外出や人と接することが難しい世の中で、多くの人と接点をもつことができて仲良くなれるっていうことが。


そう考えると、本来の大学生活で巡り合えた人たち以上の出会いに恵まれたのかもしれない。


コロナが無くてリアルが忙しくなっていたら、マリオカートに時間を割く余裕がなかったかもしれない。そうしたらチームにも所属していなかったかもしれないし、この一年間が違う世界線だったかもしれない。

改めてこの一年間を振り返ってみると、普通に生活していたら話す機会のない人とも話せたし、すごいいい経験ができたなと思う。それと同時に、ゲームというたったひとつの趣味がきっかけとなって、本来なら交わることのなかった人と巡り合えたっていうことは本当に不思議なことだと感じた。

今の関係があるのは、インターネットが発達して趣味のコミュニティを形成できるようになったおかげなんだなと実感したし、そういう時代に生まれてよかったなとも思う。

さいごに

教授が言った通り、ゲームなんてやっても役に立たないし、時間の無駄だって思われるかもしれない。

だけど、僕は全ての趣味が役に立たないとは思っていない。

むしろ、趣味がきっかけで友達を作ることができたりするから、その趣味の行為だけに意味があるんじゃなくて副産物が伴うことに意味があると思う。

まだ自由に出歩けない世の中だからこそ、同じ趣味の人とオンラインで交流することができれば、少しは自分の心が軽くなるかもしれない。


友達ができれば同じ趣味を一緒にやることができて楽しいし、仲良くなれば相談事もできるから自分にとってプラスな効果がたくさんある。

コロナ禍で大学に行けなくなったり友達と自由に遊びに行けなくなってしまった。

だけど、僕はマリオカートがきっかけでたくさんの人と知り合えた今が幸せです。


p.s.
表紙にある写真は、マリオカートで知り合った人と実際に会った時に撮影したものです。

たまにですが、仲良くなった人と直接会おうよという話になることもあります。
いわゆるオフ会ですね。

これもまた、本来なら起こり得ることではなかったのに実際に会ったという事実があるというのは、やはり不思議なことだなと感じます。

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