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【多忙な人、勤勉な人】超訳 言志録 第三十一条

幕末の名著「言志四録」に学ぶ
東洋の生き方学 No.31

言志録 佐藤一斎著 第三十一条

【原文】
今人率ね口に多忙を説く、其の為す所を視るに、
実事を整頓するもの十に一、二。
閑事を料理するもの十に八、九、
又、閑事を認めて以て実事と為す。
宣なり其の多忙なるや。
志有る者誤って此のかを踏むこと勿れ。
【訳文】
今の人は口ぐせのように多忙を口にするが、
実際に必要なことをしているのは十の一、二に過ぎず、
実につまらない仕事がその大半を占めている。
このつまらない仕事を仕事だと思っているので、
多忙となるのも当たり前のことである。
真に志ある者は、このような穴に入り込んではならない。

言志録 第三十一条『本当に大切な事』

日本人は「多忙」であることを
礼讃するところがある。

最近では、
それを否定するかのように、
西洋の「働き方」を取り入れようと
社会は舵を切り出した。

確かに、
【多忙】であることには意味がない。
しかし、
【勤勉】であることには大きな意味がある。

佐藤一斎先生は、この条文(言志録 第三十一条)にて、

"今人率ね口に多忙を説く、其の為す所を見るに、実事を整頓するもの十に一、ニ"

と、説いている。

忙しいと口にする現代人のほとんどは、
十の仕事の内、
意味ある大切な事を一つか二つしかやっていない。

と、言うのである。

【多忙】に対して、一石を投じている。

では、その一つか二つの大切な事のみやればいいのか?
と言うと、そうではない。

東洋の考え方は、
残りの九つ、八つに意味を持たせていくのだ。

日常を振り返ってほしい。

惰性でやっている事はないだろうか。
何も考えずに過ごしている時間はないだろうか。

人生という【有限なる時空間】を
無駄にしてはいないだろうか?

【多忙さ】にかまけて、
最も大切な事から目を背けていないだろうか。

最も大切な事とは、
「自分がどう生き、どう死ぬか?」という、
魂の問題、人生観である。

人生観が決まってくると、
それに付随する
仕事観、社会観、対人関係観などが定まり始める。

人生観が
日常の些事に至るまでの全ての物事に意味を与えていく。

自らの人生のテーマを考え、
日常においてそのテーマにぶつかる事が、
真に「勤勉」である者の姿である。

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#読書 #哲学 #人生観 #東洋思想


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